都道府県へき地保健医療計画の検証ならびに次期策定支援に関する研究

文献情報

文献番号
201520002A
報告書区分
総括
研究課題名
都道府県へき地保健医療計画の検証ならびに次期策定支援に関する研究
課題番号
H26-医療-一般-003
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
梶井 英治(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 前田 隆浩(長崎大学  医学部)
  • 谷 憲治(徳島大学 医学部)
  • 井口 清太郎(新潟大学 医学部)
  • 今道 英秋(自治医科大学 医学部)
  • 澤田 努(高知県高知市病院企業団立高知医療センター 総合診療科)
  • 森田 喜紀(自治医科大学 医学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
第11次へき地保健医療計画は平成27年で最終年度を迎える予定であったが、第11次へき地保健医療計画は平成29年度まで引き続き実施され、平成30年度からは医療計画として策定されること、ならびに、へき地保健医療体制整備指針を作成し、その整備指針に基づいた対策が行われることが厚生労働省により示された。この際、平成28年度以降は各都道府県で実施された計画の評価を基に、新たな取組等を追加して対策を実施することとなっている。そこで、研究当初は第12次へき地保健医療計画の策定指針の改定と、第12次へき地保健医療計画の策定支援を予定していたが、新たに示された国の方向性に沿って、これまでの第11次へき地保健医療計画の検証に資するデータや事例の収集・分析を行い、都道府県によるへき地保健医療計画の評価や、それに基づいた平成28年度以降のへき地保健医療対策を支援することを目的とした研究を行った。
研究方法
平成27年度は以下の1)~6)の研究を行った。
1)へき地保健医療体制の継続的な支援体制に関する調査:研究班が行ってきた都道府県の支援手法に対する評価を行い、継続的な都道府県の支援体制を検討するため、47都道府県のへき地保健医療行政担当者等を対象に自記式アンケート調査を行った。平成27年8月21日に郵送、締切は同年10月9日とした。2)都道府県個別訪問による第11次へき地保健医療計画の継続に関する支援:平成27年11月から28年1月末にかけて、都道府県庁を訪問し、へき地保健医療計画担当者らと面談を行い、同計画に関する情報交換や技術的助言をした。3)へき地で勤務する地域枠や自治医科大学卒業医師のキャリアパスに関する調査:都道府県個別訪問の際にキャリアパスに関する現状等の聞き取り調査を行った。4)第7回全国へき地医療支援機構等連絡会議の支援:平成28年1月29日に厚生労働省で行われた第7回全国へき地医療支援機構等連絡会議において、「へき地保健医療対策に関するグループワーキング」の企画と進行を行った。5)昨年度の都道府県のへき地医療体制に関する調査を基に認定要件に関する提案を取りまとめた。6)マッピングを用いた医療アクセスとへき地医療に関する検討:地理情報システムArcGIS for Desktop 10.3を利用したマッピング手法を用いて医療アクセスの見える化に関する手法を示した。
結果と考察
1)へき地保健医療体制の継続的な支援体制に関する調査では、39都道府県から回答が得られ、集計結果からは研究班の手法に一定の評価が得られ、とくに都道府県個別訪問に対しては半数以上の都道府県が今後の継続を希望していた。2)都道府県個別訪問では、42都道府県を訪問し、今後のへき地保健医療対策を進めていく上での有意義な情報提供等を行い、都道府県が取組んでいる特徴的事例の収集も行うことができた。3)へき地で勤務する地域枠や自治医科大学卒業医師のキャリアパスに関する調査では、新たな専門医の仕組みに対する対応や義務年限内での医師配置、とくにへき地の医療機関への配置等に関する情報収集や意見交換を行うことができた。4)第7回全国へき地医療支援機構等連絡会議では、「新たな専門医の仕組みにおける自治医科大学ならびに地域枠卒業医師のキャリアパス」、「へき地医療拠点病院ならびにへき地診療所の機能向上と連携推進」のテーマで、具体的事項の解説とグループワークのファシリテートを行い、両テーマの課題と目標、今後の取組の方向性について議論を深めることができた。5)へき地医療拠点病院の認定要件について、昨年度に行ったへき地医療体制に関する調査を基に検討を行い、具体的なへき地医療拠点病院の認定要件に関する提案を行った。6)マッピングを用いた医療アクセスとへき地医療に関する検討では、地理情報を活用することで医療へのアクセスを見える化し、無医地区を含めたへき地医療の現状把握につながる具体的手法について栃木県を例にとり検討を行った。
結論
本研究により、研究班が行ってきた都道府県の支援手法に一定の評価が得られていることが明らかとなり、第7次医療計画ならびにへき地保健医療体制整備指針に基づいた、へき地保健医療対策が行なわれる際にも、全国へき地医療支援機構等連絡会議におけるグループワークや、都道府県個別訪問といった第三者的な組織による都道府県のフォローアップが有効であると思われた。また、へき地医療拠点病院の認定要件においては、今まで以上にへき地医療拠点病院の実績が適切に評価されれば、へき地診療所に対する支援が促進されうる。そして、地域枠や自治医科大学卒業医師のキャリアパスにおいても、へき地医療拠点病院がへき地診療所への派遣や、新たな専門医の仕組みにおける研修の拠点となることを、都道府県個別訪問等で都道府県に対して情報提供等を行った。

