文献情報
文献番号
201602005A
報告書区分
総括
研究課題名
21世紀出生児縦断調査等の高度利用による家庭環境等と子どもの健やかな成長との関連に関する学際的研究
課題番号
H27-統計-一般-005
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
池田 奈由(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国際産学連携センター)
研究分担者(所属機関)
- 西 信雄(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国際産学連携センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
1,440,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
同一個人を追跡するという縦断調査の特性を活かした統計分析を行うことにより、家庭環境等の変化が子どもの健康と発育に及ぼす影響について検討し、「健康日本21(第二次)」や「子ども・子育てビジョン」等、子どもの健やかな成長に関する諸政策の企画立案に資する資料を作成することを目的とする。
研究方法
21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)のデータを用いて、小児期の過体重・肥満に焦点を当て、祖父母と同居する子および一人っ子における過体重・肥満の傾向と年齢に伴う変化と、過体重・肥満の発生と要因の年齢に伴う変化に関する二つの統計分析を行った。
結果と考察
祖父母と同居する子および一人っ子における過体重・肥満の傾向と年齢に伴う変化に関する分析の結果、他の要因による影響の調整後、第6回調査(5歳半)以降、同居する祖父母なしの群に比べて同居する祖父母ありの群の方が、過体重・肥満の可能性が統計的に有意に高く(女児の7歳と13歳を除く)、男児で約1.3~1.5倍、女児で約1.2~1.5倍であった。また、第8回調査(8歳)以降、同居するきょうだいありの群に比べて同居するきょうだいなしの群の方が、過体重・肥満の可能性が統計的に有意に高く、男児で約1.5~1.8倍、女児で約1.4~1.7倍であった。
過体重・肥満の発生と要因の年齢に伴う変化に関する分析の結果、1年当たり新規発生率は、第4回調査(3歳半)で男児4.2%、女児4.4%であり、就学前の期間に男女ともに低下した。しかし、就学後は、男児で第10回調査(10歳)まで約2~3%で推移した後、再び低下して第13回調査(13歳)では1%であった。女児では一貫して低下し、第11回調査(11歳)で1%を割った。男児と女児における過体重・肥満の累積罹患率は、それぞれ就学前で9.5%、10.1%、就学後で16.7%、10.5%であった。他の要因による影響の調整後、過体重・肥満の新規発生と統計的に有意に関連していた主な特徴は、就学前では出生体重、就学後では母親の最終学歴、平日の就寝時間、平日のテレビ視聴時間であった。
過体重・肥満の発生と要因の年齢に伴う変化に関する分析の結果、1年当たり新規発生率は、第4回調査(3歳半)で男児4.2%、女児4.4%であり、就学前の期間に男女ともに低下した。しかし、就学後は、男児で第10回調査(10歳)まで約2~3%で推移した後、再び低下して第13回調査(13歳)では1%であった。女児では一貫して低下し、第11回調査(11歳)で1%を割った。男児と女児における過体重・肥満の累積罹患率は、それぞれ就学前で9.5%、10.1%、就学後で16.7%、10.5%であった。他の要因による影響の調整後、過体重・肥満の新規発生と統計的に有意に関連していた主な特徴は、就学前では出生体重、就学後では母親の最終学歴、平日の就寝時間、平日のテレビ視聴時間であった。
結論
今後、祖父母と同居する子どもや一人っ子の生活実態についてより詳細に把握し、子どもの成長に伴う家族構成の変化を考慮した小児肥満対策を推進することが、将来の非感染性疾患予防のために重要であることが示唆された。さらに、子どもの過体重・肥満の発生とその要因は成長とともに変化しており、就学前から学齢期に向けて、特に男児で健全な生活習慣の形成に努め、社会経済的地位が比較的低い世帯の子どもを対象とした公衆衛生的な肥満対策を検討する必要があることが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2017-08-03
更新日
-