食品添加物等の遺伝毒性発がんリスク評価のための新戦略法に関する研究

文献情報

文献番号
201522024A
報告書区分
総括
研究課題名
食品添加物等の遺伝毒性発がんリスク評価のための新戦略法に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H27-食品-一般-002
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター変異遺伝部)
研究分担者(所属機関)
  • 戸塚 ゆ加里(国立研究開発法人 国立がん研究センター研究所 発がん・予防研究分野)
  • 高村  岳樹(神奈川工科大学 工学部)
  • 正田 卓司(国立医薬品食品衛生研究所 有機化学部)
  • 杉山 圭一(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター変異遺伝部 )
  • 安井 学(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター変異遺伝部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遺伝毒性試験は発がん性物質のスクリーニング試験であると同時に、その遺伝毒性メカニズムが、発がん性リスク評価の上で重要な情報となる。本研究では、OECDが提唱する「化学物質と生体の相互作用から個体での毒性発現までのメカニズムを関連づけて説明する手法(AOP)」を取り入れた新たな遺伝毒性評価ストラテジーと、階層からなる追跡型試験系を開発し、遺伝毒性発がんリスク評価法の精緻化を目指す。
研究方法
(A)化学物質→DNA付加体に関する研究:①付加体標準品をLC-MS/MSで高感度に分析するために、各種パラメーターの最適化を行い、そののち、既知DNA付加体をLC-MS/MSで分析した。②食品中のがん原性ヘテロサイクリックアミンの一つであるPhIPの部位特異的修飾オリゴヌクレオチドの合成を試みた。③ヘテロサイクリックアミンなどのDNA付加体のうち高い発がん性を有する2-aminofluoreneのDNA付加体であるdG-C8-AAFと、MeIQxの付加体であるdG-C8-MeIQxの合成を試みた。
(B)DNA付加体→突然変異に関する研究:紫外線照射によって形成する主なDNA付加体のうち、cis-syn TTシクロブタン ダイマー(TTダイマー)を1つ含んだターゲティングベクターを構築し、それをTATAM法によりゲノムに導入し、そのTTダイマーが引き起こす突然変異誘発頻度とスペクトラムを解析した。
(C)エピ遺伝毒性物質の検出と評価に関する研究:ヒトDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT1)、の発現プラスミドを各々構築し、出芽酵母に形質転換し得られた2種類の形質転換体を用いて、DNMT阻害剤に応答性を示すバイオマーカーの探索を行った。
結果と考察
(A)化学物質→DNA付加体に関する研究:①既知DNA付加体をLC-MS/MSで分析し、得られたフラグメントパターンなどをデータベースに登録した。現在、PhIPを経口投与したラット肝臓からゲノムDNAを抽出し、アダクトーム法により付加体の網羅解析を行っている。②PhIPの部位特異的修飾オリゴヌクレオチドの合成に関して、より簡便な幾つかの方法を試みた。本年度中にアミダイトの合成が終了し、部位特異的オリゴヌクレオチドの合成が完了する。③dG-C8-AAFの合成は8位へのアセチル基導入が難航し、目的物を得ることができなかった。dG-C8-MeIQxの合成に関してはMeIQxのDNA誘導体への導入に成功しており、今後ホスホロアミダイト体の合成及びオリゴDNAの合成を行う。
(B)DNA付加体→突然変異に関する研究:TTダイマーの導入部位で二塩基欠失(1.5%)が主に検出された。また、一塩基置換もわずかに観察され、突然変異誘発頻度の合計は3.5%と推定された。
(C)エピ遺伝毒性物質の検出と評価に関する研究:ヒトDNMT酵母はDNMT阻害剤である5-アザ-2'-デオキシシチジン(5AZ)により濃度異存的に抑制されることが明らかとなった。その際、FLO1 mRNAレベルが上昇していたことから、本酵母の誘導型凝集性にはFLO1遺伝子産物が関与することが示唆された。本系は可視化可能な凝集性をバイオマーカーとして有する世界初のエピ変異原ファーストスクリーニング系に応用できる。
結論
化学物質と生体(組織)の相互作用から個体での毒性発現を関連づけ(AOP)、それに基づく統合的試験・評価方法(IATA)を取り入れた新たな階層型遺伝毒性試験系のフレームワークが完成した。今後、各段階での変異メカニズムの情報の蓄積が、変異原性・発がん性の予測を精緻化させるものと考える。

公開日・更新日

公開日
2016-07-06
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-07-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201522024Z