公開日・更新日

公開日
2017-01-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201520002B
報告書区分
総合
研究課題名
都道府県へき地保健医療計画の検証ならびに次期策定支援に関する研究
課題番号
H26-医療-一般-003
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
梶井 英治(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 前田 隆浩(長崎大学 医学部)
  • 谷 憲治(徳島大学 医学部)
  • 井口 清太郎(新潟大学 医学部)
  • 今道 英秋(自治医科大学 医学部)
  • 澤田 努(高知県高知市病院企業団立高知医療センター 総合診療科)
  • 森田 喜紀(自治医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究当初は第12次へき地保健医療計画の策定指針の改定と、第12次へき地保健医療計画の策定支援を予定していたが、新たに示された国の方向性に沿って、これまでの第11次へき地保健医療計画の検証に資するデータや事例の収集・分析を行い、都道府県によるへき地保健医療計画の評価や、それに基づいた平成28年度以降のへき地保健医療対策を支援することを目的とした研究を行った。
研究方法
1)都道府県のへき地医療体制に関する調査:調査は47都道府県のへき地保健医療行政担当者に自記式アンケートを郵送して行った。平成26年7月28日に郵送し、締切りは平成26年10月10日とした。2)へき地保健医療体制の継続的な支援体制に関する調査:調査は47都道府県のへき地保健医療行政担当者等に自記式アンケートを郵送して行った。平成27年8月21日に郵送し、締切は平成27年10月9日とした。3)へき地医療拠点病院の認定要件に関する検討:平成26年度の都道府県のへき地医療体制に関する調査等で得られたへき地医療拠点病院の現状を基に認定要件の検討を研究班内で行った。4)マッピングを用いた医療アクセスとへき地医療に関する検討:地理情報システムArcGIS for Desktop 10.3を利用したマッピング手法を用いて医療アクセスの見える化に関する手法を示した。5)全国へき地医療支援機構等連絡会議の支援:平成26年12月19日、平成28年1月29日に開催された全国へき地医療支援機構等連絡会議でのグループワークの開催支援を行った。6)都道府県個別訪問による技術的支援:平成26年度はへき地保健医療計画におけるPDCAサイクルの活用等、平成27年度はへき地保健医療対策検討会報告書等をテーマとして、研究班による都道府県庁等への個別訪問を行った。7)先進的取組を行っている組織・地域等の視察訪問:平成26年度の都道府県個別訪問時に地域枠のキャリアデザイン等の取組事例について聴取した。8)へき地で勤務する地域枠や自治医科大学卒業医師のキャリアパスに関する調査:平成27年度の都道府県個別訪問時にキャリアパスに関する現状等の聞き取り調査を行った。9)へき地保健医療対策検討会に必要とされる資料作成:以前の研究成果や全国へき地医療支援機構連絡会議を取りまとめて検討会に必要な資料の作成と報告を行った。
結果と考察
1)都道府県のへき地医療体制に関する調査からは、へき地医療支援機構の役割やへき地医療に従事する医師のキャリアデザイン支援等に進展が見られたこと等が明らかとなった。2)へき地保健医療体制の継続的な支援体制に関する調査では、研究班の手法に一定の評価が得られ、とくに都道府県個別訪問に対しては半数以上の都道府県が今後の継続を希望していたことが明らかとなった。3)へき地医療拠点病院の認定要件に関する検討では、へき地医療拠点病院の実績に関する現状を踏まえて、認定要件に関する具体的な数値目標等を示した。4)マッピングを用いた医療アクセスとへき地医療に関する検討では、地理情報を活用することで医療へのアクセスを見える化し、へき地医療の現状把握につながる具体的手法について示した。5)全国へき地医療支援機構等連絡会議におけるグループワークの開催支援を通じて、第11次へき地保健医療計画の振り返りや、へき地医療拠点病院とへき地診療所の連携等の具体的なテーマに関する都道府県間の議論の深化や情報共有を図ることができた。6)都道府県個別訪問による技術的支援では、歯科医療や看護等も含めた、各都道府県におけるへき地医療提供体制に関する個別的な実情に即した技術的助言や情報交換を行う事ができた。7)先進的取組を行っている組織・地域等の視察訪問では、地域枠のキャリアデザインに関連した具体的な取組を行っている6都道府県における事例の紹介や解説を示した。8)へき地で勤務する地域枠や自治医科大学卒業医師のキャリアパスに関する調査では、新たな専門医の仕組みと義務年限内での医師配置等に関する情報収集を行うことができ、それを基にした情報提供等を行った。9)第1回と第3回のへき地保健医療対策検討会に参考人として参加、研究班の今までの研究成果等を報告した。
結論
各種調査や都道府県個別訪問、そして全国へき地医療支援機構等連絡会議のグループワーク等の取組により、都道府県の第11次へき地保健医療計画の継続を支援することができた。また、今後のへき地保健医療対策を進めていく上での、へき地医療拠点病院とへき地診療所のあり方や、へき地医療を担う人材育成、そしてへき地医療における歯科医療、看護、薬剤師の役割等についても分析・検討を行うことができた。

