組織の適切な供給体制構築のための基盤構築に向けた研究

文献情報

文献番号
201512004A
報告書区分
総括
研究課題名
組織の適切な供給体制構築のための基盤構築に向けた研究
課題番号
H26-難治等(免)-一般-103
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
藤田 知之(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 心臓血管外科)
研究分担者(所属機関)
  • 北村 惣一郎(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 心臓血管外科)
  • 小林 順二郎(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 心臓血管外科)
  • 中谷 武嗣(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 移植部門)
  • 福嶌 教偉(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 移植医療部)
  • 市川 肇(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 小児心臓外科)
  • 湊谷 謙司(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 血管外科)
  • 秦 広樹(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 心臓血管外科)
  • 小川 真由子(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 移植医療部)
  • 安波 洋一(福岡大学 医学部)
  • 服部 理(東京大学医学部附属病院)
  • 三瓶 祐次(東京大学医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等政策研究 移植医療基盤整備研究分野)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
4,760,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、今年度より保健医療となったホモグラフトや骨をはじめとする、組織を用いた治療が公平に実施されるための基盤整備を目的とする。認知度の向上、提供数の増加、組織の適切な配分を達成するため、①市民認知度の向上、啓蒙、②ニーズの掘り起こし、③提供者側医療者(救急医、脳外科医など)に対する提供の拡大への啓蒙、④提供・分配へのシステム構築、をテーマとして研究を行う。
研究方法
①関連機関と連携した一般市民への啓発活動の継続実施と併せ、啓発に有用なツールに関する知見を収集し、検討の上実施する。
②本研究初年度の結果より、ホモグラフトの認知度及び移植へのニーズは高いものの、実施手続きについて周知されていない現状が明らかとなった。早急に、保健医療となったことや実施手順等を広く告知する必要があると推測された。併せて、高度な技術が要求されるこの手技を広く習得できるようにするための教育の重要性も示唆された。本年度、東京大学医学部付属病院組織との連携のもと、説明会やホモグラフト移植・摘出講習会を開催し、正確な対象疾患、使用方法や採取の手順を教授し、「採取→保存→使用」までの流れを周知する。
③本研究初年度の結果の公表等を通じた啓発及び有用な啓発ツールを用いて提供者側医療者(救急医、脳外科医など)に対する提供の拡大への啓蒙を行う。持続可能かつ、有用な法整備への提案や運用に関する提案につなげる体制を検討する。
④平成28年度の診療報酬改定にてホモグラフト、骨を用いた移植が保険収載された事もあり、国民の提供意思、移植意思の双方に広く応えるためには、対応地域の拡大は必須であるが、現在採取に対応できる施設は非常に限られている。また、遠隔地でのコーディネーション体制も確立されていない。本年度、国立循環器病研究センターを先行として、組織バンク所属施設地域外の地域におけるホモグラフト摘出・移植の拠点施設を確立し、摘出医の増員を図り、組織バンク所属施設外施設での実施に際して、移植を実施する施設が摘出についても担う体制の構築を検討する。併せて、実際の症例発生時における臓器移植Co.と組織移植Co.の連携体制を明確化し、遠隔地からの供給体制について検討する。
結果と考察
①研究を通じ、Web等を用いた活動の有用性が示唆されていたため、今後活用及び内容について検討の上実施する。
②国立循環器病研究センター主催の「凍結保存同種組織を用いた外科治療」説明会及び、「ホモグラフト移植・摘出講習会」を開催し、正確な対象疾患、使用方法や採取

の手順、即ち「採取→保存→使用」までの流れを周知した。
③関連学会にてブース出展及び演題発表を通じて積極的に啓蒙活動を行った。併せて、より有用な啓発ツールの活用についてアンケートを通じて検討した。

④国立循環器病研究センター及び京都大学主催のCo.研修会を年間複数回実施し、臓器移植Co.-組織移植Co.間の連携体制強化を図った。また、②において実施した、国立循環器病研究センター主催「凍結保存同種組織を用いた外科治療」説明会を通じて、ホモグラフト移植・摘出の拠点施設の確立を図った。
本年度臓器提供件数は増加し、臓器提供時組織提供も増加傾向となった。本研究で示された、提供(協力)意思がある場合の臓器・組織の差異は僅少である事を裏付ける傾向であった。今後益々、提供(協力)意思を臓器・組織の別なく最大限生かす事が求められる。そのためにはドナー情報対応の効率化をより積極的に進め、提供に際しての地域格差の是正に努めることが必須である。
 本年4月よりホモグラフト及び骨を用いた外科治療が保険収載される事となった事もあり、今後より適正・公平な組織移植医療が実施される必要がある。そのためには、バンクとして組織を十分確保し、確実に供給可能とする体制整備は喫緊の課題であり、バンク施設への還元、医療施設への配慮も視野に入れた保険診療体制の構築や法的整備に向け、組織移植関係者全体で検討、提言していく事が重要である。併せてコーディネーターの研修や、移植・摘出医教育システムの確立の必要性も示唆された。

結論
組織を用いた医療は均てん化されているとはいえず、ドナーとレシピエント、両者を結ぶ基盤整備のさらなる充実が求められる。そのために、関連機関の連携を深化し、教育啓蒙を通じて意思の汲み上げ、より家族、施設に負担の少ないコーディネーションを確立する。また、搬送経路の確立、採取する医師の教育指導、高度な技術を要する移植手術の教育指導、保存方法の確立、再分配のシステムのなどを確立する。

公開日・更新日

公開日
2016-06-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201512004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,760,000円
(2)補助金確定額
5,760,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 759,224円
人件費・謝金 1,414,245円
旅費 1,688,197円
その他 898,334円
間接経費 1,000,000円
合計 5,760,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-06
更新日
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