文献情報
文献番号
201520017A
報告書区分
総括
研究課題名
要救護者・救急隊・医療機関でシームレスな多言語緊急度判断支援ツールの開発普及研究
課題番号
H27-医療-一般-003
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
吉澤 穣治(東京慈恵会医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 嶋津 岳士(大阪大学 医学部)
- 溝端 康光(大阪市立大学 医学部)
- 本多 満(東邦大学 医学部)
- 武田 聡(東京慈恵会医科大学 医学部 )
- 松藤 凡(聖路加国際病院 小児外科)
- 飯島 正紀(東京慈恵会医科大学 医学部 )
- 井上 信明(都立小児総合医療センター 救命救急科)
- 六車 崇(横浜市立大学 医学部)
- 世良 俊樹(東京医科歯科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
改正医療法では、国は国民が自ら病状や外傷の緊急度を判断できるような情報を発信することが定められた。これまでも多くの緊急度判断支援ツールが地方自治体・医学会などから発信されているが、国民にその利用が浸透している状況とは言えない。そこで、これまでに発信されている緊急度判断支援ツールについて、検証して、広く国民に利用される緊急度判断支援ツールを開発することを研究の目的とした。さらに近年増加している外国人にも利用できるように多言語化することとした。
研究方法
(既存の緊急度判定支援ツールの検証)これまでに利活用されている緊急度判断支援ツールについて、医学的に内容が正しいか、 over, under triageが多くないかなどについて検討した。(緊急度判定支援ツールの作成)総務省消防庁が作成した{救急受診ガイドVer.1}を基に緊急度の判断の基準作りを成人・高齢者・小児の3つに分けて作製することを計画した。(支援ツールを普及されるための研究)これまで作成されてきた多くの支援ツールが普及しなかった原因を検討する。支援ツールの普及には、医師会・関連学会・行政の協力が不可欠であり、これらと連携して研究を遂行する。(視覚・聴覚障害者の支援ツールの利用状況調査)視覚・聴覚障害者がどのような支援ツールを利用しているのかについて、聞き取り調査を実施する。
結果と考察
(既存の緊急度判定支援ツールの検証)全部が閲覧可能な221件を分析対象とした。221件のツールは出典でまとめると56件に収束した。56件すべてが小児症例を対象としており、ウェブ上で利用可能な緊急度自己判断プロトコールは多数存在し、とくに小児に関しては広く普及されていることが示唆された。(緊急度判定支援ツールの作成)成人・高齢者に関しては、「救急受診ガイドVer.1」を基に11の主訴について、緊急度判断支援ツールの基準を作製した。これまでの支援ツールの多くは、救急車を呼ぶ・呼ばないという判断基準が主体になっていたが、今回は、医療機関への受診の緊急度という視点で作製した。多言語化は、英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語・韓国語・中国語(2種類)の計9か国語の判断基準を作製した。小児に関しては使用頻度の高い発熱、咳嗽、頭部打撲、腹痛、けいれん、誤飲・誤嚥の6症候の緊急度の妥当性と用語の整理を行った。成人と同様に9か国語の翻訳をおこなった。(視覚・聴覚障害者の支援ツールの利用状況調査)視覚・聴覚障害者団体へ、問題点を抽出するためのインタビューを行った。
結論
医療機関を受診すべきか否かという視点からの緊急度判断基準を成人・小児の17主訴について作成して、これを多言語化した。緊急度判断基準を作成するにあたり、頻度の高い主訴について、判断基準となるエビデンスは少なく、エキスパートオピニオンを基に作成さざるを得なかった。よって、作成した緊急度判断基準を基に検証をしていくことが今後不可欠である。
成人と高齢者を分けて緊急度判断基準を作成することを検討したが、高齢者をどのように定義するかの基準が定められず、成人と高齢者をあえて分けることを行わなかった。
成人と高齢者を分けて緊急度判断基準を作成することを検討したが、高齢者をどのように定義するかの基準が定められず、成人と高齢者をあえて分けることを行わなかった。
公開日・更新日
公開日
2017-01-26
更新日
-