公開日・更新日

公開日
2017-01-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201520002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
第11次へき地保健医療計画により、へき地医療支援機構の役割強化やへき地医療拠点病院の指定数の増加等が行われ、へき地診療所の診療支援体制の充実へと繋がった。また、へき地医療を担う人材育成では、卒前教育の充実、地域枠や自治医科大学卒業医師のキャリア支援、義務年限終了後の定着率向上を目的とした制度設計が新たに行われていた。へき地医療における歯科、看護、薬剤師等を含めた多職種連携に関しては、へき地における地域包括ケアシステムの構築の観点から、県と市町村、庁内の担当者間での連携の必要性を示した。
臨床的観点からの成果
該当なし
ガイドライン等の開発
平成26年8月8日に開催された第1回へき地保健医療対策検討会では、研究班により行ってきた調査等から明らかとなった都道府県のへき地保健医療対策に関する取組の現状と課題を、平成27年2月26日に開催された第3回へき地保健医療対策検討会では、研究班が開催を支援してきた全国へき地医療支援機構等連絡会議における都道府県によるグループワーク等の具体的な内容について報告し、平成27年3月に出されたへき地保健医療対策検討会報告書に資する情報提供を行った。
その他行政的観点からの成果
研究班による都道府県個別訪問や全国へき地医療支援機構等連絡会議のグループワークの開催支援を通じて、各都道府県のへき地保健医療対策の具体的取組事例に関する情報共有や、へき地医療の課題に対する議論の深化ができた。そして、都道府県による第11次へき地保健医療計画の実行や評価の支援を行うことができた。また、へき地医療拠点病院の具体的な認定要件や、医療へのアクセスを視覚化することによるへき地医療の現状把握につながるマッピング手法について示すことができた。
その他のインパクト
へき地保健医療対策に関する研究成果を広く社会に発信するため、社会保険旬報2607号(平成27年6月)に「第11次へき地保健医療計画の検証」、同誌2639号(平成28年5月)に「へき地医療拠点病院とへき地診療所における現状と展望」として論文を発表した。また、研究班による報告書においては、地域枠のキャリアデザインに関連した具体的な取組を行っている6都道府県の取組事例の紹介や解説を示し、へき地を含めた地域医療に資する人材育成に関する情報提供を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
4件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2021-05-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201520002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,500,000円
(2)補助金確定額
3,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 18,237円
人件費・謝金 0円
旅費 2,655,415円
その他 826,348円
間接経費 0円
合計 3,500,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2021-05-10
更新日
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