文献情報
文献番号
201522014A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代バイオテクノロジー技術応用食品等の安全確保に関する研究
課題番号
H25-食品-一般-015
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 一成(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部)
研究分担者(所属機関)
- 原田竹雄(弘前大学 農学生命科学部)
- 山本卓(広島大学 理学部)
- 吉松嘉代(医薬基盤・健康・栄養研究所)
- 中村公亮(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
12,150,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年の遺伝子組換え(GM)技術の急速な進歩に伴い、TALENやCRISPR, Piggybac Transposon System等のゲノム編集や接ぎ木を利用した遺伝子サイレンシング誘導から生まれた作物などの次世代バイオ技術が食品分野でも応用されつつあるため、これを用いて作出されたGM生物の安全性や規制の在り方や検知方法に関する検討が急務となっていることから検討する。
研究方法
最も急速に普及しているゲノム編集は、安全に用いることを目的に技術開発(特に効率的な遺伝子ノックイン手法)と標準化を進める一方で、細胞レベル、個体レベルでTALEN,CRISPR/Cas9を作用させた時に起きる変化、オフターゲット切断、染色体への影響、遺伝子ノックインによる影響を解析する。接ぎ木は、転写型遺伝子サイレンシングの結果作出された実について、GM穂木由来のsiRNAの残存性、オフターゲットについて検討した。情報収集は、文献、学会等の検索から、新技術を用いた動植物の開発状況、薬用用途など組換え作物開発状況、および諸外国の規制に関する情報を収集した。
結果と考察
ゲノム編集を用いた効率的な遺伝子ノックイン手法を開発して生物に応用した。標的配列から想定されるオフターゲット切断は検出されなかった。ゲノム編集を用いた標的配列およびその周辺7kbの解析を行った。CRISPR/Cas9では、細胞周期の増殖期によっては変異誘導確率が10倍に上昇したが、いずれの細胞周期においてもその欠失の程度は同じで、染色体異常も認められなかった。遺伝子ノックインは、その位置と挿入される向きによって、周辺遺伝子発現量が大きく増加することから、挿入位置の選定が必要な場合も想定される。接ぎ木では、低分子RNA分子は師管輸送により相互に移行するが、最終産物には残存しない。ゲノム編集作物は5年以内に実用化の可能性があると考えられた。
結論
ゲノム編集技術では、標的部位での小さな改変(欠失)のみで標的配列以外の場所に変異がなければ、従来育種以上のリスクはないと考えられる。ODMも数塩基置換のみであれば、同様に考えられる。複数の新技術を組み合わせた場合の判断は難しい。接ぎ木は、遺伝子産物がない遺伝子サイレンシング場合は、siRNAが残存しなければ従来育種のものと区別できない。ゲノム編集作物は、トウモロコシ、大豆などでは除草剤耐性などが報告されている。コムギやコメでも研究が多い。動物では、筋肉量増強のための改変ブタなどが多く報告されている。NBTの規制に関してEUは最終判断を公表していない
公開日・更新日
公開日
2016-07-11
更新日
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