座位保持装置部品の安全性確保基準等の見直しに関する研究

文献情報

文献番号
201516039A
報告書区分
総括
研究課題名
座位保持装置部品の安全性確保基準等の見直しに関する研究
課題番号
H27-身体・知的-一般-008
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
我澤 賢之(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所障害福祉研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 白銀 暁(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所福祉機器開発部)
  • 高岡 徹(横浜市総合リハビリテーションセンター)
  • 半田 隆志(埼玉県産業技術総合センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
補装具費支給制度において、厚生労働省は座位保持装置を使用する人の身体に対する危害防止及び生命の安全を図るため、主に完成用部品を対象として「座位保持装置部品の認定基準及び基準確認方法」(改訂2版・平成23年4月。以下「厚労省基準」)により座位保持装置部品の安全性及び使用者が誤った使用をしないための必要事項を定めている。この厚労省基準は、JISやISO等の標準規格を踏まえて規定されたものであり、平成16年の初版公開以来引用規格の改訂等を踏まえて3~4年おきに改訂が加えられてきた。
前回改訂後の4年間に引用規格の改訂・追加が生じ、また現場において現行基準で対応できない事例が報告されている。引用規格の改訂・追加に関して、支持部についてISO16840-3が平成26年に更新され前方支持部の試験方法が変更された。クッションについては、ISO16480-2等、国際規格が存在するものの厚労省基準には限られた一部項目しか反映されておらず、褥瘡予防上もしくはトランスファや座り心地等機能選択上重要と考えられる摩擦特性、蒸散特性、荷重沈み込み、水漏れ等の特性に関する基準が十分でない。さらに現在、ティルト・リクライニング機構の強度等に関する規格の検討がISOにおいて進められつつある。現行基準で対応できていない事例に関しては、緊張が強い障害児に対する足部支持についてJIST9201に依拠した基準を設けているが、基準を満たす機器が破損するケースがあり基準の再検討が必要と考えられる。
本研究では、補装具費支給制度において座位保持装置の完成用部品の物理的・機械的特性に関する安全基準を定めている厚生労働省「座位保持装置部品の認定基準及び基準確認方法」の改訂基準案をまとめて提案する。
研究方法
具体的には、以下の4つの課題を設定し、新しい基準案を作成する。
・課題1 支持部等の強度に関する基準の検討
・課題2 クッションに関する基準の検討
・課題3 ティルト・リクライニング機構に関する基準の検討
・課題4 基準及び試験方法の改訂案作成
これらのうち、課題1~3について個々の課題の検討を行い、その結果を踏まえ、課題4の検討を行う。前者については、それぞれ対応する分担研究報告書にその検討内容を詳述する。
本研究の実施に当たっては、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室と連携を取って進めた。
結果と考察
結果として、前方体幹支持部の前方静的荷重試験の試験内容、構造フレーム、ティルト・リクライニング機構、車椅子落下試験等に係る修正提案についてまとめた。また、厚労省基準の附属書もしくは関連基準として、車載用座位保持装置にかかる試験、接触圧計測ガイドラインの検討についても提案をまとめられた。また、提案には至らなかったが、足部支持部・頭部支持部に関する過負荷計測上の課題、101kg以上の使用者に対応した160kg程度までに対応する荷重値等設定の必要性、クッション関連試験にかかる国内試験環境に関する課題などが、今回の検討で明らかになった。
結論
各課題を検討し、下記の試験項目について、厚労省基準改定にかかる提案が可能であることがわかった。
・前方体幹支持部の前方静的荷重試験:試験内容更新
・構造フレームにかかる静的安定試験:ティルト・リクライニング機構がある場合の内容加筆
・構造フレームにかかる走行耐久試験:ティルト・リクライニング機構がある場合の内容修正
・座支持部の衝撃試験:ティルト・リクライニング機構がある場合の内容追加
・車椅子落下試験:項目新設
また、厚労省基準の附属書もしくは関連基準として、車載用座位保持装置(補装具種目としては座位保持椅子)にかかる試験、接触圧計測ガイドラインの検討についても提案をまとめられた。
提案に至らなかった点についても、今回の検討で課題が明らかになったと考える。本研究の成果を踏まえ、さらなる研究を進めたい。

公開日・更新日

公開日
2017-05-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201516039C

収支報告書

文献番号
201516039Z