電子カルテ情報をセマンティクス(意味・内容)の標準化により分析可能なデータに変換するための研究

文献情報

文献番号
201603010A
報告書区分
総括
研究課題名
電子カルテ情報をセマンティクス(意味・内容)の標準化により分析可能なデータに変換するための研究
課題番号
H28-ICT-一般-006
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
宮本 恵宏(国立研究開発法人国立循環器病研究センター 循環器病統合情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 竹村 匡正(兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科)
  • 中村 文明(国立研究開発法人国立循環器病研究センター 循環器病統合情報センター )
  • 興梠 貴英(自治医科大学医療情報部)
  • 中山 雅晴(東北大学病院メディカルITセンター)
  • 的場 哲哉(九州大学病院)
  • 小室 一成(東京大学大学院医学系研究科)
  • 斎藤 能彦(奈良県立医科大学)
  • 安田 聡(国立研究開発法人国立循環器病研究センター病院)
  • 宍戸 稔聡(国立研究開発法人国立循環器病研究センター研究推進支援部)
  • 西村 邦宏(国立研究開発法人国立循環器病研究センター循環器病統合情報センター)
  • 平松 治彦(国立研究開発法人国立循環器病研究センター情報統括部)
  • 上村 幸司(国立研究開発法人国立循環器病研究センター研究推進支援部)
  • 辻田 賢一(熊本大学大学院生命科学研究部)
  • 宇宿 功市郎(熊本大学医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
13,082,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関変更 上村幸司 香川大学医学部附属病院医療情報部 准教授より国立研究開発法人国立循環器病研究センター研究推進支援部研究情報基盤管理室 室長へ変更

研究報告書(概要版)

研究目的
研究の目的:高齢化社会の中にある我が国をはじめとする先進諸国では、循環器疾患が急増している。循環器疾患は再発を繰り返し徐々に進行していくという臨床経過をたどることが多い。そのため循環器疾患においては、Major Adverse Cardiac Event(MACE)とよばれる主要有害心血管イベントを発生させないための再発予防が重要である。しかしMACEを判断するためには担当した臨床医の判断または、診療録から判断するしかない。そのため、診療報酬請求情報を使用した分析、または電子カルテ情報を用いてビッグデータの分析においては、MACEなどのイベントをアウトカムにした研究をすることができない。本研究では、電子カルテの記事情報から自然言語処理を活用して自動的にMACEであると判断するためのシステムを開発し、電子カルテ情報を用いたMACEのビッグデータ分析を行うためのシステムを開発する。
研究方法
SS-MIX2拡張ストレージに心電図、心臓超音波、心臓カテーテル検査結果の標準項目と形式とを定めた日本循環器学会標準出力フォーマット(Standard export data format : SEAMAT)を用いて、本研究対象施設のデータを格納する準備を行い、心電図や心臓超音波、心臓カテーテル検査結果をCSV形式でデータを出力し、SEAMAT形式でXMLファイルに変換し、SS-MIX2拡張ストレージに書き出す。多目的臨床データレポジトリーシステム(MCDRS)を用いて症例登録画面の作成し、MCDRSを用いることにより、SS-MIX2の標準ストレージより患者基本情報、臨床血液検査結果、また、SS-MIX2拡張ストレージより心電図、心エコー、心臓カテーテル検査結果を抽出してMCDRSに疾患レジストリデータを格納する。
さらに、自然言語処理のためのフレームワークの検討として、形態素解析器の検討および医学用語辞書の精度向上のための検討を行う。また、循環器疾患の電子カルテ情報を自然言語処理にて分析するために、必要とされる辞書作りをおこなう。
結果と考察
本研究の対象施設では、日本循環器学会が定めた心電図、心臓超音波、心臓カテーテル検査結果を標準出力フォーマット(Standard Export datA forMAT:SEAMAT)形式に変換しSS-MIX2拡張ストレージへデータを格納するためCSVファイルからデータ転送するプログラムを開発した。多目的臨床データレポジトリーシステム(MCDRS)を用いて症例登録画面の作成し、SS-MIX2の標準ストレージより患者基本情報、臨床血液検査結果、SS-MIX2拡張ストレージより心電図、心エコー、心臓カテーテル検査結果を抽出してMCDRSに疾患レジストリデータを格納することが可能となった。熊本大学では、SS-MIX2標準化ストレージでの地域医療機関との連携を推進しており、今回本研究班が企画するデータの利活用が可能か検討し、準備ができていることを確認した。さらに、自然言語処理のためのフレームワークの検討として、形態素解析器の検討および医学用語辞書の精度向上のための検討を行った。申請時にはMeCabの利用を想定していたが、京都大学で開発されたJuman++の性能が高いことがわかり、十分に利用可能と考えており、今後、数値情報等が混在するテキストデータでの検証を行う。病院情報システムからのデータ抽出としては、国立循環器病研究センター病院ではN社の病院情報システムのデータウェアハウス(DWH)へ電子カルテ本体よりSOAP記載が転送されており、抽出プログラムを構築することにより、DWHのデータベースからサンプルデータを抽出して、形態素解析の検証を実施した。また、辞書については急性心筋梗塞、心不全に関する用語のチェックを継続して行っている。
結論
本研究によりレセプト/DPCなどの診療報酬請求情報を使用した分析、または電子カルテ情報を用いてビッグデータの分析において、MACEなどのイベントをアウトカムにした研究をすることができるようになる。それにより高齢化社会の中で急増する循環器疾患の予後を改善させ医療費を適正化するための医療分析が可能となる。 また、この研究成果が電子カルテに実装されるようになれば、診療録の記載や各種検査・投薬オーダを行う際の警告(アラート)の強化や、記載漏れや監査に対応した病名推薦システムを構築することができる。

公開日・更新日

公開日
2017-06-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-06-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201603010Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
17,006,000円
(2)補助金確定額
16,980,000円
差引額 [(1)-(2)]
26,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,374,618円
人件費・謝金 0円
旅費 415,732円
その他 7,266,497円
間接経費 3,924,000円
合計 16,980,847円

備考

備考
●研究分担者:熊本大の宇宿功市郎の配分額支出に際しまして:平成28年度の研究費25万円において、26,000円の残金がでました。情報連携のための研究を行い、経費の無駄をなくすため活用しましたところ、上記金額の活用ができませんでした。

公開日・更新日

公開日
2018-01-18
更新日
-