文献情報
文献番号
201523020A
報告書区分
総括
研究課題名
薬局・薬剤師の業務実態の把握とそのあり方に関する調査研究
課題番号
H27-医薬-指定-014
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
桐野 豊(徳島文理大学)
研究分担者(所属機関)
- 益山 光一(東京薬科大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
6,884,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我が国では、他国に類を見ないほど少子高齢化が急速に進行している。団塊の世代が75歳以上となる2025年(平成37年)以降は、国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれており、厚生労働省では、地域包括ケアシステムの構築を推進している。
このような中、薬局に従事する薬剤師は15万人を超え、調剤や医薬品供給等を通じて、公衆衛生の向上・増進に寄与し、国民の健康な生活を確保する役割を担う重要な社会資源と位置づけられる。平成27年10月23日には、厚生労働省が医薬分業の原点に立ち返り、現在の薬局を患者本位のかかりつけ薬局に再編するため、「患者のための薬局ビジョン」を公表した。このビジョンにおいて、薬局は服薬情報の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導や24時間対応・在宅対応、といった機能を備えること、また、従来の対物業務から、在宅対応も通じた継続的な服薬状況・副作用等のモニタリング、それを踏まえた医師へのフィードバックや処方提案、残薬解消など、患者が医薬分業のメリットを実感できる対人業務へのシフトを図ること、さらに、薬局におけるタイムスタディ調査を実施し、調剤技術の進展、機械化の状況など、最新の状況に応じた薬剤師業務の実態を把握することについて言及されており、そのために必要となるタイムスタディ調査等を実施した。
このような中、薬局に従事する薬剤師は15万人を超え、調剤や医薬品供給等を通じて、公衆衛生の向上・増進に寄与し、国民の健康な生活を確保する役割を担う重要な社会資源と位置づけられる。平成27年10月23日には、厚生労働省が医薬分業の原点に立ち返り、現在の薬局を患者本位のかかりつけ薬局に再編するため、「患者のための薬局ビジョン」を公表した。このビジョンにおいて、薬局は服薬情報の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導や24時間対応・在宅対応、といった機能を備えること、また、従来の対物業務から、在宅対応も通じた継続的な服薬状況・副作用等のモニタリング、それを踏まえた医師へのフィードバックや処方提案、残薬解消など、患者が医薬分業のメリットを実感できる対人業務へのシフトを図ること、さらに、薬局におけるタイムスタディ調査を実施し、調剤技術の進展、機械化の状況など、最新の状況に応じた薬剤師業務の実態を把握することについて言及されており、そのために必要となるタイムスタディ調査等を実施した。
研究方法
本研究では、タイムスタディ調査を実施し薬局における勤務実態を明らかにした上で、適正化可能な業務内容や在宅対応等が増える中での今後の薬局業務のあり方を検討するものとして、タイムスタディ調査では、調剤業務だけでなく、薬局の管理業務を含め薬局における業務実態全体について調査を行った。調剤業務については、処方箋受付、処方箋鑑査、疑義照会、薬袋準備記入、医薬品調製、薬剤鑑査、薬剤交付・服薬指導、記録作成といった項目に分類し、過去の先行調査との比較可能性を確保できるよう配慮しつつ、処方箋1枚当たりの業務時間を調査した。なお、タイムスタディ調査の実施に当たっては、調査対象となる薬局の選定が重要となることから、関係団体の協力を仰ぎながら、偏りが生じないよう調査対象薬局を選定し、全国10薬局において調査を実施した。
なお、タイムスタディの研究体制としては、過去に薬局のタイムスタディ調査を行った実績のあるみずほ情報総研に委託を行った。
なお、タイムスタディの研究体制としては、過去に薬局のタイムスタディ調査を行った実績のあるみずほ情報総研に委託を行った。
結果と考察
薬局・薬剤師の業務量の現状については、1日の業務からみた業務時間構成としては、医療用医薬品の調剤業務が最も多くなっており、6割前後の割合が多かったが、面分業の薬局や処方箋集中率の低い薬局では、在宅業務やその他の業務割合が増え、調剤業務は4割前後となっている。
また、1処方箋あたりで、主たる業務区分別の業務時間の割合をみると、割合は僅差ながらも、「監査」や「薬剤交付・服薬指導」の割合が多い薬局が多くなってきているが、引き続き、調査を実施し、対物業務から対人業務へのシフトがどのように進んでいるか、経時的変化も見ていく必要がある。
アンケート調査の結果からは、機械化の導入により一部の業務は効率化・円滑化されている面もあるものの、先駆的な取組みを実施している薬局・薬剤師においては、概ね全ての業務が増加しているとの状況であり、特に、高齢者の多剤併用が進む中で、ジェネリックの説明やお薬手帳の確認、一包化調剤、薬歴確認、薬剤交付・指導業務について、その業務時間が増えている。
また、1処方箋あたりで、主たる業務区分別の業務時間の割合をみると、割合は僅差ながらも、「監査」や「薬剤交付・服薬指導」の割合が多い薬局が多くなってきているが、引き続き、調査を実施し、対物業務から対人業務へのシフトがどのように進んでいるか、経時的変化も見ていく必要がある。
アンケート調査の結果からは、機械化の導入により一部の業務は効率化・円滑化されている面もあるものの、先駆的な取組みを実施している薬局・薬剤師においては、概ね全ての業務が増加しているとの状況であり、特に、高齢者の多剤併用が進む中で、ジェネリックの説明やお薬手帳の確認、一包化調剤、薬歴確認、薬剤交付・指導業務について、その業務時間が増えている。
結論
今回、薬局の地域や立地等での違いによる業務の違いについて現状の把握を行ったが、「患者のための薬局ビジョン」の公表、平成28年調剤報酬改定等による薬剤師業務に関する業務や制度の大きな変換の中で、今後の薬局・薬剤師の適正業務を把握するためには、対人業務や残薬対応等での業務量の増加の割合と、これまでの調剤業務で減少できる業務について、明確に把握できるよう、継続的なタイムスタディ調査等の実施が必要である。
なお、その際、今回のタイムスタディ調査での課題についても整理し、特に、残薬対応や在宅医療への参加、かかりつけ薬局・薬剤師業務の実施状況等のこれからの変化に対応し、より明確に把握できような調査設計等を検討していくことが重要である。
なお、その際、今回のタイムスタディ調査での課題についても整理し、特に、残薬対応や在宅医療への参加、かかりつけ薬局・薬剤師業務の実施状況等のこれからの変化に対応し、より明確に把握できような調査設計等を検討していくことが重要である。
公開日・更新日
公開日
2016-06-03
更新日
-