文献情報
文献番号
201525008A
報告書区分
総括
研究課題名
地域保健に従事する人材の計画的育成に関する研究
課題番号
H26-健危-一般-002
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
奥田 博子(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究分担者(所属機関)
- 宮崎 美砂子(千葉大学大学院 看護学研究科)
- 佐伯 和子(北海道大学大学院 保健科学研究院)
- 守田 孝恵(山口大学大学院 医学系研究科)
- 福島 富士子(東邦大学看護学部)
- 橘 とも子(国立保健医療科学院)
- 中板 育美(公益社団法人 日本看護協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
4,381,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、地域保健に従事する保健師の人材育成に資する「人材育成策定ガイドライン」を作成することである。
研究方法
1)保健師の専門能力向上のための研修会等に関する研究
・対象:全国保健所設置市(95か所)本庁人材育成担当部署職員(全数調査)
・方法:郵送自記式質問紙調査
2)保健師の職務・研修履歴管理、および産休・育休中のキャリア支援の実態に関する研究
・対象:全国自治体(142か所)本庁人材育成担当部署職員(全数調査)
・方法:Web-Qアンケート調査
3)保健師のキャリア・ラダーに関する研究
・対象:先行研究,関連文献
・方法:先行研究,文献等からキャリア・ラダー案を策定,専門家等による協議
4)自治体保健師のキャリア・パスモデルの開発に関する研究
・対象:保健師(自治体保健師経験年数20年以上) 47名
・方法:グループ・インタビュー調査
5)統括的な保健師に求められる能力獲得に有効な人材育成プログラムの検討
・対象:統括的な立場の保健師 (県、政令市所属保健師 各2名 計4名)
・方法:半構造的質問紙を用いたインタビュー調査
6)保健師ガイドラインの多職種への適応可能性の検証に関する研究
・対象:先駆的取り組みを行っている自治体の人材育成担当部署職員(専門職、事務職)
・方法:「人材育成計画策定ガイドライン(案)」に対するヒアリング調査
・対象:全国保健所設置市(95か所)本庁人材育成担当部署職員(全数調査)
・方法:郵送自記式質問紙調査
2)保健師の職務・研修履歴管理、および産休・育休中のキャリア支援の実態に関する研究
・対象:全国自治体(142か所)本庁人材育成担当部署職員(全数調査)
・方法:Web-Qアンケート調査
3)保健師のキャリア・ラダーに関する研究
・対象:先行研究,関連文献
・方法:先行研究,文献等からキャリア・ラダー案を策定,専門家等による協議
4)自治体保健師のキャリア・パスモデルの開発に関する研究
・対象:保健師(自治体保健師経験年数20年以上) 47名
・方法:グループ・インタビュー調査
5)統括的な保健師に求められる能力獲得に有効な人材育成プログラムの検討
・対象:統括的な立場の保健師 (県、政令市所属保健師 各2名 計4名)
・方法:半構造的質問紙を用いたインタビュー調査
6)保健師ガイドラインの多職種への適応可能性の検証に関する研究
・対象:先駆的取り組みを行っている自治体の人材育成担当部署職員(専門職、事務職)
・方法:「人材育成計画策定ガイドライン(案)」に対するヒアリング調査
結果と考察
1)保健師の専門能力向上のための研修会等に関する研究
・調査回答数67(回答率:70.5%)
・階層別研修の実施率は、前年度に実施した都道府県調査と比較すると新任期、中堅期、管理期の全ての階層において実施割合が有意に低かった。
・研修内容は、事例検討の実施率が県と比べ10%以上高く、直接的サービスを担う自治体の特性を反映した教育内容であると考えられた。
2)保健師の職務・研修履歴管理、および産休・育休中のキャリア支援の実態に関する研究
・有効回答数121(回答率:85.2%)
・職務履歴管理「あり」(83.5%),研修履歴管理「あり」(65.2%)であり,履歴管理を実施している場合、これらの人材育成の有効性の検討「あり」(30.6%)、能力形成への活用評価「あり」(13.2%)と履歴の管理、および人材育成への活用や評価は低かった。
・キャリアを考慮した人材育成の対象は「産・育休」(2.5%)「療休」(7.4%)「中途採用」(4.1%)「前職歴」(14.0%)であり個別性を考慮した人材育成の困難性が認められた。
3)保健師のキャリア・ラダーに関する研究
・保健師のキャリア・ラダーの枠組みは、平成18年度厚生労働科学研究*1で開発したキャリア・ラダーをもとに、先行研究等*2-5の成果を踏まえて作成した。
・保健師の教育背景や職務経験が多様化する現状から個人差を考慮し、キャリア・ラダーは能力の発達段階(4段階)で整理した。
