薬剤師が担うチーム医療と地域医療の調査とアウトカムの評価研究

文献情報

文献番号
201523012A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤師が担うチーム医療と地域医療の調査とアウトカムの評価研究
課題番号
H25-医薬-指定-025
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
安原 眞人(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科薬物動態学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 均(長崎大学病院)
  • 稲垣 中(青山学院大学)
  • 長谷川 洋一(名城大学薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
5,840,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
少子超高齢化社会における医療提供体制の再構築が求められる中で、チーム医療の進展や地域医療の拡充に向けて、薬剤師の担う役割を明確にし、求められる専門性を活かすための実践的方法論を確立する。
研究方法
日本医療薬学会を中心として日本病院薬剤師会ならびに日本薬剤師会との連携のもとに調査研究班を組織した。チーム医療推進分担研究班では、前年度に引き続き医師、薬剤師等で事前に作成・合意されたプロトコールに基づく薬物治療管理(Protocol Based Pharmacotherapy Management, PBPM)の先進的事例の収集を行うとともに、チーム医療の進展や地域医療の拡充に向けた実践的方法論の確立を目指して、多職種によるチーム医療の基本となるPBPM導入マニュアルを作成した。精神科医療機関と調剤薬局の連携に関する実証的研究に関しては、実施に際して研究倫理審査委員会の承認を受け、UMIN000017407として臨床試験登録した。また、健康サポート薬局に係る研修内容及び第三者確認の方法について検討した。
結果と考察
1)チーム医療推進分担研究(分担研究者:佐々木均)
多職種によるチーム医療の基本となるPBPM導入マニュアルを作成した。PBPMの実践においては、医療課題の抽出、解決案の討論、各職種の役割分担、分担規則の決定、情報の共有化など、多段階的・多角的なステップを考慮する必要があり、標準的な手順や必要項目を示した総論と代表事例を示した各論からなる導入マニュアルを作成した。平成28年2月11日に開催したシンポジウムでは、5つの先進事例とPBPM導入マニュアル案を報告し、チーム医療における薬剤師の役割について総合的に考察した。
2)地域医療・かかりつけ薬局推進分担研究(プロトコール担当)(分担研究者:稲垣中)
精神科医療機関と調剤薬局が連携して、薬剤師が副作用モニタリングを行い主治医にフィードバックすることの有用性について、試行的な介入研究を実施した。対象患者70名に対して調剤薬局の薬剤師による約2ヶ月間に及ぶ副作用モニタリングによって、副作用が全体的に減少するとともに、医師による診察の際に患者が申告し損ねた医療安全上重要な副作用を検出できる可能性が示唆された。
3)地域医療・かかりつけ薬局推進分担研究(研修担当)(分担研究者:長谷川洋一)
健康サポート薬局に係る研修に関する内容及び第三者による確認等について検討を行い、健康サポート薬局に係る研修の実施機関、研修の内容、時間数、研修修了証の発行、研修の第三者による確認等について取りまとめた。
結論
医師、薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知見の活用を通じて、患者の薬物治療管理を行うPBPMが推奨される。PBPM導入の標準的な手順を整理し、参考とすべきガイドラインや病院や地域で導入するPBPMのチェックリストなどを取りまとめたPBPM導入マニュアルの活用が期待される。
精神科医療機関と調剤薬局の連携において、調剤薬局の薬剤師による副作用モニタリングの有用性が示唆された。
健康サポート薬局の要件となる健康サポートに取り組む薬剤師の研修の専門性や客観性、公平性を確保するために、研修の実施機関、研修の内容、研修の第三者による確認の方法、確認を実施する指定確認機関の要件等を示した。

