免疫毒性評価試験法Multi-ImmunoToxicity assayの国際validationへ向けての検討

文献情報

文献番号
201524012A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫毒性評価試験法Multi-ImmunoToxicity assayの国際validationへ向けての検討
課題番号
H27-化学-一般-006
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
相場 節也(国立大学法人 東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 近江谷 克裕((独)産業技術総合研究所(バイオメディカル研究部門)・生化学,光生物学(同研究室)
  • 山影 康次(一般財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所・代替法試験部、細胞遺伝学、動物実験代替法(同研究室))
  • 小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所・安全性生物試験研究センター・薬理部 新規試験法評価室、毒性学、動物実験代替法,(同研究室))
  • 大森 崇(神戸大学医学部附属病院・臨床研究推進センター、生物統計学(同研究室))
  • 木村 裕(東北大学大学院医学系研究科,皮膚科学(同研究室))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
① MITAの最適化とdata setの構築
MITAの問題点を明らかにして、MITAを免疫毒性評価により適した評価系に修正する。
② MITAに適した免疫毒性評価系の探索
③ MITAのパラメーターをkey eventとするAOPの作成
④ AOPに基づく化学物質評価
⑤ IL-2転写活性抑制試験に関する技術移転性確認
⑥ MITAを用いた免疫毒性評価系国際化へ向けてのkick-off meetingの開催
研究方法
①これまでに作成されていたMITA data setの不確定な部分を補い、更にWHOから提出された免疫毒性ガイダンスのCase-Studiesにて検討されている化学物質、喘息などのアレルギー疾患との関与が想定されているdiesel exhaust particles (DEP)、ホルマリン (FA)、dibutyl phthalateを加えた60化学物質に関して、Jurkat T細胞由来#2H4細胞およびTHP-1 単球細胞由来TGCHAC-A4細胞、THP-G8細胞を用いてレポーターアッセイを行った。
②各実験において得られた結果を用いて、統計的解析手法を検討し陽性、陰性の判定基準を決定し評価法の確立を行った。
③MITA dataとmRNA発現との比較を行った。
④感作性物質が単球細胞に作用した際のIL-8転写活性をレポーター細胞であるTHP-G8細胞を用いて評価する試験法であるIL-8 Luc assayを組み込んだmodified MITAのdata setの作成を行った。
(倫理面への配慮)
健常人からの採血に際しては、倫理面に十分な配慮を行った。
結果と考察
化学物質が大きくIL-2 レポーター活性抑制物質、IL-8 Luc assay陽性物質、IL-8 Luc assay陰性でLPS刺激下のIL-1β/IL-8レポーター活性抑制物質、その他(IL-2あるいはIL-1βレポーター活性増強物質)の4群に分けられることが明らかとなった。次いで、この結果をもとにIL-2転写活性抑制とIL-8転写活性増強の2つをkey eventとするadverse outcome pathway (AOP)を作成した。前者では、dimethylthiocarbamate (DTC)のNF-kB抑制、AG-018986のp38 MAPK抑制、メチル水銀(CH3HgCl)のERK1/2抑制、Propanil (3,4-dichloropropionanilide (DCPA)のSTIM1、CRACを介したNFAT抑制、鉛のcalmodurinを介したNFAT抑制を組み込んだAOPが作成できた。また後者では、diesel exhaust particle (DEP)、フォルマリン、PM2.5さらには界面活性剤によるIL-8転写活性亢進作用とadverse outcomeとしての気道刺激性を組み込んだAOPを作成した。さらにこれらの結果をもとに、1月26日から28日までの三日間の予定で、国内外から免疫毒性の専門家を招き免疫毒性評価系国際化へ向けてのkick-off meetingを仙台にて開催し次年度の施設間差比較試験に向けての準備を整えた。
結論
①IL-8 Luc assayを組み込んだmodified MITAの構築とdata setの作成を完了した。
②作成したdata setから、化学物質が1)IL-2転写活性抑制物質、2)IL-8 Luc assay陽性物質、3)IL-8 Luc assay陰性、LPS刺激後のIL-8転写活性抑制物質、および4)その他(IL-2あるいはIL-1βレポーター活性増強物質)の4群に分類できることが明らかとなった。
③IL-2転写活性抑制、IL-8 転写活性亢進のそれぞれをkey eventとしたT細胞分化異常誘導および気道刺激性に関するAOPを作成した。
④国際的validation management委員会を組織し、MITAの科学的意義、作成したAOPの改良、試験法プロトコルの妥当性などに関して意見を求め試験法の改良に繋げた。

公開日・更新日

公開日
2016-05-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
総括研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2016-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201524012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
23,400,000円
(2)補助金確定額
23,400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 11,859,879円
人件費・謝金 2,596,088円
旅費 2,592,180円
その他 951,853円
間接経費 5,400,000円
合計 23,400,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2016-05-19
更新日
2016-05-30