文献情報
文献番号
201603009A
報告書区分
総括
研究課題名
DPCとがん登録を軸としたデータベース拡充・連結についての研究
課題番号
H28-ICT-一般-005
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
東 尚弘(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センターがん臨床情報部)
研究分担者(所属機関)
- 中村 健一(国立がん研究センター中央病院臨床研究支援室)
- 寺本 典弘(四国がんセンター・病理科)
- 小林 秀章(大隅鹿屋病院・放射線科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
7,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は共通キーを用いたリンク手法を用いて、既存の「院内がん登録+DPC」データベースを軸として、病理診断、放射線診断情報、臨床試験の情報を突合して解析を行うことで、研究、教育、診療支援に活用することを目的とし、将来的には診断の自動化システムを開発する際の機械学習のための元データとなることも期待される。
また、情報の比較という意味では、非常に精度の高い臨床試験のデータを元に、院内がん登録などの検討を行うと共に、臨床試験参加集団の代表性の検討から、臨床試験の外的妥当性の検討を行うことを目的とする。
また、情報の比較という意味では、非常に精度の高い臨床試験のデータを元に、院内がん登録などの検討を行うと共に、臨床試験参加集団の代表性の検討から、臨床試験の外的妥当性の検討を行うことを目的とする。
研究方法
1.協力施設から病理診断、放射線画像の情報を院内がん登録+DPCにリンク可能な形で抽出・集積するシステムや体制の構築
協力施設で診療システムから抽出可能なデータ形式を同定し、対象症例を絞って、院内がん登録と突合可能な形で匿名化・暗号化するなどの一連の作業を決定した。また可能な限り作業を自動化するためのソフトウェアの開発を行った。
2.連携の可能な臨床試験との患者集団の重症度などの比較による代表性(外的妥当性)の検討
標的母集団を院内がん登録によって構成することで、臨床試験参加患者と標的母集団患者との差異を検討準備を行った。また精度管理の厳しい臨床試験情報を使って院内がん登録の情報の検証を行い、正確性の向上に関する検討に向け、初年度は対象となる臨床試験を同定した。
協力施設で診療システムから抽出可能なデータ形式を同定し、対象症例を絞って、院内がん登録と突合可能な形で匿名化・暗号化するなどの一連の作業を決定した。また可能な限り作業を自動化するためのソフトウェアの開発を行った。
2.連携の可能な臨床試験との患者集団の重症度などの比較による代表性(外的妥当性)の検討
標的母集団を院内がん登録によって構成することで、臨床試験参加患者と標的母集団患者との差異を検討準備を行った。また精度管理の厳しい臨床試験情報を使って院内がん登録の情報の検証を行い、正確性の向上に関する検討に向け、初年度は対象となる臨床試験を同定した。
結果と考察
本研究は院内がん登録と、病理診断情報、放射線画像情報、臨床試験情報とのリンクによる臨床情報の拡充をめざし、その実施可能性の検討と応用事例の蓄積を測るものである。初年度はデータ提供元において共通IDで匿名化して収集を基本とするために共通匿名化を自動化する匿名化ソフトウェアの開発と、いくつかの協力施設での手順の整理や円滑化に向けた検討を行った。病理診断情報、放射線画像情報については、合計3施設の協力が得られデータ収集を行った。病理情報についてはデータの抽出については2施設において円滑に抽出は可能であったが、必要情報が所見文の中に入っているためにそれを抽出するための機械学習ソフトと学習のためのインターフェースを開発中である。放射線画像診断については院内がん登録とDPCデータにより、対象患者と検査日を特定し、それを施設内で院内IDに戻して画像を取得の上再度匿名化する作業を自動化するソフトを開発した。ただし非常に時間がかかるため効率化の方法などを引き続き検討する。臨床試験についても対象を確定して審査を受けているところである。
本年度は主に準備作業を行ったが、研究が進むにつれて院内がん登録に放射線画像、病理診断情報、臨床試験データの突合による有効な活用モデルが示されるだけでなく、「がん医療の均てん化」推進のための診療実態の把握とエビデンスに基づく人材育成にも貢献できるものと考えられる。更には本データベースに希少がんの診断症例を蓄積することにより、診断の効率や正確性の向上にも役立つものと考える。
本年度は主に準備作業を行ったが、研究が進むにつれて院内がん登録に放射線画像、病理診断情報、臨床試験データの突合による有効な活用モデルが示されるだけでなく、「がん医療の均てん化」推進のための診療実態の把握とエビデンスに基づく人材育成にも貢献できるものと考えられる。更には本データベースに希少がんの診断症例を蓄積することにより、診断の効率や正確性の向上にも役立つものと考える。
結論
病理情報、画像情報、臨床試験との院内がん登録とのリンクデータの収集について、多様な現場においての試行を行い、一定の実績を得た。今後は対象を拡大するとともに、データ収集体制に関しても改善を重ねていく。
公開日・更新日
公開日
2018-06-04
更新日
-