文献情報
文献番号
201510095A
報告書区分
総括
研究課題名
小児の急性脳症・けいれん重積状態の診療指針の確立
研究課題名(英字)
-
課題番号
H27-難治等(難)-一般-028
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
水口 雅(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 前垣 義弘(鳥取大学 医学部)
- 齋藤 真木子(東京大学 大学院医学系研究科)
- 山内 秀雄(埼玉医科大学 医学部)
- 高梨 潤一(東京女子医科大学 八千代医療センター)
- 山形 崇倫(自治医科大学 医学部)
- 佐久間 啓(公益財団法人 東京都医学総合研究所)
- 奥村 彰久(愛知医科大学 医学部)
- 齋藤 伸治(名古屋市立大学 大学院医学研究科)
- 廣瀬 伸一(福岡大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
4,423,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
急性脳症は小児の感染症の最も重篤な合併症である。インフルエンザ、突発性発疹などありふれた感染症の経過中に、けいれんや意識障害が急に出現する。死亡や神経学的後遺症に至る例も多い。急性脳症は日本国内での発症が年に千人弱であり、さほど多くはない。しかしインフルエンザや出血性大腸炎の流行を契機に多発して、地域の救急医療を危機に陥らせることがあり、医学的、社会的な問題は大きい。
厚生労働科学研究インフルエンザ脳症研究班(森島班)により、インフルエンザ脳症ガイドラインが策定され、初版が2005年に、改訂版が2009年に発表された。同ガイドラインはインフルエンザ脳症の診療の向上と予後の改善に大きく寄与した。しかしインフルエンザ以外の感染症に続発した急性脳症に関しては指針が存在しなかったことから、それらを含めた急性脳症全体に関するガイドラインが求められていた。また2009年以降も急性脳症の研究は進歩を続けたので、新しい内容を取り込んだガイドラインの必要性が次第に増してきた。
日本小児神経学会は2013年9月に急性脳症を新規ガイドライン策定疾患として選び、2014年3月に小児急性脳症診療ガイドライン策定委員会を構成して、ガイドライン作成を進めた。本研究は同委員会に協力し、エビデンスを作成、収集して提供した。
厚生労働科学研究インフルエンザ脳症研究班(森島班)により、インフルエンザ脳症ガイドラインが策定され、初版が2005年に、改訂版が2009年に発表された。同ガイドラインはインフルエンザ脳症の診療の向上と予後の改善に大きく寄与した。しかしインフルエンザ以外の感染症に続発した急性脳症に関しては指針が存在しなかったことから、それらを含めた急性脳症全体に関するガイドラインが求められていた。また2009年以降も急性脳症の研究は進歩を続けたので、新しい内容を取り込んだガイドラインの必要性が次第に増してきた。
日本小児神経学会は2013年9月に急性脳症を新規ガイドライン策定疾患として選び、2014年3月に小児急性脳症診療ガイドライン策定委員会を構成して、ガイドライン作成を進めた。本研究は同委員会に協力し、エビデンスを作成、収集して提供した。
研究方法
客観性のあるエビデンスに基づいた作成方法を取るため、Mindsの手法に基づいてガイドライン作成が進められた。
ガイドラインの目的は、小児医療の現場でけいれんや意識障害の診療に従事する医師が急性脳症の急性期診療を行うのに役立つ指針を示すことに置かれた。ガイドラインの作成は日本小児神経学会ガイドライン統括委員会によって決定され、ガイドライン策定委員会が2014年3月に発足した。ガイドライン作成の方法論の専門家をアドバイザーとして加えることにより、科学的で客観的なガイドラインを作成する組織を構成した。10名の委員がクリニカルクエスチョン(CQ)の選定、文献の一次・二次スクリーニング、推奨文、解説文の案の作成を行った。推奨文、解説文の案は、執筆者以外の委員による内部査読および日本集中治療学会による外部査読を受けたうえで、修正を加えた。各委員が推奨、解説についてプレゼンテーションを行い、委員会で検討、修正した。2016年2月に関係する学会、および患者保護者の会に外部評価を依頼した。パブリックコメントは日本小児科学会ホームページ上で学会員から収集し、ガイドライン案を修正した。AGREE IIに沿った外部評価を依頼し、その結果にもとづいて最終的な修正を行った。
