医療関係職種の養成課程内容共通度の調査研究

文献情報

文献番号
201605008A
報告書区分
総括
研究課題名
医療関係職種の養成課程内容共通度の調査研究
課題番号
H28-特別-指定-010
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
大西 弘高(東京大学 医学系研究科 医学教育国際研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 吉田 素文(国際医療福祉大学 医学部 医学教育学)
  • 酒井 郁子(千葉大学 看護学研究科 看護システム管理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
3,678,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療関係職種の資格に関する法令や各職種の教育内容を詳細に調査研究し、各職種間において不必要に履修し直すことなく、別の医療関係職種の資格が得られるような制度改革を踏まえて、各医療関係職種の受験資格要件拡大に関する提言につなげる。
研究方法
研究協力者が担当している17の医療関係職種において、まずは各職種の法律、その施行規則、養成所・養成施設指定規則、指導ガイドラインなどの現状法令の確認を行う。それにより、履修期間短縮、履修免除、履修必要単位/時間数の一覧表を作成する。
 次に、各医療関係職種の受験資格要件拡大に関し、業団体の方向性なども考慮した上で会議の場で議論を進める。それぞれの職種における利害に対し十分な配慮を行う。本研究による提言が、各職種の業団体においてできる限り受け入れられるように、研究協力者は業団体からの推薦を得るよう努める。
 全体会議は3回を予定する。第1回は顔合わせと共に、本研究、特に各職種において調べるべき内容の説明を中心とする。各医療関係職種の資格に関する法令に関する確認や検討も行う。
結果と考察
履修期間短縮に関しては、医療関連の職種間において古くからある職種の資格を持つ者が、新しく設置された職種の資格を得ようとした場合には比較的認められていることが多い。福祉関連(保育士を含む)の職種において、特定の職種の資格を持つ者がすべからく履修期間短縮される規定が置かれているものは、社会福祉士や保育士が介護福祉士を目指す場合と、社会福祉士が精神保健福祉士を目指す場合である。履修免除規定は、明確に法令に謳われているのは歯科技工士を除く医療関連の職種間に留まるものがほとんどである。唯一、保育士は義肢装具士を目指す場合に明確な履修免除が規定されている。いくつかの職種間では、職種Aを持って職種Bを目指すときには履修期間短縮になるのに、逆の場合には短縮にならない、いわゆる「一方通行問題」が見出され、今後の検討課題になると考えられた。
 各職種の教育内容については、履修必要単位および時間数を一覧表にまとめた。科目名からは、基礎分野の「科学的思考の基盤+人間と生活・社会の理解」、専門基礎分野の「人体の構造と機能」、「疾病の成り立ちと回復の促進」医療関連の多くの職種で共通した内容が見出された。ただ、医療系職種の同じ名称の科目でも、各専門分野によって目指すところが異なる可能性が示唆された。一方で、福祉関連の課程はいわゆる文系科目であり、医療関連の理系科目とは大きくかけ離れていた。
結論
現状では職種間のカリキュラムの隔たりは大きいと考えられるが、医療・福祉に関係する職種として、共通の教育内容は存在すると考えられた。具体的には、人間の生活、社会の理解、保健医療福祉制度、医療安全、病と人の心理、コミュニケーション論等である。しかし、これらの内容についてすべての職種に共通するカリキュラムを作るには育成課程を大きく見直す必要がある。
 今回検討した法令は主に厚生労働省関連のもの(一部共管省令としての指定規則)であったが、編入学、履修免除などに関連する文部科学省の法令については未検討である。学士卒、専修学校卒といった履歴の違いが及ぼす影響についても未検討である。今後文部科学省にもこの調査に協力を要請することが望ましい。
 中長期的にはコンピテンシー基盤型教育、専門職種間連携とその教育なども見据えて展望を明確化していくことが望ましい。この点も医療関係職種の養成課程における共通内容の可能性を大きく展開する可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2018-06-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201605008C

収支報告書

文献番号
201605008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,781,000円
(2)補助金確定額
4,781,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 674,699円
人件費・謝金 1,928,691円
旅費 266,862円
その他 201,326円
間接経費 1,103,000円
合計 4,174,578円

備考

備考
人件費・謝金については,予定では医療ないしは福祉の専門職免許を取得している者を雇用する予定であったが,そのような人材を見出すことができず,その分当初計画よりも支出が50万円弱安くなった.また,旅費については,一部の協力委員が会議を出席することがあったことから,これも当初計画よりも支出が20万円強安くなった.これらを併せ,全体としては60万円ほど支出が少ない形で決算された.

公開日・更新日

公開日
2017-06-08
更新日
-