脳腱黄色腫症の実態把握と診療標準化のためのガイドライン作成

文献情報

文献番号
201510072A
報告書区分
総括
研究課題名
脳腱黄色腫症の実態把握と診療標準化のためのガイドライン作成
課題番号
H27-難治等(難)-一般-005
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
関島 良樹(国立大学法人 信州大学 学術研究院医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 小山 信吾(山形大学 医学部)
  • 稲葉 雄二(国立大学法人 信州大学 学術研究院医学系 )
  • 濃沼 政美(帝京平成大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
874,000円
研究者交替、所属機関変更
研究者交替および所属機関変更はない

研究報告書(概要版)

研究目的
脳腱黄色腫症は,シトクロムP-450 (CYP27A1) 遺伝子変異を原因とする常染色体劣性遺伝の先天性代謝異常症で,腱黄色腫,若年性動脈硬化,知能低下,錐体路症状,小脳症状などを主徴とする稀少難病である.本症は本邦からも現在までに約60例の症例報告がなされているが,系統的な臨床研究はこれまで全く実施されておらず,患者数の実態は把握されていない.また,診断基準やガイドラインも存在しないことから,未診断例が多数存在すると予想される.さらに,本症に対してはケノデオキシコール酸,HMG-CoA還元酵素阻害剤,LDLアフェレーシスによる治療の報告があるが,これらの治療の有効性に関するエビデンスレベルは不明である.以上のような状況を踏まえ,本研究では脳腱黄色腫症の本邦における実態把握,客観的診断基準・重症度分類の確立,診療ガイドラインの作成を目的とする.
研究方法
平成27年度に日本全国の神経内科教育施設,循環器専門医研修・研修関連施設,小児科専門医研修施設を対象とし,脳腱黄色腫症患者の全国調査を行い,患者の実態を把握する.
これを踏まえ,平成28年度には,全国調査を基に観的指標に基づく診断基準・重症度分類を確立し,文献的な検索も加え診療ガイドラインを作成する.診断基準,重症度分類,診療ガイドラインは日本語及び英語で作成し,難病センターおよび関連学会のホームページ上で公開し,国内外に情報発信する.
(倫理面への配慮)
本研究グループの構成員は研究を開始するに当たって,所属施設の倫理委員会の承認を受ける.全国調査に当たっては,連結可能匿名化を用いる事により個人情報の保護に配慮する.
結果と考察
結果:日本全国の神経内科教育施設,循環器専門医研修・研修関連施設,小児科専門医研修施設を合計2541施設を対象に脳腱黄色腫症に関する第一次全国調を行い,1032施設(40.6%)から回答を得た.その結果,31施設から40例の脳腱黄色腫症患者が報告された. 本症患者を診療している診療科の内訳は,神経内科26施設,循環器内科2施設,内分泌代謝内科1施設,内科2施設であった.一次調査で脳腱黄色腫症患者の診療経験があると回答した31施設に対して,更に詳細な情報を得るための二次調査を実施し,現在までに23施設から32例についての回答を得ている.また,全国第二次調査で収集された臨床データから患者データベースを作成した.更に,収集された臨床データの統計学的な解析を開始した.
考察:脳腱黄色腫症患者の多くは,神経内科で診療を受けており,小児期発症が多い疾患であるにもかかわらず,小児科で診療を受けている症例はなかった.これは,本症が早期診断されていない可能性を示唆している.
結論
日本全国に40名(患者重複の可能性はあり)の脳腱黄色腫症患者の存在を確認した.

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201510072Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,045,000円
(2)補助金確定額
1,045,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 312,909円
人件費・謝金 0円
旅費 76,940円
その他 484,151円
間接経費 171,000円
合計 1,045,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-13
更新日
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