ワクチンの品質確保のための国家検定に関する研究

文献情報

文献番号
201523007A
報告書区分
総括
研究課題名
ワクチンの品質確保のための国家検定に関する研究
課題番号
H27-医薬A-一般-004
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 篤(国立感染症研究所 品質保証・管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 倉根 一郎(国立感染症研究所 所長)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 浜口 功(国立感染症研究所 血液安全性・研究部)
  • 板村 繁之(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
  • 柊元 巌(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析センター)
  • 石井 孝司(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 落合 雅樹(国立感染症研究所 品質保証・管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国家検定制度は、製造販売承認制度、GMP調査制度及び製造販売後調査制度等と共に我が国に流通するワクチンの品質確保において根幹を成す医薬品規制制度の一つである。この一方で国家検定の実施には、時間、経費、人員、施設が必要であり、ワクチンの迅速な供給等を妨げる要因であるとの指摘がある。加えて、ワクチン製造技術は高度化しており、感染症のグローバルに伴い感染症対策としてのワクチンワクチンもグローバル化しており、これら国際化等にあわせた国家検定制度の見直しも必要である。本研究では、国家検定制度に加え、関連する医薬品規制制度との連携を検討することにより効果的かつ効率的な国家検定制度への改善に資することを目的とする。
研究方法
国家検定の効率化を検討するために国家検定の試験項目、試験実施頻度を変えるなどの仕組みを導入の可否について、ワクチンの検定機関である感染研の職員を中心に調査、研究を行った。製品のリスク評価を検討するために他国の例を参考にして、国家検定で得られる情報に加え、厚生労働本省及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構の協力を仰いでGMP調査の状況情報、検定に提出されないロットの情報、更に予防接種後副反応報告情報を加え、それら項目化してリスク評価を試みた。一般的に試験結果のばらつきが大きい動物試験の代替法を検討するために、試験精度及び再現性等の改善をめざして試験法の改良、開発を検討した。
結果と考察
ワクチンにSLP審査制度を導入してから3年余が経過し、その審査を通じて多くの製品のロットごとの製造と自家試験に関する記録の蓄積が進んだ。ロット毎の製品品質データのトレンドから品質の安定性を適切に評価する手法を検討した。諸外国の例を参考に品質リスクを製造と試験記録を基に項目別にスコア化し、客観的かつ透明性の高いシステムを構築することが有用と考えられた。国家検定には現れてこない廃棄ロット情報、他国向け製造情報、出荷後の副反情報等の活用すべきと考えられた。また議論の課程で国家検定の約半分(年間約500ロット)を占める血液製剤についても、ワクチン並みにSLP審査制度を導入することに決め、研究班内にワーキンググループをつくって検討した。加えて、国家検定で実施されている規格試験を中心に、代替試験の開発、評価を行った。
結論
海外の状況を参考にしてわが国に於いてもワクチンの品質リスクを評価する手法を確立する必要がある。品質のリスクに応じて検定試験項目の必要性、全ロット試験の見直しを検討する段階になった。リスク評価方法として項目別にスコア化し、その値に基づきリスク分類をすることが、合理的である。血液製剤のロットリリースにおいてもワクチンと同様にSLP審査を導入する必要があるとの結論に達した。

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201523007Z