平衡覚障害の発症機序と病巣局在診断法に関する研究

文献情報

文献番号
199800529A
報告書区分
総括
研究課題名
平衡覚障害の発症機序と病巣局在診断法に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
八木 聰明(日本医科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 馬場俊吉(日本医科大学)
  • 相原康孝(日本医科大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 感覚器障害及び免疫・アレルギー等研究事業(感覚器障害研究分野)
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
平成11(1999)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平衡感覚器である半規管と耳石器の障害は、多くの場合一括されて考えられている。しかし、半規管は両側では3対、耳石器は2対存在する。従って、実際にはそれらの部分的な障害が考えられるし、その程度も異なる可能性も少なくないと思われる。また、そのような病態を考慮に入れなければ解釈できないような検査結果にも遭遇する。本研究では、主として末梢前庭器の部分病態によって生じる平衡覚障害を解明しようとするものである。
研究方法
本研究では、眼球運動三次元解析の手段として眼球運動のビデオ画像を用いた方法を採用した。正確な眼球運動解析のためには、明瞭な眼球運動のビデオ画像を得る必要がある。ビデオカメラは被験者に装着できる軽量なものであり、明視下、暗所下どちらの状態でも明瞭な撮影が可能でなくてはならな。これらの点を解決するために、明視用と暗視用の赤外線CCDカメラ付軽量ゴーグルを開発する。平成10年度も既存の撮影装置を用いた。眼球運動三次元解析システムは、ビデオ画像を画像認識技術によって解析する方法を外部委託業者とともに進め、新しいシステムが出来上がり、これを用いて健常者および平衡覚障害者の眼球運動の解析を行う。また、メニエール病、良性発作性頭位眩暈症、前庭神経炎、突発性難聴、迷路瘻孔などの主として内耳疾患症例のめまい発作時の眼振を記録・解析する。
結果と考察
眼球運動三次元解析法のための新しいシステムを外部委託業者と共同して開発し、ほぼ完成したので、これを用いて実際の眼球運動記録データの検証を行っている。赤外線CCDカメラ付ゴーグル(明視下用、暗視下用)を作成した。暗視用はほぼ完成したが、明視用は現在進行中である。また、赤外線光源のビデオへの写り込みをなくすために、その技術を有している新しい業者に事業の一部を委託し、新しいゴーグルを作成中である。前庭刺激による眼球運動の解析がなされ、内耳刺激とくに耳石器刺激による眼球運動の検討が大幅に進歩した。また、病的例の自発眼振の解析も漸次進んでいるが、内耳内局在病巣に関する結論を出すには更に多くの症例の蓄積が必要である。眼球運動の三次元解析によって末梢前庭器の病巣局在を診断する方法に関する研究は、諸外国でも極めて少数の研究者のみが手がけているが、未だ明確な解答が得られていない。これには、記録・解析上のソフト、ハード両面からの研究が必要であるが、組織的な検討はなされていない。本研究は2年度めに入り軌道に乗り、これらの問題点に関する今後の結果が大いに期待できる。
結論
平成10年度は、眼球運動の撮影装置の一部を除いて、当初研究目標を完遂することができた。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

研究報告書(紙媒体)