推奨グレードはAHCPR(現AHRQ)によるグレードを基本とした。急性脳症に関しては多くがグレードC(行うよう勧めるだけの根拠が明確でない)であることが事前に予想されたため、このグレードをC1(科学的根拠はないが、行うことを考慮してよい)とC2(科学的根拠がなく、行わないことを考慮してよい)とにさらに分割した。推奨の決定に際しては、検査や治療の益のみならず、それによる患者への害や負担なども考慮して検討した。エビデンスがあっても日本国内では認可されていない剤形、使用法の薬剤については、医学的見地から推奨を決定したうえで、国内での制約に関する注釈を付記した。推奨グレードの決定は、各CQを担当した委員によるプレゼンテーションの後にガイドライン策定委員による議論を行って最終案を決定した。
ガイドラインの目的は、小児医療の現場でけいれんや意識障害の診療に従事する医師が急性脳症の急性期診療を行うのに役立つ指針を示すことに置かれた。ガイドラインの作成は日本小児神経学会ガイドライン統括委員会によって決定され、ガイドライン策定委員会が2014年3月に発足した。ガイドライン作成の方法論の専門家をアドバイザーとして加えることにより、科学的で客観的なガイドラインを作成する組織を構成した。10名の委員がクリニカルクエスチョン(CQ)の選定、文献の一次・二次スクリーニング、推奨文、解説文の案の作成を行った。推奨文、解説文の案は、執筆者以外の委員による内部査読および日本集中治療学会による外部査読を受けたうえで、修正を加えた。各委員が推奨、解説についてプレゼンテーションを行い、委員会で検討、修正した。2016年2月に関係する学会、および患者保護者の会に外部評価を依頼した。パブリックコメントは日本小児科学会ホームページ上で学会員から収集し、ガイドライン案を修正した。AGREE IIに沿った外部評価を依頼し、その結果にもとづいて最終的な修正を行った。
推奨グレードはAHCPR(現AHRQ)によるグレードを基本とした。急性脳症に関しては多くがグレードC(行うよう勧めるだけの根拠が明確でない)であることが事前に予想されたため、このグレードをC1(科学的根拠はないが、行うことを考慮してよい)とC2(科学的根拠がなく、行わないことを考慮してよい)とにさらに分割した。推奨の決定に際しては、検査や治療の益のみならず、それによる患者への害や負担なども考慮して検討した。エビデンスがあっても日本国内では認可されていない剤形、使用法の薬剤については、医学的見地から推奨を決定したうえで、国内での制約に関する注釈を付記した。推奨グレードの決定は、各CQを担当した委員によるプレゼンテーションの後にガイドライン策定委員による議論を行って最終案を決定した。
結果と考察
ガイドライン策定委員会は2014年3月に発足し、章立て、CQ設定、文献検索、推奨文執筆を経てガイドライン案を作成した。2016年2月、このガイドライン案は関係する他の学会およびエキスパートによる査読、ならびに学会員によるパブリックコメントにかけられた。
日本は急性脳症の研究において世界をリードしており、その診療においても先頭を走っている。しかし何ぶんにも研究の歴史が浅く、患者数も少ないため、エビデンスの蓄積は乏しく、エビデンスレベルの高い文献は皆無であった。その一方、急激な経過や重篤な症状に対して遅滞なく最良の診療を提供するためのガイドラインを日本から出して欲しいという要望は強かった。その意味で今回、日本小児神経学会がガイドライン策定に着手したことの意義は大きいと考えられた。
日本は急性脳症の研究において世界をリードしており、その診療においても先頭を走っている。しかし何ぶんにも研究の歴史が浅く、患者数も少ないため、エビデンスの蓄積は乏しく、エビデンスレベルの高い文献は皆無であった。その一方、急激な経過や重篤な症状に対して遅滞なく最良の診療を提供するためのガイドラインを日本から出して欲しいという要望は強かった。その意味で今回、日本小児神経学会がガイドライン策定に着手したことの意義は大きいと考えられた。
結論
小児急性脳症診療ガイドラインが小児神経学会により作成され、本研究班はそれに連携、協力した。急性脳症に関するエビデンスが質・量ともに乏しいため、策定過程では困難が多かった。しかし作業はほぼ順調に進み、2016年中にガイドラインを公表できる見込みが大きい。
公開日・更新日
公開日
2017-03-31
更新日
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