四肢形成不全の疾患概念と重症度分類法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201510103A
報告書区分
総括
研究課題名
四肢形成不全の疾患概念と重症度分類法の確立に関する研究
課題番号
H27-難治等(難)-一般-036
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
芳賀 信彦(東京大学医学部附属病院 リハビリテーション科)
研究分担者(所属機関)
  • 高村 和幸(福岡市立こども病院 整形・脊椎外科)
  • 鬼頭 浩史(名古屋大学 整形外科)
  • 高山 真一郎(国立成育医療研究センター病院 整形外科)
  • 緒方 勤(浜松医科大学 小児科)
  • 藤原 清香(東京大学医学部附属病院 リハビリテーション科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
808,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
四肢形成不全は、胎生期に生じ出生時に四肢の形態異常を示す疾患の総称である。四肢形成不全の発生率はカナダBritish Columbiaの 1952~1984年のデータで1万出生中5.43人であり、部位別の数値も報告されている。日本ではクリアリングハウス国際モニタリングセンターの2010年のデータで1万生存出生中4.09人(指趾のみを除く)とされているが、部位別の数値を事務局に問い合わせたが回答を得られていない。すなわち、日本での年間出生数から考えると年間400名程度の四肢形成不全児が出生していると考えられるが、医療政策につながるような詳細な内容は明らかになっていない。
四肢形成不全は希少疾患であるため、出生時から成長に伴い継続的な対応が必要であるにも関わらず、十分な医療体制が確立されていない。本研究では、研究班メンバーらの診療経験と研究成果に基づき、日本における疫学調査を行い、疾患概念を確立するとともに、患者の生涯にわたる診療やADL・QOL等の観点から重症度を規定することを目的とする。
研究方法
平成27年度は、全国疫学調査の対象疾患の確定、調査手法の検討を行った。
1)対象疾患の確定:研究代表者、研究分担者間で検討を行った。
2)小児科領域から、裂手裂足症および裂手裂足症+脛骨欠損症、Gollop-Wolfgang complexの遺伝的背景に関する検討を行った。
3)リハビリテーション領域から、多職種連携診療の経験に基づき、上肢形成不全における義手使用の状況を調査した。
4)上記2)、3)の結果を参考にした上で、整形外科・リハビリテーション領域の研究代表者、研究協力者の診療経験に基づき、調査対象の基準設定を行い、疫学の専門家の協力を得て、アンケート調査の方法を検討した。
結果と考察
研究代表者、研究分担者間で本研究の対象疾患に関する検討を行った結果、手指や足趾に限局する障害の少ない疾患を除くこととし、機能障害の程度が比較的強く、診療方針に関する一定の見解が得られていない疾患と確定した。具体的には、四肢の先天性切断と、長管骨の一部または全体の欠損(橈骨形成不全、尺骨形成不全、近位大腿骨限局性欠損症、脛骨形成不全、腓骨形成不全)である。四肢形成不全が症侯群の一症状である疾患も対象とすることとした。
研究分担者の緒方らは、研究代表者、他の研究分担者の協力を受け、51家系、ならびに、Gollop-Wolfgang complex様の骨奇形を有する患者において、BHLHA9という肢芽で発現している遺伝子を含む約200 kbの日本人創始者効果であるコピー数増加を同定し、さらにこのコピー数増加を1回のPCRで同定できる方法を確立した。
リハビリテーション領域では、四肢形成不全外来で、小児上肢形成不全に対し、多職種連携で義手の処方と導入、作業療法を行った16名を検討した。16名に処方・製作した義手の内訳は、装飾用義手1、受動義手12、能動義手2、作業用義手4、筋電電動義手5であった。このうち13名は、日常生活の中で毎日もしくは定期的な使用、もしくは自発的な義手の装着ができていた。
以上の結果を参考に、整形外科・リハビリテーション領域の診療経験に基づき、疫学の専門家の協力を得て、アンケート調査の方法を検討した。この検討に際しては、難病の患者数と臨床疫学増把握のための全国疫学調査マニュアル第二版に則って、疫学研究班への調査への協力を依頼した。
疫学研究班の協力を得て、全国病院リストの提供を受け、これを使用した一次調査および二次調査の準備を行った。調査対象診療科として、小児科、整形外科、形成外科を選定した。また、日本小児総合医療施設協議会加入の34施設、全国肢体不自由児施設運営協議会加入の60施設を特定階層病院とした。全国病院リストを用い、特定階層病院と大学附属病院を除外して調査対象医療機関の層化無作為抽出を行った。調査対象期間を2014年1月1日より2015年12月31日とし、この2年間における四肢形成不全の新規発生率を見ることを目的に、年次別の新規患者数の調査を実施することになった。
結論
四肢形成不全の疾患概念と重症度分類法の確立に向け、対象となる疾患を、機能障害の程度が比較的強く、診療方針に関する一定の見解が得られていない疾患と確定した。その上で小児科領域、リハビリテーション領域の診療経験・研究成果を参考に、また疫学の専門家の協力も得て、全国疫学調査の手法を決定し、それに向けた準備を行った。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
その他
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2016-07-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-12-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201510103Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,050,000円
(2)補助金確定額
1,050,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 387,377円
人件費・謝金 378,231円
旅費 0円
その他 55,546円
間接経費 242,000円
合計 1,063,154円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-13
更新日
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