新興・再興感染症研究事業の企画と評価に関する研究

文献情報

文献番号
199800502A
報告書区分
総括
研究課題名
新興・再興感染症研究事業の企画と評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 修道(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 新興・再興感染症研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
-
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
感染症各分野の最新知見をふまえて、適切な研究課題の設定、最適な研究者の選考、公正な研究費の配分、そして厳密な研究成果の評価のあり方についての検討を行い、我が国の新興・再興感染症研究の適切な推進に資することを目的とした。
研究方法
新興・再興感染症研究の専門家である研究者を委員とする中間・事後評価委員会及び事前評価委員会を組織し、1)研究者の選考及び研究費の配分額の決定、2)研究課題の設定、並びに3)研究成果の評価・採択を行った。特に3)の成果の評価については、その指標を①研究の達成度、②計画の妥当性、③研究継続能力、④厚生行政への貢献度とし、複数の委員による5段階評価を行った。
結果と考察
1)平成10年度新興・再興感染症研究事業においては、48の研究課題が採択された。これを主たる研究内容別に分類すると、基礎研究が全体の約65%、臨床研究が約10%、疫学・公衆衛生研究が約25%であり、基礎研究が大半を占めていた。
2)各研究課題の評価を上記の指標を用いて実施したところ、研究達成度の平均点は基礎研究全体で3.73と最も高く、疫学・公衆衛生研究全体で3.55とやや低かった。研究計画の妥当性は、基礎、臨床、疫学・公衆衛生研究ともに3.8点前後でばらつきは少なかった。研究継続能力、行政への貢献度は疫学・公衆衛生研究で高く評価されていた。疫学・公衆衛生研究の行政貢献度は平均3.83であったのに対し、基礎研究では平均3.5であった。4つの指標の合計点をみると、最高17.3、最低12.6(20点満点)であり、これらはいずれも疫学・公衆衛生に分類される研究課題であった。
3)評価委員会にて、個々の研究課題の成果をレビューした結果、いくつかの研究班は共通するテーマをもっていた。この場合、合同研究発表会を実施したり、スタンダードの血清、プライマーなどを臨床的な研究班から疫学亭な研究班に送ったりするなどの協力が行われていた。重複を避けるためにも、今後研究班間のさらなる連携が重要である。また、研究に必要な情報収集のため、国内関連団体(学会、全国地方衛生研究所長会、全国保健所長会、老人保健施設協会など)又は、海外の専門機関とも連携しつつ研究することの重要性がいくつかの研究課題に関して指摘された。倫理面の配慮も重要であり、患者情報を収集する際及び小規模な臨床試験を行う際、プライバシーへの配慮、インフォームドコンセントに関し、研究報告書に記載されていないケースがいくつかの研究班で見られた。しかし、いずれの場合も、個人を特定できない方法でデータの提供を受ける、インフォームドコンセントを得るなどの対応がなされていた。動物実験に関しても、規程に従い動物に与える苦痛軽減、排除の方法、安楽死の方法を記載した実験計画書の提出、動物実験委員会の審査を受けた購入などが行われていた。いくつかの研究の成果は、Archives Virology, Journal of Virology, Immunology などに掲載されたほか、WHOへの貢献など、国際的に高い評価を受けているものもあった。
以上より、平成11年度の研究課題は概ね適切に進められていると考えられた。
4)平成11年度分の新規申請課題についても、既存の研究課題の評価と同様の評価を行い6課題を採択した。
結論
新興・再興感染症研究事業を実施するため、適切な課題の設定、最適な研究者の選考、公正な研究費の配分、そして厳密な研究成果の評価を実施することができた。今後、関連する研究課題の間の連携及び関連機関との協力が研究を進めていくうえで重要である。また、プライバシー保護、インフォームドコンセントなど倫理面の配慮を今後も欠かさないことが必要である。

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研究報告書(紙媒体)

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