文献情報
文献番号
201520052A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢化社会における死因究明の推進に関する研究
課題番号
H27-医療-指定-020
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
今村 聡(公益社団法人 日本医師会)
研究分担者(所属機関)
- 松本 純一(公益社団法人 日本医師会)
- 澤 倫太郎(公益社団法人 日本医師会(日本医師会総合政策研究機構))
- 上野 智明(日本医師会ORCA管理機構株式会社)
- 水谷 渉(公益社団法人 日本医師会(日本医師会総合政策研究機構))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動
研究分担者 上野智明
公益社団法人 日本医師会(日本医師会総合政策研究機構)(平成27年4月1日~平成28年2月29日)→
日本医師会ORCA管理機構 株式会社(平成28年3月1日~平成28年3月31日)
研究報告書(概要版)
研究目的
今後高齢化が進むことにより、在宅において死亡する高齢者数も増えて行くものと見込まれ、孤独死等の増加により、死因を究明することが困難な事例も増加していく。政府において「死因究明等推進計画」が閣議決定(平成26年6月)され、今後は死因究明の充実に向けた取り組みを推進することとしている。平成26年度の特別研究(研究代表者:今村聡)においては、死因究明に係る課題の解決に向けて、検案の実施体制に関する実態把握等を実施するとともに、死亡時画像診断に特化したe-learningを含めた自己学習用の教材の開発、および、死亡診断書(死体検案書)作成支援ソフトの試作版の開発を行った。本研究では、平成26年度の研究成果を踏まえつつ、「死因究明等推進計画」に基づく施策を推進するため、死亡診断書(死体検案書)の制度全体に係る課題の整理及び課題解決に向けて研究班としての意見をまとめることにより、今後の死因究明体制の充実に向けた行政施策への反映が期待できる。
研究方法
平成26年度の研究成果である、死亡時画像診断に特化したe-learningを含めた自己学習用の教材の開発の継続、および、死亡診断書(死体検案書)作成支援ソフトの追加機能の検討・開発を行った。
結果と考察
厚生労働省が日本医師会を委託先として実施している、小児死亡例に対する死亡時画像診断のモデル事業で収集した症例のうちの6症例を、e-learningシステムへ追加し、提示された症例と画像から、Ai画像に特有の所見を学習することができるよう、専用サイトを更新した。検案を担う医師が死亡時画像診断に習熟しやすい環境を整えるためにも、e-learningシステムを、さらに読影の学習効果が高まる内容へと進化させる仕組みを模索する必要がある。
死亡診断書(死体検案書)作成支援ソフトにおいては、入力データをチェックする死因入力ガイダンス機能を追加することによって、書類作成時の負担を軽減することを可能とした。また、統計データ作成(CSV出力)機能を実装することによって、今後の死亡診断書(死体検案書)における情報の活用を促す一方で、作成者が利用しやすいよう、出力項目の選択や出力フォーマットの登録が可能となった。 これにより、現時点においても「DiedAi」を利用することにより、死亡診断書(死体検案書)の作成における作業の省力化が図られ、結果として不正確な診断書の発行をかなり回避することが可能になったと考えられる。さらに、統計データ作成(CSV出力)機能の追加実装により、死亡データの有効活用が図られ、過去の死亡患者に関する情報が、現在の患者の診療に活かされるといった効果も期待される。
死亡診断書(死体検案書)作成支援ソフトにおいては、入力データをチェックする死因入力ガイダンス機能を追加することによって、書類作成時の負担を軽減することを可能とした。また、統計データ作成(CSV出力)機能を実装することによって、今後の死亡診断書(死体検案書)における情報の活用を促す一方で、作成者が利用しやすいよう、出力項目の選択や出力フォーマットの登録が可能となった。 これにより、現時点においても「DiedAi」を利用することにより、死亡診断書(死体検案書)の作成における作業の省力化が図られ、結果として不正確な診断書の発行をかなり回避することが可能になったと考えられる。さらに、統計データ作成(CSV出力)機能の追加実装により、死亡データの有効活用が図られ、過去の死亡患者に関する情報が、現在の患者の診療に活かされるといった効果も期待される。
結論
今年度の研究では、26年度における基礎的な研究成果を踏まえ、特に死亡診断書(死体検案書)作成ソフトの機能の充実と、死亡時画像診断に関する自己学習システムの内容を充実させることに課題を絞り、初期の目標を達成することができた。
一方で、制度全体を含めた、死亡診断書(死体検案書)のあり方についての提言については、今後の課題とせざるを得なかった。さらに、死亡診断書(死体検案書)のみならず、死産証書(死胎検案書)の登録もわが国の死因究明の推進に有用な機能であるため、今後、研究班にてあるべき死亡診断書・死体検案書の様式や制度について提言をとりまとめた上で、追加機能の実装を目指すとともに、早期の実用化をめざすべきと考えられた。
次年度の研究においては、これら上記の諸課題に加え、昨年度の研究で明らかとなった、検案業務に関する実態を踏まえ、わが国の死因究明制度をより精緻なものとするための政策提言に結びつけていきたい。
一方で、制度全体を含めた、死亡診断書(死体検案書)のあり方についての提言については、今後の課題とせざるを得なかった。さらに、死亡診断書(死体検案書)のみならず、死産証書(死胎検案書)の登録もわが国の死因究明の推進に有用な機能であるため、今後、研究班にてあるべき死亡診断書・死体検案書の様式や制度について提言をとりまとめた上で、追加機能の実装を目指すとともに、早期の実用化をめざすべきと考えられた。
次年度の研究においては、これら上記の諸課題に加え、昨年度の研究で明らかとなった、検案業務に関する実態を踏まえ、わが国の死因究明制度をより精緻なものとするための政策提言に結びつけていきたい。
公開日・更新日
公開日
2016-07-06
更新日
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