アジア諸国の献血制度の構築と普及に関する研究

文献情報

文献番号
201523022A
報告書区分
総括
研究課題名
アジア諸国の献血制度の構築と普及に関する研究
課題番号
H26-地球規模A-指定-001
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 泰司(国立大学法人長崎大学 原爆後障害医療研究所 原爆・ヒバクシャ医療部門 血液内科学研究分野(原研内科))
研究分担者(所属機関)
  • 野崎 慎仁郎(国立大学法人長崎大学 国際連携研究戦略本部 )
  • 福吉 潤(株式会社キャンサースキャン)
  • 瀧川 正弘(日本赤十字社 血液事業本部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の1970年代及び80年代の献血制度の構築と普及に関する経験とノウハウ、また、カンボジアにおける献血活動の発展モデルを完成させ、周辺国に両方の経験を伝達していく。以って、開発途上国における献血制度の普及を促進するという国際貢献を図っていくことが本研究の目的である。 これまでの前身の研究において、カンボジアで大学生をターゲットにして献血運動を盛り上げることに成功したが、それを通じて献血の推進にはそれぞれの国の事情に応じた対応が必要であることが明らかとなった。本研究ではカンボジアでの成果をまとめ、それを定着させると共にこうした活動を他のアジア諸国へ広げていく。
研究方法
本研究の主要計画は以下の2点である。
1. カンボジアにおける大学献血キャンペーンモデルの定着化を図る。
2. 周辺国を巻き込んだ国際会議やワークショップを開催し、モデルケースの伝達をするとともにそれぞれの国の実情、問題点を明らかにする。
 第2年度に当たる平成27年度は、2を中心に実施し、特に献血ドナー確保に重要であるリピータードナーをどのように確保しているのかについて、参加各国からの発表をおこなう。 これを実行するために、ベトナム国立血液学・輸血研究所、カンボジア国立輸血センター(National Blood Transfusion Center, NBTC)、WHO、政府関連機関と協力した会議の開催、アジア周辺諸国の担当者が参加する国際会議の開催を企画する。研究においては、当該国政府及びWHOとの連携を密にして進めることとする。
結果と考察
(1)ベトナム(ハノイ)でアジア諸国を含む8カ国が参加する献血担当者およびその関連のものによる国際会議を開催した。今回の会議ではこれまでのカンボジアにおける大学生を中心とした献血キャンペーンの実績を当事者である学生を招いて発表してもらい、大学生の成功体験としての実感をアジア多国の献血担当者へ伝えた。
(2)日本を含むアジア諸国の献血活動の状況、それぞれの国が抱える問題点を、各国の献血担当者が発表し、またリピータードナー確保についての取り組みについて発表することで、貴重な情報を共有できた。ドナーの高齢化問題、Walk-in donor体制の現実としての必要性とそのマネージメントなど、それぞれによって全く異なる問題点が浮き彫りになった。
(3)こうした会議を通じて、アジア各国の献血担当者間のネットワークが作られつつあり、これは今後の献血活動の発展において重要なネットワークになることが予想される。アジア諸国においては献血推進状況に大きな差が見られるため、2020年までに血液製剤の原料を自国で賄うという目標を達成するためには、情報やアイデアを交換しつつ、それぞれの状況に応じた地道な活動が必要であると考えられる。
結論
発展途上国の一つであるカンボジアにおいて大学生を中心とした献血活動定着へのサポートを行うと同時に、アジア諸国を含む8カ国による献血活動に関する国際会議を開催した。リピータードナー確保の取り組みを中心に各国の献血活動の状況と問題点について情報共有を行った。献血活動の十分な成熟のためには、それぞれの国の状況に応じたきめ細かな支援が必要であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201523022Z