文献情報
文献番号
201514003A
報告書区分
総括
研究課題名
要介護高齢者の生活機能向上に資する効果的な生活期リハビリテーション/リハビリテーションマネジメントのあり方に関する総合的研究
課題番号
H27-長寿-一般-001
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
川越 雅弘(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障基礎理論研究部)
研究分担者(所属機関)
- 水間 正澄(昭和大学 医学部)
- 近藤 克則(千葉大学 予防医学センター)
- 辻 一郎(東北大学大学院)
- 村尾 浩(神戸学院大学 総合リハビリテーション学部)
- 石川 隆志(秋田大学大学院)
- 小林 法一(首都大学東京)
- 能登 真一(新潟医療福祉大学)
- 植松 光俊(星城大学 リハビリテーション学部)
- 備酒 伸彦(神戸学院大学 総合リハビリテーション学部)
- 篠田 道子(日本福祉大学 社会福祉学部)
- 山本 克也(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障基礎理論研究部)
- 菊池 潤(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障基礎理論研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、1.生活機能向上に資する生活期リハビリテーション(以下、リハ)の方法論、2.多職種協働に基づく生活期リハマネジメント手法、3.教育現場での具体的な研修方法(テキスト作成を含む)の開発を通じて、生活期リハ/リハマネジメントの質の向上と標準化を図るとともに、平成30年の同時改定に向け、施策の検討に必要な基礎データや知見を提供することを目的とする。
研究方法
本研究では、3つのテーマ(1.活動・参加レベルの向上に資するリハ提供方法の確立、2.リハマネジメント手法の開発、3.教育・研修方法の開発)を設定し、これらテーマ毎に研究を進める。本年度は、テーマ1・2の現状把握と課題抽出を目的に、1)訪問/通所リハマネジメント実態調査、2)事例検討、3)リハ会議の運営実態調査、4)リハ学生の意識調査などを実施した。さらに、リハ/リハマネジメントの質を評価するためのデータ収集システムを構築するため、生活課題やリハ内容のコード化、データ収集ツール開発を行った。
結果と考察
本年度調査から、
1) 通所リハ利用者が抱える日常生活上の課題では,「歩行・移動」が84.1%と最も多く、次いで「筋力向上」74.3%、「関節可動域」51.2%の順であった。また、リハ内容については,「筋力向上」72.8%、「歩行・移動練習」71.8%、「関節可動域訓練」52.4%が多かった、
2)リハマネジメントを事例ベースで検証した結果、(1)職種の専門性がプランに反映されていない、(2)職種によりアセスメント、課題抽出、目標設定、プラン内容に質的違いがある、(3)日常生活活動(ADL)や手段的ADL(IADL)で改善の見込みありとアセスメントしているにもかかわらず、心身機能の維持を目標とし、プランも心身機能になっているものが多い、(4)終了後のイメージがもてていない、次の資源を設定できていないものがほとんどであるなどの課題が挙げられた、
3)リハ学生の興味領域が「身体機能障害を来した原因疾患」に偏っており、実際の障害と、それによる生活行為への影響に考えを及ぼす学生は少数であった、
4) 施設によってリハ会議の運営方法や、リハ職の参加の状況が異なっていた。また、リハ会議は多職種連携の場と評価しているが、個別リハを優先するため、担当リハ職が参加できない状況も見られた、
5)医師がリハ計画の作成者として関わっている割合は42.4%であった。また、リハ職への指示内容は、リハ開始前の確認事項が48.7%、運動中のリスクが46.7%、運動の中止基準26.2%、日常生活上の留意事項が22.7%であった、
6)事例検討会は、リハマネジメントの具体的方法を学ぶ場として非常に有用であった
などがわかった。
本年度実施した様々な調査から、1)リハ職はICIDH(国際障害分類)の思考過程に沿って、まずは心身機能面から介入するといった方法論を採りやすい、2)利用者の弱みを見る視点が強く、個人因子や環境因子の強みを生かせていない、3)他の職種との協働に慣れていない、4)目標を利用者と共有し、ゴール達成後、よりよいサービスや支援につなげていくという意識がまだまだ弱いと感じられた。
1) 通所リハ利用者が抱える日常生活上の課題では,「歩行・移動」が84.1%と最も多く、次いで「筋力向上」74.3%、「関節可動域」51.2%の順であった。また、リハ内容については,「筋力向上」72.8%、「歩行・移動練習」71.8%、「関節可動域訓練」52.4%が多かった、
2)リハマネジメントを事例ベースで検証した結果、(1)職種の専門性がプランに反映されていない、(2)職種によりアセスメント、課題抽出、目標設定、プラン内容に質的違いがある、(3)日常生活活動(ADL)や手段的ADL(IADL)で改善の見込みありとアセスメントしているにもかかわらず、心身機能の維持を目標とし、プランも心身機能になっているものが多い、(4)終了後のイメージがもてていない、次の資源を設定できていないものがほとんどであるなどの課題が挙げられた、
3)リハ学生の興味領域が「身体機能障害を来した原因疾患」に偏っており、実際の障害と、それによる生活行為への影響に考えを及ぼす学生は少数であった、
4) 施設によってリハ会議の運営方法や、リハ職の参加の状況が異なっていた。また、リハ会議は多職種連携の場と評価しているが、個別リハを優先するため、担当リハ職が参加できない状況も見られた、
5)医師がリハ計画の作成者として関わっている割合は42.4%であった。また、リハ職への指示内容は、リハ開始前の確認事項が48.7%、運動中のリスクが46.7%、運動の中止基準26.2%、日常生活上の留意事項が22.7%であった、
6)事例検討会は、リハマネジメントの具体的方法を学ぶ場として非常に有用であった
などがわかった。
本年度実施した様々な調査から、1)リハ職はICIDH(国際障害分類)の思考過程に沿って、まずは心身機能面から介入するといった方法論を採りやすい、2)利用者の弱みを見る視点が強く、個人因子や環境因子の強みを生かせていない、3)他の職種との協働に慣れていない、4)目標を利用者と共有し、ゴール達成後、よりよいサービスや支援につなげていくという意識がまだまだ弱いと感じられた。
結論
ICF(国際生活機能分類)の考え方を定着させ、実践レベルで展開できるようにするためには、学校教育を変えるとともに、卒後研修(多職種協働教育を含む)を充実させる必要性がある。また、生活機能向上に資するリハ提供方法、リハマネジメント方法の確立を図るためには、既存帳票類(アセスメント票、計画書)を定期的に収集し、分析するための仕組み構築が必須であると考えた。
公開日・更新日
公開日
2017-10-03
更新日
-