発芽前後におけるGMダイズの遺伝子発現プロファイリングに関する基盤研究

文献情報

文献番号
201522051A
報告書区分
総括
研究課題名
発芽前後におけるGMダイズの遺伝子発現プロファイリングに関する基盤研究
課題番号
H27-食品-若手-023
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
中村 公亮(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
3,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 昨今、発芽ダイズは発芽前を上回る栄養価が注目されており、菓子や健康食品などの加工食品に利用されている。種子は、発芽に伴って休眠状態にある遺伝子の発現を活発化させるため、発芽前後ではタンパク質をはじめとする代謝産物の構成が大きく異なることが予想される。食品加工への発芽ステップの導入といった食品科学技術の著しい進展に伴い、遺伝子組換え(GM)ダイズの構成成分の変化等に関する検討を進める必要が出てきた。本研究では、ダイズが発芽する際に発現誘導される遺伝子(発芽遺伝子)について、転写及び翻訳レベルで全ゲノム上の遺伝子を網羅し解析する新しい手法を開発し、GM型と非GM型ダイズの構成成分の変化等を比較する際の有用性について検証を行うことを目的とする。
研究方法
 試験には、国内で流通している非GM型ダイズ2品種(アメリカ産 GL3494品種、カナダ産OAC Kent品種)、及び、Williams品種を供した。発芽条件は、2種類の方法(①「発芽ダイズ加工食品及び前記食品の製造方法」(特開2006-345708)、②ガス滅菌種子をそれぞれ上下2枚のキムタオルで挟み込み滅菌水で湿らせた後、48時間27℃又は40℃で発芽させる方法)を検討した。RNA-Seqは、イルミナHiSeq2500を使用して行った。遺伝子発現の定性・定量的な確認は、RT-リアルタイムPCR及びLC-MS/MSを使用して行った。2群間の発現差のあると判定された遺伝子に関しては、既存のアレルゲンデータベースを使用した既知アレルゲンとのアミノ酸配列の相同性検索を行った。
結果と考察
 1粒単位のRNA-Seqより、出力データのクオリティートリミング後1サンプルあたり7,000万リード以上のデータを得た。出力データ中の非特異的なリードの取得を抑える解析プロトコルを作成することができた。RNA-Seqの結果、27℃と40℃で発芽させた際の温度差によって2倍以上(p<0.05)の発現量差のある遺伝子12,722遺伝子が検出された。遺伝子(GLYMA07G06750.2)は、1,174倍(p値9.42×10-44)の最大の発現量差が検出された。75~364倍の差のあった3種類の遺伝子についてRT-リアルタイムPCRより定量した結果、RNA-Seqで検出された発現の差が確認された。また、発芽温度も含め一定の環境下で発芽させたダイズの品種間において2倍以上の差(p<0.05)のある8,418遺伝子が検出され、RT-リアルタイムPCRにて発現差が確認された。サンプル間の遺伝子発現量の比較情報を基に、RT-リアルタイムPCR定量用プライマー対の設計が可能であることが示唆された。2群間で発現差のある遺伝子リストに関しては、発現すると予測されるタンパク質のアミノ酸配列を既存のアレルゲンデータベースとバッチ比較する方法を構築した。また、アノテーションされていないリード配列から、新規発芽遺伝子を検出した。
結論
 GM型ダイズと非GM型ダイズとの発芽遺伝子の発現に関する比較を行うための発芽条件の検討とRNA-Seq解析用の非GM型ダイズ品種のリファレンスデータを構築した。RNA-Seqで得られたデータは、アレルゲンデータベース上のデータと照合し、既知アレルゲンとのアミノ酸配列の相同性検索に使用することが可能であった。また、新規発芽遺伝子を特定した。

公開日・更新日

公開日
2016-07-05
更新日
-

収支報告書

文献番号
201522051Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,750,000円
(2)補助金確定額
3,750,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,535,914円
人件費・謝金 0円
旅費 113,746円
その他 96,322円
間接経費 0円
合計 3,745,982円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
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