文献情報
文献番号
201510093A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性膵疾患に関する調査研究
課題番号
H27-難治等(難)-一般-026
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
竹山 宜典(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 伊佐地 秀司(三重大学大学院医学系研究科肝胆膵・移植外科)
- 石黒 洋(名古屋大学総合保健体育科学センター)
- 伊藤 鉄英(九州大学病態制御内科)
- 乾 和郎(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院消化器内科)
- 岡崎 和一(関西医科大学内科学第3講座消化器免疫)
- 片岡 慶正(大津市民病院)
- 神澤 輝実(東京都立駒込病院内科)
- 北野 雅之(近畿大学医学部消化器内科)
- 清水 京子(東京女子医科大学消化器内科)
- 杉山 政則(杏林大学医学部外科)
- 武田 和憲(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター外科)
- 成瀬 達(みよし市民病院内科)
- 正宗 淳(東北大学大学院医学系研究科消化器内科)
- 真弓 俊彦(産業医科大学医学部救急医学)
- 峯 徹哉(東海大学消化器内科)
- 池上 博司(近畿大学医学部内分泌・代謝・糖尿病内科)
- 佐田 尚宏(自治医科大学外科学消化器外科学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
5,971,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
難治性膵疾患である嚢胞性線維症、自己免疫性膵炎、慢性膵炎、重症急性膵炎についての、我が国における実態把握、疫学調査を行うとともに、診断、治療法の標準化とその普及、さらに疾患の情報と生活指針などの予防と予後改善に向けた、患者、患者家族および一般社会への啓発活動である。そして、理想的な診療体系の確立と普及によって、治療成績の向上と経済効率の改善を図るとともに、施設間や地域間の診療の質の格差をなくし、均質で良質な医療は難治性膵疾患患者に平等に提供して、難治性膵疾患の予防と治療成績の向上を目指す。
研究方法
嚢胞性線維症に対しては、嚢胞性線維症登録制度を利用して嚢胞性線維症の実態調査を行い、登録制度事務局の意見交換を目的として、患者家族や担当医を含めた第1回嚢胞性線維症情報交換会を開催した。汗試験と便中エラスターゼによる嚢胞性線維症の診療指針を作成した。さらに、「嚢胞性線維症の診療の手引き」の改訂し、5回嚢胞線維症の二次調査の副調査として、「嚢胞性線維症患者家族の膵疾患の罹患状況調査」を行い、患者家族の膵疾患の有無や患者の就学状況に関する調査を行った。日本人で発見された病因性CFTR変異のうち11変異について、発現障害および機能障害を調べた。
自己免疫性膵炎に対しては、診断と治療についての現状を把握するべく全国調査を行い、標準的ステロイド治療法の確立を策定する目的で、自己免疫性膵炎1型の治療に関するアンケート調査を行った。また、1年毎に画像所見や臨床症候などについて5年間前向き予後調査を行うことを計画し、調査を開始した。
慢性膵炎に対しては、慢性膵炎の疼痛に対して,内科的インターベンション治療と外科治療を比較する前向きおよび後ろ向き調査研究を開始し、膵性糖尿病患者の実態に関する第2回全国疫学実態調査の施行を計画した。慢性膵炎の生活習慣対策指針の作成と患者団体連携支援を計画実行した。早期慢性膵炎(早期慢性膵炎疑診例、慢性膵炎疑診例も含む)と診断された症例に対する5年間前向き予後調査を行っている。さらに、遺伝性膵炎の症例登録システムの構築を行った
