機能性化粧品成分の個体差等に基づく安全性評価法の策定に関する研究

文献情報

文献番号
201523014A
報告書区分
総括
研究課題名
機能性化粧品成分の個体差等に基づく安全性評価法の策定に関する研究
課題番号
H27-医薬-指定-008
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
最上 知子(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 石川 治(群馬大学 大学院医学系研究科)
  • 片山 一朗(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 鈴木 民夫(山形大学 大学院医学系研究科)
  • 秋山 卓美(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
4,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ロドデノール配合薬用化粧品による白斑発症に関しては、平成25-26年度厚生労働科学研究(「ロドデノール配合薬用化粧品による白斑症状の原因究明・再発防止に係る研究」などの研究により、白斑発症にはロドデノールの代謝とメラノサイト傷害の関与が強く示唆されている。加えて、様々な由来のメラノサイトはロドデノールに対する感受性に大きな差異があることや、一部の患者では塗布部以外にも白斑が波及する難治性白斑が見いだされ、発症には他の関連因子の存在が示唆されている。本研究はこれらの成果・知見を踏まえ、発症機序のさらなる解明を進める。患者由来組織を用いた解析を行い、白斑発症に重大な因子と評価に有用な指標を明らかにし、試験方法を検討し、新規美白成分の安全性評価法策定への貢献をめざす。
研究方法
患者由来組織を用いた原因究明:ロドデノール配合薬用化粧品による白斑症例ならびに尋常性白斑患者の病変部皮膚、健常人の正常皮膚を組織学的に比較解析した。また患者皮膚生検サンプルや血液を用いてメラノサイトやリンパ球、自己抗体を解析した。機関研究倫理審査委員会の承認を取得し、試料データは連結可能匿名化し研究を進めた。
安全性評価法の構築:ロドデノールおよび類似物質のチロシナーゼによる代謝と毒性増強を、各種メラノーマ細胞のチロシナーゼ発現量を変化させ解析した。またオルトキノンへの代謝活性化をシステインペプチドの結合により測定した。
結果と考察
[I]患者由来組織を用いた原因究明:平成27年度は、患者および健常人の皮膚検体を解析し、データの集積を行った。免疫組織学的解析により難治性白斑病変部でのグルタチオン合成酵素の低下、形態的に尋常性白斑と異なるメラノサイト異常、患者末梢血中のリンパ球の異常、ならびにロドデノールによるメラノサイトのオートファジー経路への影響等、病態形成や個体差との関わりが推察される知見を得た。また、日本人皮膚モデルマウスを用いた病態モデルの利用を検討した。来年度は皮膚検体をさらに追加して解析を進める予定である。
[II]安全性評価法の構築:白斑発症と関連が予測されるロドデノールのチロシナーゼによる代謝活性化を、(1) システイン含有ペプチドとの結合により測定する方法、(2) チロシナーゼ依存の細胞毒性として評価する方法について検討を行った。(1)ロドデノールのチロシナーゼ代謝により生じるオルトキノンと、感作試験Direct Peptide Reactivity Assay用システイン含有ペプチドとの結合を測定した。引き続きロドデノール類似化合物の評価に応用し、白斑誘導能との関係を明らかにする。(2)各種メラノーマ細胞では既報のようなチロシナーゼ依存性のロドデノールの毒性が認められず、遺伝子導入によりチロシナーゼ高発現細胞を調製し、解析を進めている。引き続き条件の至適化を行うと共に、発症機序解明の成果を取り入れ試験系の改良を進める予定である。
本研究により、白斑治療への戦略とともに、医薬部外品・化粧品成分による健康被害防止のために、有用な知見が得られると考えられる。
結論
ロドデノール白斑の発症機序解明と美白成分の安全性評価法構築を目指し、実際の症例におけるグルタチオン合成酵素の低下など、ロドデノール影響の個体差への関与が考えられる分子機構・免疫異常を明らかにした。また、白斑発症との関連が強く示唆されるロドデノールのチロシナーゼによる代謝活性化を、システイン含有ペプチドとの結合により測定する方法、細胞毒性として評価する方法を検討した。さらに発症機序解明の成果を取り入れ改良を進め、新たな健康被害防止につなげる予定である。

公開日・更新日

公開日
2016-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-05-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201523014Z