文献情報
文献番号
201605009A
報告書区分
総括
研究課題名
高難度新規医療技術の導入プロセスに係る診療ガイドライン等の評価・向上に関する研究
課題番号
H28-特別-指定-011
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
國土 典宏(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 河野浩二(福島県立医科大学附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
3,237,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成28年6月10日に改正された医療法施行規則において、特定機能病院等に高難度新規医療技術を導入するプロセスに統一的なルールが定められたことを受けて、本研究班は「『高難度新規医療技術の導入に当たっての医療安全に関する基本的な考え方』という全医療分野に共通する基本的な考え方の取りまとめることを主目的とした。あわせて海外での高難度新規医療技術に関するガイドラインの現況を情報収集整理し、関連ガイドライン等の今後の向上に向けた提言を行うことを従たる研究目的とした。
研究方法
高難度新規医療技術を導入するにあたってのインフォームド・コンセントのあり方、 術者の技量や指導体制などの医療安全に関する基本的な考え方について、 学術的な見地及び専門的見解を踏まえ検討・整理し、その過程における課題や問題点をまとめた。日本医学会より日本専門医機構基本領域学会に対し、当該素案についての了承の有無及び修正意見照会を行うとともに、高難度医療技術に関連する国内ガイドラインの有無について照会を行った。また、実際の臨床現場で、高難度新規医療技術に関する各種体制を構築するにあたり参考となるよう、研究班として高難度新規医療技術の導入に係る規程や申請書のひな形、Q&Aを作成公表することとした。
同期間に並行する形で、手術・手技に関する国外の診療ガイドライン等について文献調査を行い、その記載項目や策定方法、エビデンスの収集方法等について調査した。
同期間に並行する形で、手術・手技に関する国外の診療ガイドライン等について文献調査を行い、その記載項目や策定方法、エビデンスの収集方法等について調査した。
結果と考察
基本的な考え方については、専門領域横断的にかつ包括的に高難度新規医療技術をとらえ、その該当性、「新規」の該当性を判断するにあたっての指標、術者としての技量の要件、インフォームド・コンセントの在り方、体制の在り方などの全医療分野に適用できる基本的な考え方を研究班としてとりまとめ、関係学会の賛同を得て公表を行った。まず高難度の該当性について、外科科系の手術・手技に関する網羅的把握、技術難易度区分の点で、一般社団法人外科系学会社会保険委員会連合の外保連試案が判断の参考になりえ、具体的には技術難易度Eに関しては原則高難度医療技術に該当し、原則該当しない技術難易度Dのうち、特に難度が高いと判断される技術が高難度医療技術に該当すると考えられた。今後、特定機能病院等が高難度の該当性を判断するにあたって参考となるよう、学術的な見地及び専門的な見解を踏まえた情報を関係学会が積極的に発信していくことが求められる。次いで「新規」の該当性に関しては、当該病院で実施したことのない医療技術(軽微な術式の変更等を除く)に該当するかによって判断されるものであり、この中で、「軽微な術式変更等」について「対象疾患、予想される結果、合併症の頻度と内容が想定される範囲で大きく相違がないと判断されれば、「新規」から除外される」等との考え方を示した。導入する高難度新規医療技術に、学会等が定めた指針・ガイドライン等による術者の技量および指導の体制の在り方に関する基準がある場合は、これらの基準に適合していることを確認する必要があり、特に体制に関しては、導入前に,当該医療の提供に経験のある医療機関へ視察にいくことや、医療提供時に当該技術に経験豊富な者を招聘しその指導下に行うなどの対応が望ましいとした。インフォームド・コンセントの在り方では、異なる職種の医療者の同席のもと、実施医療機関での過去の実績や診療体制の整備状況、術者の専門的資格や経験、有効性並びに合併症の重篤性及び発生の可能性等の安全性に関する情報などを含めた文書による説明を行うことが望ましいと考えられた。
この他、高難度新規医療技術の導入に係る規程や申請書のひな形、Q&A入力項目の整備など、システムの運用にあたり、できるだけ手間が軽減され、臨床現場にとって、実務的で有用な文書・資材の作成を行った。
また、国内ガイドライン等の調査により、高難度医療技術の関連文書には、「ガイドライン」のほか、「実施基準」「提言」といった名前の文書もあり、また、学会員限定で公開されている文書もあった。海外ガイドラインの調査により、特定の医療技術に関する関連書について、米国では学会レベルで提唱する指針、英国では国立保健医療研究所が策定するガイダンスが少数例確認された。また、海外の状況として高難度新規医療技術の導入するにあたって政府レベルで定める包括的な針は確認できなかった。
この他、高難度新規医療技術の導入に係る規程や申請書のひな形、Q&A入力項目の整備など、システムの運用にあたり、できるだけ手間が軽減され、臨床現場にとって、実務的で有用な文書・資材の作成を行った。
また、国内ガイドライン等の調査により、高難度医療技術の関連文書には、「ガイドライン」のほか、「実施基準」「提言」といった名前の文書もあり、また、学会員限定で公開されている文書もあった。海外ガイドラインの調査により、特定の医療技術に関する関連書について、米国では学会レベルで提唱する指針、英国では国立保健医療研究所が策定するガイダンスが少数例確認された。また、海外の状況として高難度新規医療技術の導入するにあたって政府レベルで定める包括的な針は確認できなかった。
結論
我が国において高難度医療新規医療技術の導入に関する、政府レベルでの統一的なルールを定めたことは、大変有意義であり革新的な取組と言える。関連学会を中心にさらに充実した高難度新規医療技術に関連するガイドライン等の整備及び周知をっていき、また、医療機関において制度を適正に運用することにより、日本の医療の向上に寄与することが期待される。
公開日・更新日
公開日
2017-06-05
更新日
-