文献情報
文献番号
201605005A
報告書区分
総括
研究課題名
厚生労働省の動物実験の基本指針に基づく外部検証等の実施方法に関する特別研究
課題番号
H28-特別-指定-007
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
山海 直(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 霊長類医科学研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 津村秀樹(国立成育医療研究センター)
- 岡村匡史(国立国際医療研究センター)
- 塩谷恭子(国立循環器病研究センター)
- 牛山 明(国立保健医療科学院・生活環境研究部)
- 八神健一(筑波大学)
- 福田勝洋(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所・霊長類医科学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
3,564,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
「厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針」が定められている。動物実験の透明性を図り、社会的な理解と評価を得るための仕組みとして、情報公開と第三者による検証が考えられる。本研究では、実態を把握して課題を整理し、基本指針の適切な運用のための「外部検証(認証)のあり方」「情報公開のあり方」について考察し手法を提案することを目的とした。
研究方法
ヒアリングおよびアンケート調査により、実態を把握するところからスタートした。ヒアリング対象は、厚生労働省管轄の機関を中心としたが、広く情報を収集し、偏った考え方にならないよう意識して、行政の専門家や倫理、哲学の専門家、さらに法律の専門家らをも対象とした。また、動物実験に意見を持っている個人からも意見を聞く機会を持った。アンケートは、匿名化を徹底することで回収数を増やすことを計画した。また、各企業が所属する連合会等の協力を得て実施することとした。連合会等の傘下にある機関の合計は7,000以上であったが、その中には明らかに動物実験を実施していない機関も含まれていたため、アンケート配布先選定の判断は各連合会に委ねた。
ヒアリングで得た情報とアンケート解析のデータをもとに外部検証の在り方について議論して課題を明確にした。その課題解決のための手法を提案することとした。また、情報公開についても、現実的な手法を提案することとした。
ヒアリングで得た情報とアンケート解析のデータをもとに外部検証の在り方について議論して課題を明確にした。その課題解決のための手法を提案することとした。また、情報公開についても、現実的な手法を提案することとした。
結果と考察
アンケート調査では、203施設で動物実験を実施している結果を得た。今回、アンケート対象から外した国立試験研究機関等の数を加えると、厚生労働省の基本指針に従うべき施設の数は約250施設であることが分かった。それら機関の実態とヒアリングで得た情報をもとに、課題を整理することができた。現状のもっとも大きな課題は周知不足であると解析し、丁寧な説明と周知徹底を図り、適切な情報を提供する必要性があることを示した。また、外部検証および情報公開に関する課題を解決するために、必要最小限レベルの外部検証の形を提案した。また、厚生労働省基本指針の対象範囲に民間企業を多く含むという厚生労働省管轄ならではの事情を理解したうえで、現実的な情報公開項目を提案した。
周知徹底と本研究で示した手法の提案を用いることで、より適切な動物実験に関わる環境が構築できるものと考える。
周知徹底と本研究で示した手法の提案を用いることで、より適切な動物実験に関わる環境が構築できるものと考える。
結論
動物実験を適正に実施する機関の全体的な底上げが必要である。多くの機関が外部検証を実施しているという状況を作り出すことが現時点での喫緊の課題であり、より積極的な情報提供が必要であると結論づけた。さらに、本研究でチェックシートの作成および外部検証手法の提案を行い、さらに情報公開の内容について、企業活動を損ねない公開のあり方について提案した。本研究での成果が活用され、より適切な動物実験の環境が整備されることを期待する。
公開日・更新日
公開日
2023-08-18
更新日
-