医育機関における感染症教育及び研究者の育成のための緊急研究

文献情報

文献番号
199800508A
報告書区分
総括
研究課題名
医育機関における感染症教育及び研究者の育成のための緊急研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
岩本 愛吉(東京大学医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 清水喜八郎(北里大学)
  • 木村哲(東京大学)
  • 倉田毅(国立感染症研究所)
  • 小林宏行(杏林大学)
  • 相楽裕子(横浜市民病院)
  • 竹内勤(慶応大学)
  • 野本明男(東京大学)
  • 林英夫(筑波大学)
  • 山口惠三(東邦大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 新興・再興感染症研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
-
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
感染症にまつわる情勢は大きく変化しているにもかかわらず、感染症の臨床や研究に情熱を持つ医学医療従事者の数は少ない。長年我が国の感染症対策の法的根拠となってきた伝染病予防法が全面的に改正され、新たな感染症対策が平成11年4月から施行されるにあたり、現在の感染症の卒前卒後教育に関する問題点を明らかにし、感染症に関わる医師の育成を推進するための提言を行う。
研究方法
細菌学、ウイルス学、寄生虫学、臨床微生物学、内科感染症学、感染制御学、熱帯医学、感染病理学等の専門家が一堂に会し、審議の上統一的な見解をまとめ発表する。
結果と考察
新興感染症や再興感染症、院内感染など、今後増加するであろう感染症の諸問題に適切かつ迅速に対応するためには、医療圏単位ごとに資格と権限を持つ感染症医が少なくとも一人確保される必要がある。その医師は、第1種感染症指定医療機関と密な関係を持って業務を行う。そのような感染症専門医の育成、また、日常診療において感染症への対応能力を持つ臨床医を育成するために、感染症の卒前卒後教育を充実させる必要がある。
卒前教育に関しては、「感染症」の独立した授業科目を立て、微生物学、寄生虫学、免疫学、内科、外科などが合同して総合的なカリキュラムを開設することが必要であるとの意見があった。特に、感染症を全身疾患として捉え、教育する視点が重要である。また、早期暴露の目的で、学生のうちから国内外において感染症を学習できる機会を与え、これを積極的に支援する必要がある。
卒後教育に関しては、(平成13年度を目途に必修化される)研修終了後に参加できる感染症専門コースを開設することが必要であるとの意見があった。期間は2年程度。大学院の一部期間をこれに当てても良い。このコースに参加する者は、「ポスドク」扱いとし、給与所得などの条件が確保されるべきであろう。さらに、関連学会などの主催による生涯教育のためのセミナーを充実する必要がある。
結論
①感染症に対応する能力と権限を持った医師のポジションを一定地域ごとに配置すること。②感染症専門医を含むネットワークの構築。③卒後研修の後に参加できる感染症専門のコースの開設。④医育機関における感染症講座の開設。以上の4つの事柄を構築することにより、感染症に対応できる人材を養成し、国の目標とする感染症対策の確立を達成することが可能と考える。

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