障害児通所支援従事者ファーストステップ研修マニュアル作成および実施検証に関する研究

文献情報

文献番号
201516012A
報告書区分
総括
研究課題名
障害児通所支援従事者ファーストステップ研修マニュアル作成および実施検証に関する研究
課題番号
H27-身体・知的-一般-004
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
宇野 里砂(武庫川女子大学 文学部)
研究分担者(所属機関)
  • 永井 利三郎(プール学院大学短期大学部)
  • 小野 次朗(豊中市立しいの実学園)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
2,249,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
障害児支援体系が整理され、障害児が障害の有無に関わらず「子ども」として、地域でより良く生活することを目標に地域における縦横連携がすすめられている。地域で生活する力をつけるよう、子どもと家族を支援する柱として障害児通所支援事業があり、多層的で充実した支援体制を構築すべく施設数が増加している。受け入れ児数の確保と質の向上が重要で、従事者へのファーストステップ研修制度の確立が早急に求められている。障害児通所支援従事者に求められる知識や技術・倫理観は多岐にわたり、制度や医療・社会事情の変化にも追従する必要がある。また、多様な関連専門職種の各々の役割分担や連携も重要である。しかし、実際には日常業務をこなしながら各々が獲得すべき知識・情報を整理し情報交換することは容易ではない。本研究1年目では、従事者数や専門職種数が限られた施設においても、障害児通所支援ファーストステップ研修を実施しやすい方法を模索し、肢体不自由児・重症心身障害児に関する概論や接する際の留意点、支援の心構えなどを理解しやすくまとめ、放課後等デイサービスガイドラインや自己評価表などの情報を加えて、Power Pointファイルのファーストステップ研修マニュアル(肢体不自由児編)を作成した。2年目に知的障害・発達障害・重複障害児についての項目を付加して、全障害児に対応可能なマニュアルに拡大し、3年目にマニュアルを用いたファーストステップ研修の実施方法を検証する。
研究方法
1.ファーストステップ研修についての具体的なニーズ聞き取り調査
障害児通所支援事業所の現状を視察し、また、事業所職員研修会での意見交換を通じて、通所支援従事者にインタビューを行った。放課後等デイサービスガイドラインについての認識や実施状況についても聞き取りした。
2.通所支援従事者以外の障害児支援者への聞き取り調査
学会・委員会を通じて、障害児医療に携わる通所支援従事者以外の職種に対し、障害児通所支援事業に関する認識や指導状況、障害児医療の地域差や地域生活の状況、困難な事項への具体的な対処法などの聞き取りを行った。
3.障害児通所支援に関する学会発表や研究、厚生労働省内の検討会等の報告についての情報収集
4.従事経験の短い職員を想定した指導内容の確認のためのモデル実習
ファーストステップ研修を実施しやすい方法を模索し、肢体不自由児・重症心身障害児に関する概論や接する際の留意点などを理解しやすくまとめるために、大学生を従事経験の短い初任者モデルとして、摂食指導・栄養介助指導、障害児保育での介助等、医療的ケア説明についての確認を行った。
5.ファーストステップ研修マニュアル(肢体不自由児編)の作成
医療型児童発達支援センターにおいて多職種に指導を行ってきた事項や内容に、今年度の研究成果を加えてPower Pointファイルにまとめた。
結果と考察
障害児に接した経験が全くないか乏しい新規従事者に対して、専門職種が限定される施設内で、支援方法や技術の伝達が経験的な知識に頼ってかつ非常に限られた時間で行われており、研修の機会や情報源が強く求められている。就業時間の制約を受けにくく、新規従事者だけでなく全従事者の知識・技術のアップデートのための受講が可能な自主研修システムの構築が必要と思われる。
結論
本研究1年目では肢体不自由児対象のマニュアル作成を行ったが、実際には重複障害児が多いことや障害種別を隔てない施設も少なくないため、障害種別を拡大したマニュアル作成が重要だと思われる。施設間・障害種別間・地域間などで情報の差があり、培われてきた重要事項の集約についても考慮する必要がある。今後の研究継続方針を以下に挙げる。
1.Power Pointファイルで作成したマニュアルに参照解説文を付加し冊子化
今年度は、見やすく理解しやすいことを優先したマニュアルを作成した。これに参照解説文を付加した冊子を作成する。本研究マニュアルと類似項目をもつ既出の書籍には通所支援従事者が獲得すべき内容が網羅されたものは見受けられなかった。今後も書籍の情報収集を行い、効率的な情報発信につとめる。また、発達障害児・知的障害児に関する内容を作成すべく、執筆協力者と協議しながら進める。障害児通所支援事業所で必要な、幅広い領域の利用児についての、さらに実用的なマニュアルを作成する。
2.ファーストステップ研修の必要性と研修システムに関する研究の継続
従事者数や専門職種数が限られた施設においても研修を実施しやすいマニュアルやシステムについて研究継続する。学会や研究会等でも発表・報告し、障害児医療職にも情報発信することにより、通所支援事業への認識を高め、後方支援協力を促し、障害児支援の縦横連携の一助となることを目指す。

公開日・更新日

公開日
2017-05-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201516012C

収支報告書

文献番号
201516012Z