野生鳥獣由来食肉の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
201522033A
報告書区分
総括
研究課題名
野生鳥獣由来食肉の安全性確保に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H27-食品-一般-011
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
高井 伸二(北里大学 獣医学部  獣医衛生学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 前田 健(山口大学共同獣医学部 獣医微生物学研究室)
  • 安藤匡子(鹿児島大学共同獣医学部 獣医公衆衛生学研究室)
  • 壁谷英則(日本大学生物資源科学部 獣医公衆衛生学研究室)
  • 岡林佐知(一般社団法人予防衛生協会)
  • 杉山 広(国立感染症研究所 寄生動物部)
  • 朝倉 宏(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
野生鳥獣由来食肉の安全性確保に関する研究の目的は、1)野生鳥獣における病原体の保有状況の把握、特に食中毒細菌について保有状況を調査し、年間を通して調査することにより、季節性を明らかにする。2)HEV感染環の解明とリスク調査を実施する。3)日本各地で捕獲されたイノシシやシカの病理組織学的検索を実施、解体時に認められた異常所見と病理組織学的診断結果から正常・異常の肉眼的判断基準を示す。4)鹿食肉処理施設で処理された鹿枝肉のふき取り材料を用いて衛生指標細菌を測定し、鹿肉処理施設における衛生状況を検討する。5)野生鳥獣由来食肉の安全性確保に必要な解体処理施設の衛生管理を担保するために、地方自治体が実施するマニュアル作成等を支援し、施設登録の制度策定等を図る。6)調理段階における検討では、国として実施すべき科学的根拠に基づく支援策をモデルとして提示する。
研究方法
研究方法は以下の通りである。1)中国・九州地方の野生シカ・イノシシ(各100頭)の糞便から、食中毒細菌の分離を行い、保菌率を調査する。2)すべての哺乳動物種に応用可能なELISA系を用いて狩猟者・サルを含む様々な動物でE型肝炎保有状況を比較した。3)各地方のイノシシやシカ材料をホルマリン固定で送付して頂き、それらの病理組織学的検索した。4)2015年2~8月の間に,国内で捕獲され,処理施設Aにて解体処理された,シカ52頭,およびイノシシ9頭を用い、衛生検査を実施した。5)全国の解体処理施設の見学とアンケート調査による実態調査を通じて、施設の問題点の抽出と解析を行った。6)8つの自治体の協力を得て、加工・販売・調理事業者に対して衛生実態に係るアンケート調査を実施した。
結果と考察
1)平成27年度は、1年間に採集したシカ155頭、イノシシ138頭からのサンプルを細菌分離に供した。保菌率は、病原性大腸菌(STEC)シカ15.5%、イノシシ2.2%であり、どちらからもO157が分離された。黄色ブドウ球菌はシカ9.0%、イノシシ1.4%が保菌していたが、毒素産生株は認められなかった。カンピロバクタ-はシカ3.2%、イノシシ14.5%が保菌しており、C. jejuniとC. coliの他にヒトへの感染が報告されている種が分離された。サルモネラは分離されなかった。2)狩猟者の38%がHEVに対する抗体を保有していた。イノシシで陽性例が認められている地域のアライグマやハクビシンにはHEV抗体陽性が認められなかった。サルでもHEV抗体陽性が見つかった。フェレットに関してはヒトとは異なるフェレットHEVが感染していることが確認された。3)山口県のシカ6頭とイノシシ6頭、鹿児島県のシカ5頭の材料を得て病理組織検索を実施中である。これからの繁忙期に、より積極的に情報を発信し、収集・検索に努めたい。 4)シカおよびイノシシの枝肉では,一般細菌数,大腸菌群数,黄色ブドウ球菌数が検出限界未満となった検体は,シカの胸部で,それぞれ35(67.3%),46(88.5%),48(92.3%)検体,シカの肛門周囲部で,それぞれ37(71.2%),49(94.2%),48(92.3%)検体,イノシシの腹部で,それぞれ6(66.6%),9(100%),9(100%)検体であった。一般細菌数が全国の牛枝肉における中央値(胸部:108.1個/cm2,肛門周囲部:83.6個/cm2) よりも低い値となったものは,シカ・胸部で80.8%(42/52),シカの肛門周囲部で82.7%(43/52),イノシシの腹部で88.9%(8/9)であった。一方,一般細菌数が,10,000個/cm2以上となった検体もシカの胸部で19.2%(10/52),シカの肛門周囲部で11.5%(6/52),イノシシの腹部で11.1%(1/9)認められた。5)全国10自治体へのアンケート調査を実施した。6)アンケート調査では、計69施設より回答を得、各施設での状況を把握した。
結論
1)野生獣肉の喫食によるHEV感染は、イノシシが最もリスクが高く、特に子イノシシに注意すべきである。2)7-8月頃にHEV感染が自然界で蔓延していることから、この時期の野生獣肉には特に注意を要する。
3)野生ザルがHEVに感染している。4)サルコシスティス属寄生虫の死滅のための条件を検討した。4℃および0℃(氷温)では、7日間以上の生存が認められた。5) サルコシスティス属寄生虫は、-20℃、-30℃、-80℃の冷凍保存においては、2時間以内に死滅が確認された。

公開日・更新日

公開日
2016-08-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201522033Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,000,000円
(2)補助金確定額
13,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 7,092,253円
人件費・謝金 562,110円
旅費 1,389,895円
その他 955,811円
間接経費 3,000,000円
合計 13,000,069円

備考

備考
研究分担者(日本大学:壁谷教授)に配分した分担金に69円の利息が生じたため。

公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
-