医療通訳等の外国人患者の受入体制に関する研究

文献情報

文献番号
201520044A
報告書区分
総括
研究課題名
医療通訳等の外国人患者の受入体制に関する研究
課題番号
H27-医療-指定-012
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 弘良(東京女子医科大学 国際環境・熱帯医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 岡村世里奈(国際医療福祉大学大学院)
  • 遠矢雅史(日本医療機能評価機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
1,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先行研究で外国人患者受入れで、医療通訳をめぐる様々な課題が浮き彫りになった。そこで医療機関における医療通訳を利用する際の基本的考え方や留意点、日本において医療機関のための医療通訳に関するガイドラインを策定する上での重要ポイント等を明らかにすることを目的とした。また近年訪日外国人が急増しており、これに伴い緊急器量が必要とされるケースが大都市のみならず全国で起きている。そこでこれに対応するため今後整備しなければならない課題についてシンポジウムを開催し、意見交換を行うことを目的とした。さらに関連する国際会議等へも参加し、国際情勢の把握を行うこととした。
研究方法
1.医療機関のための医療通訳ガイドラインに関する研究:医療通訳の先進国である米国ならびにオーストラリアの2カ国において州政府が公表している医療機関のための医療通訳に関するガイドラインの収集し、これらのガイドラインの内容を分析した。
2.医療をめぐる国際情勢の把握:The 8th World Medical Tourism & Global Healthcare Conferences」(2014年9月27日~28日、米国フロリダ)に参加した。
3.シンポジウムの開催: 平成27年12月に「医療機関における外国人患者の受入れ体制整備に向けてー緊急医療が必要になった訪日外国人患者にどのように対応していくのかー」を開催した。国の取り組みや医療機関のための医療通訳ガイドラインに関する研究成果報告ならびに訪日外国人患者の緊急時医療をテーマに関係者からの現状報告やシンポジウムを開催した。
結果と考察
1.医療機関のための医療通訳ガイドラインに関する研究:「医療安全」や「患者の意思決定」の観点から医療通訳に関して検討を行う動きは日本ではまだ小さいが、今後はそのような視点から検討を行うことが非常に重要といえる。原則対面通訳としながらも、緊急性や当該医療機関のおかれている地域性や費用・人的資源の状況に応じて映像通訳や電話通訳も上手に取り入れ、最終的に医療通訳が最も利用できる体制を確保していくことが重要といえる。
2.医療をめぐる国際情勢の把握:日本の医療機関の国際医療交流対応力を向上させるためにも、JMIPの二階建て部分として、ISPCのような評価項目を追加していくことも一考に値するものと考えられる。
3.シンポジウムの開催:①訪日外国人が適切に医療機関にアクセスできているのか、②緊急時の言語対応として何が必要か、③医療文化・習慣の違いへの対応、④未収金対策が取り上げられた。これらの課題への早急な対応が求められており、国と医療機関のみでは解決できず、旅行会社、保険会社、医療通訳業者、コンサルタント会社など、民間と協力して行くことが必要であると考えられる。
結論
1.医療機関のための医療通訳ガイドラインに関する研究:医療通訳に関しては、単に医療通訳者の養成やその質の確保だけでなく日本の医療事情や医療環境も踏まえた独自の医療通訳ガイドラインを整備していくことが不可欠といえる。
2.医療をめぐる国際情勢の把握:サービスの質の向上を図るために、関係国や関係団体による新たな規制や認定制度の創設が相次いでいる。とりわけMTAが海外からの患者に対して医療サービスを提供する医療機関に対する認定制度であるIPSCは、わが国の国際医療交流の推進を目指す医療機関にとっても非常に参考になる。
3.シンポジウムの開催:外国人患者の受入れ体制については、民間を含めてさまざまなステークホルダーが一緒に対応しないと問題は解決しない。医療通訳ガイドラインは現場でのグッドプラクティスを取り入れ、関係者と共同して作成行く必要がある。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201520044C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医療機関における医療通訳ガイドライン案の作成は、今後医療通訳に関係する全国の組織・団体がガイドラインを作成する際に参考となる。
臨床的観点からの成果
外国人患者の緊急医療の提供に関する課題が整理され、新たに外国人患者を受け入れる医療機関にとって事前準備に貢献した。
ガイドライン等の開発
医療機関における医療通訳ガイドライン案の作成は、今後医療通訳に関係する全国の組織・団体がガイドラインを作成する際に参考となる。
その他行政的観点からの成果
厚生労働省の補助金事業の基礎資料として活用された。
その後も補助事業は拡大しているが、引き続きその基礎的方向性に貢献している。
平成30年度の厚生労働省「訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会」の議論における経緯として貢献した。
その他のインパクト
日経新聞

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
国際医療交流に対応する医療通訳、遠藤弘良、「医療通訳と保健医療福祉」杏林書院、2015年7月
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
1件
岡村世里奈、香港、2016年1月
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2019-05-21
更新日
2019-05-22

収支報告書

文献番号
201520044Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,800,000円
(2)補助金確定額
1,784,889円
差引額 [(1)-(2)]
15,111円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 37,106円
人件費・謝金 183,185円
旅費 443,867円
その他 1,120,731円
間接経費 0円
合計 1,784,889円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
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