文献情報
文献番号
201602003A
報告書区分
総括
研究課題名
国際比較を通じたICD-11に向けた漢方分類の妥当性の研究
課題番号
H27-統計-一般-003
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 賢治(慶應義塾大学 環境情報学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
1,680,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
WHO主導で行われる国際伝統医学分類のレビュー・フィールドテストに協力し、ICD-11に入れる日本版漢方分類の妥当性を検討した。
研究方法
平成28年度は伝統医学分類のレビューがWHO主導で行われた。全世界で142名のレビュワー(日本、中国、韓国、米国、オーストラリア、欧州)が参加した。フィールドテストに関してはスタディ1; 伝統医学分類の有用性についての調査、スタディ2; 伝統医学の章と他の章との比較、スタディ3;実際のコードをつけて比較する、の3つに分かれている。スタディ3に関しては、WHOにウェブ上でプラットフォームができ、スタートできる状態にはあるが、他の章で現在進行形のような2-3行の簡単のスクリプトでコードをつけるラインコーディングに向けて準備を開始することになった。対面会議は7月に上海でICTM会議が開催された。WHO-FIC(WHO 国際分類ファミリー)年次総会は10月に東京で開催された。また、ICDの改訂に関する会議が初めて開催された。その会に出席し、ICD の改訂作業に関する情報収集を行った。
結果と考察
レビュワーからの提案をマネージング・エディターが整理したところ、3つのカテゴリーに分類された。リスト1はほぼ同意が得られたもの、もしくはマイナーな意見が出されたもの285項目、リスト2は大きな変更がレビュワーから要求されたもの95項目、リスト3が、分類法や構造に関するもの55項目。これらについては7月に上海でプロジェクト主要メンバーによる対面会議を行い、それを8月にウェブ上に反映させた。また、大きな問題となったのは、昨年度のソウル会議に引き続き、西洋医学病名と伝統医学疾病の重なりについてであった。前年度は「瘧」をmalaria-like disorderTMとすることで、西洋医学と区別することにしたが、それでも紛らわしいということで、原則”like”は用いずに削除する、という方針にした。さらに病因として伝統医学的説明があっても症候が同じものは削除すべきという方針となった。フィールドテストについてはスタディ1と呼ばれる、伝統医学の章の有用性について、王立ロンドン病院を中心に行われた。欧州の14の伝統医学の団体から171名が参加した。背景は伝統中医学 89%、日本漢方10%、韓医学1%という内訳であった。欧州の伝統医学医師は五行説理論に基づいた伝統医学を使用しており、これは現在日中韓で行われている伝統医学とも相当にずれがある。こうした課題が浮き彫りになった。コーディングガイドの議論の中ではコードの優先順位を1)西洋医学病名、2)伝統医学疾病、3)伝統医学証とし、この中から最低1つ、最高3つまでコードすることを確認し、細かい文言を修正した。
WHO ICTM会議は平成28年7月25~29日に上海虹橋賓館にて開催された。WHOからはコスタンジュセク氏、エスピノ-ザ氏、アーン氏が参加し、日中韓豪の専門家が集い行われた。会議は月~金までの5日間にわたり行われたが、月~水はレビュー結果を受けて、最終判断を行った。木曜日はコーディングガイドのブラッシュアップを行い、10月の東京会議に向けた準備について話し合った。10月8日~12日にかけてWHO-FIC(WHO 国際分類ファミリー)年次総会が東京で開催された。それに引き続き12日~14日はICD改訂会議が行われた。WHO-FIC会議は毎年のことであるが、ICD改訂を幅広く認知してもらうために、今回は国連加盟国に参加を促し、幅広くICD改訂についての認知を図った。伝統医学に関しては改訂会議の中で、10月12日(水)午後に伝統医学のサイドセッションが行われた。また、10月14日(金)のプレナリ-・セッションで午前に伝統医学のセッションが設けられたのと、午後に水曜日の伝統医学のサイドセッションに関する報告の機会を頂戴し、渡辺が報告した。伝統医学に関してはサイドセッションのオープニングリマークをマーガレット・チャン氏が行っていただいた他、12日(水)午前のオープニング・セレモニーでもマーガレット・チャン氏からICD-11に伝統医学が入ることは歴史的なことである、というスピーチがあった。
WHO ICTM会議は平成28年7月25~29日に上海虹橋賓館にて開催された。WHOからはコスタンジュセク氏、エスピノ-ザ氏、アーン氏が参加し、日中韓豪の専門家が集い行われた。会議は月~金までの5日間にわたり行われたが、月~水はレビュー結果を受けて、最終判断を行った。木曜日はコーディングガイドのブラッシュアップを行い、10月の東京会議に向けた準備について話し合った。10月8日~12日にかけてWHO-FIC(WHO 国際分類ファミリー)年次総会が東京で開催された。それに引き続き12日~14日はICD改訂会議が行われた。WHO-FIC会議は毎年のことであるが、ICD改訂を幅広く認知してもらうために、今回は国連加盟国に参加を促し、幅広くICD改訂についての認知を図った。伝統医学に関しては改訂会議の中で、10月12日(水)午後に伝統医学のサイドセッションが行われた。また、10月14日(金)のプレナリ-・セッションで午前に伝統医学のセッションが設けられたのと、午後に水曜日の伝統医学のサイドセッションに関する報告の機会を頂戴し、渡辺が報告した。伝統医学に関してはサイドセッションのオープニングリマークをマーガレット・チャン氏が行っていただいた他、12日(水)午前のオープニング・セレモニーでもマーガレット・チャン氏からICD-11に伝統医学が入ることは歴史的なことである、というスピーチがあった。
結論
伝統医学の章について国際レビューが行われ、中韓と異なる体系を持つ日本提案に対して、厳しい意見も出たが、おおよそ日本の希望通りの最終版が完成した。フィールドテストについてはスタディ1は国際的には進捗したが、スタディ3については準備を進めたのみで、実際には始まらなかった。東京で開催されたWHOのICD改訂会議で、伝統医学分類についてアピールする機会を得て、認知度が向上した。
公開日・更新日
公開日
2017-08-03
更新日
-