就業状態の変化と積極的労働市場政策に関する研究

文献情報

文献番号
201601003A
報告書区分
総括
研究課題名
就業状態の変化と積極的労働市場政策に関する研究
課題番号
H26-政策-一般-003
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
山本 勲(慶應義塾大学 商学部)
研究分担者(所属機関)
  • 樋口 美雄(慶應義塾大学 商学部 )
  • 酒井 正(法政大学 経済学部)
  • 佐藤 一磨(拓殖大学 経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の労働市場では、近年さまざまな構造変化が生じている。こうした中、今後の労働市場の望ましい方向性を見い出し、適切な政策運営を行うには、労働市場の多様な変化を定量的に捕捉するとともに、労働者や企業の行動の法則性を明らかにし、個別の施策や政策の効果測定を繰り返しながら、効率的・効果的な政策運営のサイクルを生み出すことが重要となる。そこで、本研究では厚生労働省が実施している大規模パネル調査の個票データを活用しながら、労働市場で生じている多様な変化を定量的に捕捉し、望ましい厚生労働施策についての提言を行うとともに、厚生労働施策が労働市場や労働者・企業の行動の変化にどのような影響を与えたかを測定し、今後の労働政策への知見を導出することを主たる目的とする。
研究方法
最終年度となる本年度は、研究代表者と研究分担者によって、高齢者の就業・婚姻状態の変化と健康、引退行動、非正規雇用者の正規転換、女性の就業・出産行動について多角的な分析・考察を行った。さらに、研究協力者によって、経済的貧困と時間的貧困の関係、母親の就業と子どもの学力の関係、東日本震災が子どもの健康へ与えた影響などについても分析・考察を行った。
結果と考察
昨年度までに共同で整理・構築したパネルデータを用いて、意見交換をしながら各研究者が分析を進め、研究集会などで分析結果についての議論を重ね、ブラッシュアップを図った。また、2017年3月にはニッセイ基礎研究所と共催で、本研究プロジェクトの研究成果を発表し、厚生労働省の政策担当者や一般企業、研究者など幅広い参加者と意見交換を行うワークショップ「厚生労働省パネルデータを用いた経済分析と政策提言」を開催した。
結論
研究により得られた成果の今後の活用・提供:研究成果は査読付学術雑誌へ投稿するほか、本研究プロジェクトの成果を書籍として出版することも検討している。また、厚生労働省の政策担当者との意見交換をプロジェクト終了後も重ねる予定であり、分析結果や政策含意をエビデンスベーストポリシーの運営に役立てる予定である。

公開日・更新日

公開日
2017-08-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201601003B
報告書区分
総合
研究課題名
就業状態の変化と積極的労働市場政策に関する研究
課題番号
H26-政策-一般-003
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
山本 勲(慶應義塾大学 商学部)
研究分担者(所属機関)
  • 樋口 美雄(慶應義塾大学 商学部)
  • 酒井 正(法政大学 経済学部)
  • 佐藤 一磨(拓殖大学 経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の労働市場では、少子高齢化やグローバル化、低成長といった人口動態・マクロ経済環境の変化が進む中で、日本的雇用慣行の変容をはじめ、さまざまな構造変化が生じており、厚生労働行政の方向性を見定めるため、エビデンスに基づく現状認識と政策評価・提言の必要性が増している。そこで本研究では、厚生労働省の『21世紀成年者・中高年者・出生児縦断調査』を活用し、わが国の労働市場の多様な変化を定量的に捕捉するとともに、厚生労働施策が経済主体行動に与えた影響に関する効果測定を行い、今後の厚生労働政策に対する政策提言を行うことを主たる目的とする。
研究方法
本研究では、就業状態の変化(離転職・失職・就職)、就業形態の変化(非正規から正規雇用への転換)、生活面での変化(結婚・出産・健康状態)などについて、『21世紀成年者・中高年者・新生児縦断調査』をはじめとする家計パネルデータを活用した実証研究を行う。労働市場の「変化」に焦点を当て、経年的な変化を捕捉できるパネルデータに基づいた分析を行うことで、厚生労働施策のあり方に対して先駆的な知見を提供することを目指す。研究期間中、研究代表者(1名)・分担者(3名)・協力者(10名)の14名は、パネルデータの整理・構築を協働しつつ、転職に関する動学的研究、非正規から正規雇用への転換に関する動学的研究、失職と所得・婚姻・健康の関係性に関する動学的研究、就業・引退のタイミングに関する動学的研究、ワークライフバランス施策や少子化対策の政策評価研究などの複数の研究を多角的に実施した。
結果と考察
初年度の2014年度は、データの利用申請と入手したデータのクリーニング・整理・パネルデータ化などの作業を共同で実施した。それと平行して、先行研究や分析手法に関するサーベイを進めるとともに、有識者を招聘してセミナーを開催することで関連研究での知見を習得した。2015年度と2016年度は、研究メンバー間での意見交換を行う研究集会を不定期に開催しながら、各自で分析を進め、論文の作成を進めた。2017年3月にはニッセイ基礎研究所と共催で、本研究プロジェクトの研究成果を発表し、厚生労働省の政策担当者や一般企業、研究者など幅広い参加者と意見交換を行うワークショップ「厚生労働省パネルデータを用いた経済分析と政策提言」を開催した。研究結果は18本の独立した研究論文にまとめられている。
結論
本研究プロジェクトでは、『21世紀成年者・中高年者・新生児縦断調査』などの大規模パネルデータを用いることで、雇用の流動化(離転職)、雇用形態間の異動(非正規から正規雇用)、職種転換、失職、結婚、離婚、出産、育児休業、引退など、観察頻度が少ない事象も含め、さまざまな仕事・生活上の変化がどのようなメカニズムで生じ、その変化によってどのような影響が生じるかを明らかにした。さらに、女性就業や若年雇用、非正規雇用などに関する政策評価分析によって政策の有効性を確認したほか、各研究から高年齢者の就業・定年・引退、労働者のスキル形成、労働の再配分、非正規雇用の正規転換、貧困対策、女性活躍推進、ワークライフバランス推進など、積極的労働市場政策や厚生労働行政に関する含意の導出も行った。今後も大規模パネルデータを活用した研究を続けることで、さまざまなエビデンスや政策含意が導出できると期待される。

公開日・更新日

公開日
2017-08-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201601003C

収支報告書

文献番号
201601003Z