我が国におけるHIV診療ガイドラインの開発に関する研究

文献情報

文献番号
199800528A
報告書区分
総括
研究課題名
我が国におけるHIV診療ガイドラインの開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
岩本 愛吉(東京大学医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 味澤篤(都立駒込病院)
  • 岡慎一(国立国際医療センターエイズ治療開発センター)
  • 白阪琢磨(国立大阪病院)
  • 満屋裕明(熊本大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 エイズ対策研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
-
研究費
26,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
米国を先導者として、HIV感染症の治療は多剤併用療法の時代へと突入した。我が国においても承認過程が迅速化され、最近約2年間に7剤の抗HIV薬が認可された。その結果、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬5剤と非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬1剤、プロテアーゼ阻害薬4剤の計10剤が、平成11年3月現在処方可能となっている。治療薬の増加により治療の選択の幅が増えたものの、薬剤の選択に関して混乱が生じている。これらの抗HIV薬の中には、競合的に働く、或いは同様の副作用を持つ、などの理由で併用に適さない組み合わせも存在する。また、一見多数の抗HIV薬が使用可能であるが、その作用機序は2種類に留まり、不適切な使用法は、当該薬剤ばかりか、交叉耐性によって未使用の抗HIV薬まで無力としてしまう恐れがある。本研究は、国内外の研究成果をもとに、我が国におけるHIV診療ガイドラインを作成し、我が国のHIV診療レベルの向上に資することを目的とする。
研究方法
1998年12月米国保険・福祉省(Department of Health and Human Services)から出版された成人・青年を対象としたガイドラインをたたき台とする。ヨーロッパやオーストラリア、WHOなどから広く抗HIV治療に関する情報収集を行い、米国以外の考え方をガイドラインに反映させる。複数の施設から治療経過に関するデータを収集し、我が国の症例について情報提供する。ガイドラインをハードコピーとしてまとめ、全国の拠点病院に配布する。CD-ROMを媒体として、ガイドラインをわかりやすく解説したものを全国の拠点病院に配布する。国立国際医療センター内のエイズ治療研究開発センターや医科学研究所などのホームページに紹介し、ガイドラインにインターネットからアクセスできるようにする。
結果と考察
米国のガイドラインをたたき台とし、広く世界から情報を集め、我が国に即したガイドラインを作成した。本ガイドラインにより、HIV感染症の病態と、現在我が国で使用可能な抗HIV薬の種類とそれらの作用機序、組合せ方および副作用や他の薬物との相互作用などについての知識を得ることができる。
結論
本ガイドラインを利用することにより、我が国のHIV感染症の診療に一定の標準化をもたらすことが期待され、我が国のHIV感染症の診療レベルを向上させるために役立つものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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