公開日・更新日

公開日
2016-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-06-02
更新日
-

文献情報

文献番号
201523012B
報告書区分
総合
研究課題名
薬剤師が担うチーム医療と地域医療の調査とアウトカムの評価研究
課題番号
H25-医薬-指定-025
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
安原 眞人(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科薬物動態学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 均(長崎大学病院 )
  • 吉山 友二(北里大学薬学部 )
  • 長谷川 洋一(名城大学薬学部)
  • 稲垣 中(青山学院大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
少子超高齢化社会における医療提供体制の再構築が求められる中で、チーム医療の進展や地域医療の拡充に向けて、薬剤師の担う役割を明確にし、求められる専門性を活かすための実践的方法論を確立する。
研究方法
日本医療薬学会を中心として日本病院薬剤師会ならびに日本薬剤師会との連携のもとに、医療機関におけるチーム医療の先進的事例を収集し、そのアウトカム評価について調査・解析した。かかりつけ薬局機能をもった在宅医療提供薬局を推進するための新たな基準を作成し、有識者へのヒアリンングとアンケート調査を行った。薬局における健康情報等の提供状況や要指導医薬品・一般用医薬品等の取扱状況の実態を調査し、健康情報拠点としての薬局のあり方について検討した。精神科医療機関と調剤薬局の連携に関する実証的研究に関しては、実施に際して研究倫理審査委員会の承認を受け、UMIN000017407として臨床試験登録した。また、健康サポート薬局に係る研修内容及び第三者確認の方法について検討した。
結果と考察
1.チーム医療推進分担研究班(分担研究者:佐々木均)
薬剤師が担うチーム医療の先進事例を3年間にわたり調査・収集した。医師、薬剤師等で事前に作成・合意されたプロトコールに基づく薬物治療管理(Protocol Based Pharmacotherapy Management, PBPM)により、医療の質の向上、安全性の改善、経済性、医療従事者の負担軽減などの成果が得られることを示した。各研究年度ごとに開催したシンポジウムにおいて、先進事例を具体的に紹介しチーム医療における薬剤師の役割に関する考察を深めた。さらに、多職種によるチーム医療の基本となるPBPM導入マニュアルを作成し、医療課題の抽出、解決案の討論、各職種の役割分担、分担規則の決定、情報の共有化など、PBPMの実践に必要な多段階的・多角的なステップについて、標準的な手順や必要項目を示した。
2.地域(在宅)医療・かかりつけ薬局推進分担研究班(分担研究者:吉山友二、長谷川洋一、稲垣中)
研究初年度には、かかりつけ薬局機能をもった在宅医療提供薬局を推進するための新たな基準として、「薬局の求められる機能とあるべき姿」を作成・公表した。次年度は、薬局における健康情報等の提供状況や、要指導医薬品・一般用医薬品等の取扱状況等に関するアンケート調査を踏まえ、健康情報拠点としての薬局の基本的な機能と必要とされる構造・設備等の要件を取りまとめた。最終年度は、プロトコール担当班と研修担当班の2班を組織した。プロトコール担当班では、精神科医療機関と調剤薬局の連携に関する実証的研究を行い、調剤薬局の薬剤師による副作用モニタリングによって副作用が全体的に減少するとともに、医師による診察の際に患者が申告し損ねた医療安全上重要な副作用を検出できる可能性を示唆した。研修担当班では、健康サポート薬局に係る研修に関する内容及び第三者による確認等について検討し、健康サポート薬局に係る研修の実施機関、研修の内容、時間数、研修修了証の発行、研修の第三者による確認等について取りまとめた。
結論
医師、薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知見の活用を通じて、患者の薬物治療管理を行うPBPMは、医療の質の向上、安全性の改善、経済性、医療従事者の負担軽減などに貢献する。PBPM導入の標準的な手順を整理し、参考とすべきガイドラインや病院や地域で導入するPBPMのチェックリストなどを取りまとめたPBPM導入マニュアルの活用が期待される。
医療機関と調剤薬局の緊密な連携により薬物療法の安全性を向上させることが期待できる。本研究で取りまとめた「薬局の求められる機能とあるべき姿」や健康サポート薬局に係る研修の要件等は、地域包括ケアシステムの一員として地域医療を支える薬局の姿を示すものである。

公開日・更新日

公開日
2016-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

総合研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2016-06-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201523012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医師と薬剤師が特定の患者の治療に関し契約を締結し、合意されたプロトコールに基づく薬物治療管理(Collaborative Drug Therapy Management)を行うことが、米国では法的に認められている。本邦にはこうした法的な仕組みがない。そこで、薬剤師に認められた現行法の業務の中で、医師と合意したプロトコールに従って薬剤師が薬物治療管理を担うProtocol Based Pharmacotherapy Management(PBPM)の実践例を収集し、そのアウトカムを明らかにした。
臨床的観点からの成果
チーム医療推進分担研究班により作成されたPBPM導入マニュアルは、PBPMの実践における多段階的・多角的なステップの標準的な手順やチェックリストが記載されており、個々の医療機関や地域におけるチーム医療の導入手順書として活用が期待される。地域医療・かかりつけ薬局推進分担研究班による各年度毎の報告は、地域医療の担い手としての薬局のあり方を示した。
ガイドライン等の開発
「薬局の求められる機能とあるべき姿」の報告書は薬食総発0121第1号(平成26年1月21日)として公表が通知され、平成26年度診療報酬改定に係る中医協答申(平成26年2月12日)の在宅薬剤管理指導業務の一層の推進の項で引用され、厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」(平成27年10月23日)で参照された。
その他行政的観点からの成果
健康サポート薬局に係る研修内容および第三者確認の方法についての報告は、厚生労働省医薬・生活衛生局から「健康サポート薬局に係る研修実施要綱について」(平成28年2月12日薬生発0212第8号)と「健康サポート薬局に係る研修の第三者確認の実施機関について」(平成28年3月15日薬生総発0315第1号)として公表され、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成28年厚生労働省令第19号)で定める健康サポート薬局の施策に反映されることとなった。
その他のインパクト
公開シンポジウムを3回開催した(会場はいずれも日本薬学会長井記念ホール)。
平成26年2月16日:薬剤師が担うチーム医療例4件と薬局の求められる機能とあるべき姿の報告。
平成27年2月22日:医師、薬剤師等で事前に作成・合意されたプロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)の実践例6件と健康情報拠点としての薬局に関する調査報告。
平成28年2月11日:PBPMの先進事例5件とPBPM導入マニュアル案の報告。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
吉山友二、川上美好、成川衛、他
「薬局の求められる機能とあるべき姿」に関する薬局開設者・管理者へのアンケート調査
医療薬学 , 41 (6) , 424-434  (2015)
原著論文2
Katsunori Furuta, Fumihiro Mizokami, Hitoshi Sasaki, et al.
Active topical therapy by “Furuta method” for effective pressure ulcer treatment: a retrospective study
Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences , 1 (21) , 1-9  (2015)
DOI 10.1186/s40780-015-0021-8
原著論文3
Mai Ikemura, Shinji Nakasako, Ryutaro Seo, et al.
Reduction in gastrointestinal bleeding by development and implementation of a protocol for stress ulcer prophylaxis: a before-after study
Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences , 1 (33) , 1-6  (2015)
DOI 10.1186/s40780-015-0034-3

公開日・更新日

公開日
2016-06-07
更新日
2017-05-29

収支報告書

文献番号
201523012Z