*1 平成18年度厚労科研費補助金「保健師指導者の育成プログラムの開発」主任研究者:佐伯和子
*2 厚生労働省:新人看護職員研修ガイドライン~保健師編~.平成23年
*3 厚生労働省:平成15年度「新任時期における地域保健従事者の現任教育に関する検討会報告書」
*4 村嶋幸代:現代社会の健康課題解決に資する新しい公衆衛生看護学の構築.文科研報告書.2013
*5 アメリカ公衆衛生看護団体協議会:Core Competencies for Public Health Nursing.2010
4)自治体保健師のキャリア・パスモデルの開発に関する研究
グループ・インタビューのデータや関連する記録から、保健師のキャリア形成に関する課題(9カテゴリー,25サブカテゴリー)、キャリア・パスに盛り込むべき内容(11カテゴリー,37サブカテゴリー)を抽出し、これらの分析結果からキャリア・パスモデルの策定を図った。
5)統括的な役割を担う保健師に求められる能力獲得に有効な人材育成プログラムの検討
インタビューのデータから、新任期、中堅期、熟練期のキャリア別に、統括的立場の保健師に求められるコンピテンシー獲得に必要な経験と教育内容を明らかにした。
6) 保健師ガイドライン案の策定および多職種への適応可能性の検証に関する研究
各種分担研究の調査結果に基づき研究班員間で協議を図り「人材育成計画策定ガイドライン(案)」を策定した。この試案に対し、地域保健従事者の人材育成に先駆的な取り組みが認められる自治体の人材育成担当者,保健所長,教育に関連する学識経験者など多様な立場の関係者との協議結果を反映しガイドラインを確定した。
・調査回答数67(回答率:70.5%)
・階層別研修の実施率は、前年度に実施した都道府県調査と比較すると新任期、中堅期、管理期の全ての階層において実施割合が有意に低かった。
・研修内容は、事例検討の実施率が県と比べ10%以上高く、直接的サービスを担う自治体の特性を反映した教育内容であると考えられた。
2)保健師の職務・研修履歴管理、および産休・育休中のキャリア支援の実態に関する研究
・有効回答数121(回答率:85.2%)
・職務履歴管理「あり」(83.5%),研修履歴管理「あり」(65.2%)であり,履歴管理を実施している場合、これらの人材育成の有効性の検討「あり」(30.6%)、能力形成への活用評価「あり」(13.2%)と履歴の管理、および人材育成への活用や評価は低かった。
・キャリアを考慮した人材育成の対象は「産・育休」(2.5%)「療休」(7.4%)「中途採用」(4.1%)「前職歴」(14.0%)であり個別性を考慮した人材育成の困難性が認められた。
3)保健師のキャリア・ラダーに関する研究
・保健師のキャリア・ラダーの枠組みは、平成18年度厚生労働科学研究*1で開発したキャリア・ラダーをもとに、先行研究等*2-5の成果を踏まえて作成した。
・保健師の教育背景や職務経験が多様化する現状から個人差を考慮し、キャリア・ラダーは能力の発達段階(4段階)で整理した。
*1 平成18年度厚労科研費補助金「保健師指導者の育成プログラムの開発」主任研究者:佐伯和子
*2 厚生労働省:新人看護職員研修ガイドライン~保健師編~.平成23年
*3 厚生労働省:平成15年度「新任時期における地域保健従事者の現任教育に関する検討会報告書」
*4 村嶋幸代:現代社会の健康課題解決に資する新しい公衆衛生看護学の構築.文科研報告書.2013
*5 アメリカ公衆衛生看護団体協議会:Core Competencies for Public Health Nursing.2010
4)自治体保健師のキャリア・パスモデルの開発に関する研究
グループ・インタビューのデータや関連する記録から、保健師のキャリア形成に関する課題(9カテゴリー,25サブカテゴリー)、キャリア・パスに盛り込むべき内容(11カテゴリー,37サブカテゴリー)を抽出し、これらの分析結果からキャリア・パスモデルの策定を図った。
5)統括的な役割を担う保健師に求められる能力獲得に有効な人材育成プログラムの検討
インタビューのデータから、新任期、中堅期、熟練期のキャリア別に、統括的立場の保健師に求められるコンピテンシー獲得に必要な経験と教育内容を明らかにした。
6) 保健師ガイドライン案の策定および多職種への適応可能性の検証に関する研究
各種分担研究の調査結果に基づき研究班員間で協議を図り「人材育成計画策定ガイドライン(案)」を策定した。この試案に対し、地域保健従事者の人材育成に先駆的な取り組みが認められる自治体の人材育成担当者,保健所長,教育に関連する学識経験者など多様な立場の関係者との協議結果を反映しガイドラインを確定した。
結論
自治体の保健師人材育成体制の推進および個々の保健師のキャリア形成に参考となる「人材育成計画策定ガイドライン」を策定した。
公開日・更新日
公開日
2016-06-20
更新日
-