文献情報
文献番号
201510091A
報告書区分
総括
研究課題名
マイクロアレイ染色体検査でみつかる染色体微細構造異常症候群の診療ガイドラインの確立
研究課題名(英字)
-
課題番号
H27-難治等(難)-一般-024
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
倉橋 浩樹(藤田保健衛生大学 総合医科学研究所・分子遺伝学研究部門)
研究分担者(所属機関)
- 大橋博文(埼玉県立小児医療センター遺伝科)
- 黒澤健司(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター)
- 山本俊至(東京女子医科大学統合医科学研究所)
- 涌井敬子(信州大学医学部・遺伝医学予防医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
6,288,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
染色体の欠失や重複のような微細構造異常によるコピー数の変化(CNV)は、量的効果により遺伝子機能に直接影響するため、先天性疾患の原因となることが多い。近年、マイクロアレイ染色体検査が臨床応用され、検出感度が飛躍的に向上した。すでに欧米では多発奇形・発達遅滞の原因の精査としては従来の染色体検査にかわる第1選択の診断ツールとされている。日本では導入時期が遅れたが、すでに5000以上の日本人患者のデータが蓄積されている。昨年、マイクロアレイ染色体検査が診断に必須な疾患が小児慢性特定疾患に追加されるなど、臨床的有用性は高いという認識は高まっているが、検査提供体制が整備されているとはいいがたく、検査適応などの指針が必要である。研究代表者を含む本研究班員はこれまで、厚労省難治性疾患克服研究事業の支援も受け、多発奇形・発達遅滞の患者の原因の精査としてのマイクロアレイ染色体検査を診療の中でおこなってきた。本研究ではそれを継続する形で、3年間を通じて、患者サンプルの収集とマイクロアレイ染色体検査を行う。各施設で合計年間500例ほどの解析を目標とする。そして、代表的な30疾患に関して、新たな診断基準、重症度判定基準の作成、最終的には診療ガイドラインの作成を行う。
研究方法
日本全国の主な診療施設の小児科もしくは遺伝診療科に連絡を取り、染色体微細構造異常が疑われるような多発奇形・発達遅滞の患者のサーベイランス、患者登録を行う。集まった患者情報に基づいて、詳細な臨床情報と末梢血サンプルの収集を行う。末梢血サンプルに対しては、研究代表者を含む各研究分担者が個々の施設でマイクロアレイ染色体検査を行う。各施設の合計として年間500例ほどの解析を目標とする。得られた情報に基づいて、診断基準、重症度判定基準の作成、最終的には診療ガイドラインの作成を行う。本研究は、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針を遵守して行う。解析試料の取得は書面でのインフォームドコンセントの上でおこない、研究対象者に対するプライバシーの保護など、人権擁護上の問題については十分に配慮したうえで行った。報告又は発表に際しては、被験者のプライバシー保護に十分配慮する。偶発的所見を含めた、発生しうる諸問題には、各施設の遺伝カウンセリング部門が対応する。すでに研究代表者や研究分担者の所属機関のヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会の承認を得ている。
結果と考察
(1)マイクロアレイ染色体検査について:研究代表者を含め各班員が、所属施設における実臨床の中での新規患者の発見に向けたマイクロアレイ染色体検査、ならびに診療情報のチェックを行った。本研究の対象疾患である、染色体微細構造異常症30疾患の掘り起こしを行った。(2)染色体微細構造異常症30疾患について:まず、班会議で、対象疾患の見直しを行い、当初の30疾患に2疾患の追加を行い、対象疾患を32疾患に拡大した。その後、それぞれの担当疾患に関する情報収集を行い、7つの疾患に関しては診断基準、重症度判定基準の作成へと進めることができた。またこれらの疾患に関しては難病情報センターのウェブサイトの中にある病気の解説に関する情報を充実化させた。(3)エクソーム解析との関連性:一方で、エクソーム解析データの定量性が注目されており、マイクロアレイ染色体検査にとってかわる可能性が議論されている。本研究班でも、検討した結果、まだ定量性の精度の確認の必要性があることと、エクソーム解析での定量は対象疾患が限定されている場合には有効であるが、まだ第一段階のスクリーニング検査としてマイクロアレイ染色体検査が必要であることを確認した。(4)考察:今後、これら疾患の指定難病認定に向けての準備、その後、これらの疾患の診断に必要な遺伝学的検査としてのマイクロアレイ染色体検査の保険収載などを視野に入れ、研究を進めていくことが期待される。
結論
本研究では、マイクロアレイ染色体検査により診断される、多発奇形・発達遅滞を主症状とする染色体微細構造異常症候群の診療ガイドラインの確立を目的として、国内の多施設共同研究により、代表的な32疾患に関して、全国調査による国内患者の把握や、臨床診断基準、重症度判定基準の策定を開始した。研究代表者を含め各班員が実臨床の中での新規患者の掘り起こしに向けたマイクロアレイ染色体検査、ならびに診療情報の収集、チェックなどを行った。また、7つの疾患に関しては診断基準、重症度判定基準の作成を行うことができた。一方で、エクソーム解析の定量性が注目されており、マイクロアレイ染色体検査にとってかわる可能性に関して、その定量性の確認の必要性と、マイクロアレイ染色体検査の位置づけの検討を行った。次年度以降は、残りの対象疾患に関しても同様の検討を進めてゆく。
公開日・更新日
公開日
2017-03-31
更新日
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