急性膵炎に対しては、重症急性膵炎の局所合併症に対する治療の現況とコンセンサスとの整合性について検討し、急性膵炎治療の診療科間・施設間差異に関してアンケート調査を行い,施設間・診療科間での実態を分析した。急性膵炎重症度判定基準の見直しに向けて、改訂方針の検討を行った。重症急性膵炎診療の国際比較を行う目的で、本邦の急性膵炎診療ガイドラインと諸外国のガイドラインを比較検討した。各地域における急性膵炎に対するチーム医療と市域医療システムを構築することを目的とし、それぞれの医療モデルを構築した。さらに、DPCデータを用いて急性膵炎診療の実態調査を行った。
自己免疫性膵炎に対しては、診断と治療についての現状を把握するべく全国調査を行い、標準的ステロイド治療法の確立を策定する目的で、自己免疫性膵炎1型の治療に関するアンケート調査を行った。また、1年毎に画像所見や臨床症候などについて5年間前向き予後調査を行うことを計画し、調査を開始した。
慢性膵炎に対しては、慢性膵炎の疼痛に対して,内科的インターベンション治療と外科治療を比較する前向きおよび後ろ向き調査研究を開始し、膵性糖尿病患者の実態に関する第2回全国疫学実態調査の施行を計画した。慢性膵炎の生活習慣対策指針の作成と患者団体連携支援を計画実行した。早期慢性膵炎(早期慢性膵炎疑診例、慢性膵炎疑診例も含む)と診断された症例に対する5年間前向き予後調査を行っている。さらに、遺伝性膵炎の症例登録システムの構築を行った
急性膵炎に対しては、重症急性膵炎の局所合併症に対する治療の現況とコンセンサスとの整合性について検討し、急性膵炎治療の診療科間・施設間差異に関してアンケート調査を行い,施設間・診療科間での実態を分析した。急性膵炎重症度判定基準の見直しに向けて、改訂方針の検討を行った。重症急性膵炎診療の国際比較を行う目的で、本邦の急性膵炎診療ガイドラインと諸外国のガイドラインを比較検討した。各地域における急性膵炎に対するチーム医療と市域医療システムを構築することを目的とし、それぞれの医療モデルを構築した。さらに、DPCデータを用いて急性膵炎診療の実態調査を行った。
結果と考察
嚢胞性線維症に関しては、患者の生活や治療の実態が明らかになり、今後の支援すべき方向性が明らかにされた。ただし、本疾患に対する新生児期の診断システムが確立されておらず、その対応が急務であると考えられた。
自己免疫性膵炎に関しては、長期予後や長期のステロイド治療などの是非など、今後継続して症例を追跡する必要性が確認された。
慢性膵炎に関しては、現在外科治療の実態を張瀬中であるが、難治性疼痛例に対する外科治療の施行率が低いことが予想され、その施行率を上げていくことが今後の課題と考えられる。また、我が国から発信された早期慢性膵炎の概念の妥当性ちと実態を追跡調査する重要性も再認識された。
急性膵炎に関しては、全国疫学調査を予定しているが、最近の急速な治療法の発達に伴って治療成績が大きく変化していることが予想され、本研究の継続の重要性が確認された。また、治療法と成績の均霑化が重要であり、そのためにもチーム医療体制と地域医療体制の充実が急務であろう。
自己免疫性膵炎に関しては、長期予後や長期のステロイド治療などの是非など、今後継続して症例を追跡する必要性が確認された。
慢性膵炎に関しては、現在外科治療の実態を張瀬中であるが、難治性疼痛例に対する外科治療の施行率が低いことが予想され、その施行率を上げていくことが今後の課題と考えられる。また、我が国から発信された早期慢性膵炎の概念の妥当性ちと実態を追跡調査する重要性も再認識された。
急性膵炎に関しては、全国疫学調査を予定しているが、最近の急速な治療法の発達に伴って治療成績が大きく変化していることが予想され、本研究の継続の重要性が確認された。また、治療法と成績の均霑化が重要であり、そのためにもチーム医療体制と地域医療体制の充実が急務であろう。
結論
難治性膵疾患である嚢胞性線維症、自己免疫性膵炎、慢性膵炎、重症急性膵炎は、各疾患ごとに臨床像のみならず社会的背景が大きく異なっており、それらに応じたきめの細かい対応が必要である。そのためには、これらの疾患に対する息の長い調査研究を持続してゆく必要があると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2017-03-31
更新日
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