医療の質の評価指標としてのICF評価セット(日本版)およびデータ収集ツールの作成

文献情報

文献番号
201602010A
報告書区分
総括
研究課題名
医療の質の評価指標としてのICF評価セット(日本版)およびデータ収集ツールの作成
課題番号
H28-統計-一般-004
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
才藤 栄一(藤田保健衛生大学 リハビリテーション医学?T講座)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 国際生活機能分類(以下ICF)は世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(以下ICD)と対をなす障害分類の枠組みとして、2001年に採択された。ICFは生活機能に関わる非常に多岐に渡る評価項目により構成され、生活機能に関わる領域を網羅的にカバーしている。現在、臨床への普及を促進する取り組みが世界各国で進められている。
 本研究では、日本および国際的なICFの普及に貢献するべく、臨床において使いやすい情報収集の仕組みの構築と医療の質の評価に用いる仕組みの構築に取り組んだ。
研究方法
 前年度の特別研究事業において、ICF評価セット(日本版)のベータ版の作成およびデータ収集用の入力システムの作成を行った。当研究においては、まずこのシステムを協力施設(中部地方の10病院)に配布し、臨床場面における試用を行い、使用者のインタビューを通じてフィードバックを受け、修正を加えた。
 さらに、環境因子の情報収集のため、自宅環境因子チェックリストを作成した。チェックリストの作成にあたっては本邦の臨床場面において広く用いられているリハビリテーション総合実施計画書の記載項目をICFにリンクし、環境因子として同定した項目の情報収集を行うチェックリストを作成した。さらにこのチェックリストを用いて信頼性および妥当性の検討を行った。評価には重み付きκ係数、クロンバックのα係数、既知グループ間の点数の比較を行った。
 簡便な評価のため国際リハビリテーション学会内のICFグループを中心に進められている研究の枠組みに参加し、ICFコアセットの一つでリハビリテーション対象患者に向けて作成されたICFリハビリテーションセットをベースとして、日本版のミニマムセットを作成した。
 ICFリハビリテーションセットの臨床における普及を進めていくにあたって、リハビリテーション分野における国際共同研究として、各項目の簡潔で直感的な説明文を作成するプロジェクトが進められている。日本からも日本リハビリテーション学会との協力のもと、このプロジェクトに参加し、日本語版を作成に取り組んだ。
またICFには評点が用意されているものの、評点の基準は、大まかなものしか用意されておらず、採点の信頼性に懸念があった。そのため当研究ではICF Research Branchとの国際共同研究として、リファレンスガイドの作成を行った。基準の恣意性を排除するため、認知インタビューとチームディスカッションからなる手順を事前に作成し、それに基づいてガイドの作成を行った。
結果と考察
ICF評価セット(日本版)については、本邦で広く用いられているリハビリテーション総合実施計画書に含まれる項目と国際的に利用されているICFリハビリテーションセットの項目をベースとして作成した評価セットのベータ版を元に、臨床での試用に基づいた臨床家からのフィードバックを受けて修正版を作成した。
また、自宅環境因子チェックリストの検者間信頼性の検討を行い、すべての項目について臨床使用に良好な信頼性を確認した。また、既知グループ妥当性の確認も実施し、評価スケールとしての妥当性を確認した。
 ミニマムセットについては、簡便な評価のため国際リハビリテーション学会内のICFグループを中心に進められている研究の枠組みに参加し、ICFコアセットの一つでリハビリテーション対象患者に向けて作成されたICFリハビリテーションセットをベースとして、日本版のミニマムセットを作成した。
 国際共同研究として進められている、ICFの各項目の簡潔で直感的な説明文を作成するプロジェクトに参加し、専門家によるワークショップを開催し、日本語版の作成及び英訳の作成を先行研究において確立された手順に従って行った。さらに、臨床家の実際の採点とインタビューに基づく、リファレンスガイドの作成をICFのリハビリテーション分野における国際共同研究の中心となっているSwiss Paraplegic Researchの研究者と連携して、情報収集の仕組みの構築に取り組んだ。
 これまでICFの普及が難しかった原因に、項目が多いこと、定義が理解しにくいこと、評点の基準がわかりにくいことが特に指摘されてきた。そのため、今回の取り組みにおいては、それらを解決し、より臨床で使いやすい情報収集の仕組みを構築することを目標とした。今後は、実際のフィールドテストとデータの解析を進め、臨床使用可能性を高めることに取り組む予定である。
結論
今年度は、ICF評価セット(日本版)とミニマムセットの作成および情報収集を広く行っていくための仕組みの構築に取り組み、フィールドテストの開始までを行った。今後はさらにICFの臨床への普及およびその有用性を高める生活機能の評価の仕組みの構築に取り組む予定である。

公開日・更新日

公開日
2017-08-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201602010Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,500,000円
(2)補助金確定額
2,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 920,643円
人件費・謝金 0円
旅費 41,280円
その他 1,538,077円
間接経費 0円
合計 2,500,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-03-07
更新日
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