文献情報
文献番号
201510059A
報告書区分
総括
研究課題名
皮膚の遺伝関連性希少難治性疾患群の網羅的研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-難治等(難)-一般-077
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 隆(久留米大学 皮膚細胞生物学研究所)
研究分担者(所属機関)
- 古川 福実(和歌山県立医科大学医学部皮膚科)
- 森脇 真一(大阪医科大学皮膚科)
- 米田 耕造(香川大学医学部付属病院皮膚科)
- 古村 南夫(福岡歯科大学総合医学講座皮膚科学分野)
- 大畑 千佳(久留米大学医学部皮膚科学講座)
- 照井 正(日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野)
- 鶴田 大輔(大阪市立大学大学院医学研究科皮膚病態学)
- 川上 民裕(聖マリアンナ医科大学皮膚科学)
- 下村 裕(新潟大学大学院医歯学総合研究科)
- 相場 節也(東北大学大学院医学系研究科皮膚科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
15,157,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動
研究分担者 古村 南夫
久留米大学医学部皮膚科学講座(平成23年10月1日~平成27年9月30日)→福岡歯科大学総合医学講座皮膚科学分野(平成27年10月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、(1)自己炎症性皮膚疾患(中條-西村症候群は他の内科・小児科の自己炎症性皮膚疾患と連携し、ウェーバー・クリスチャン病は皮膚科単独で行う)、(2)コケイン症候群、(3)様々な掌蹠角化症、(4)家族性良性慢性天疱瘡(ヘイリーヘイリー病)、(5)ジューリング疱疹状皮膚炎(類天疱瘡・後天性表皮水疱症に関しては天谷班と共同して研究する)、(6)化膿性汗腺炎、(7)皮膚家族性腫瘍症候群(特に母斑性基底細胞癌症候群、Cowden病)、(8)難治性血管腫(スタージ・ウェーバー症候群は他の形成外科・放射線科の研究班とも連携して研究を進める)、(9)多種の遺伝性毛髪疾患、(10)鼻瘤(重症型酒さ)の10種の皮膚の遺伝関連性稀少難治性疾患群について臨床的研究を進めることである。この10疾患はいずれもQOLの著明な低下を示し、一部は生命予後も悪化することから重要な皮膚疾患である。また、病因が不明、治療法が未確立、長期療養を要し、患者数が少なく、難病としての要件を満たしている。最終的に、これらの稀少難治性疾患の治療法とQOLの向上を目指す。それぞれの疾患を担当する10名の班員は、いずれも各疾患において我が国の皮膚科のリーダーとして活躍している。
研究方法
上記の10種の皮膚の遺伝関連性稀少難治性疾患群について、他の皮膚科および皮膚科以外の調査研究班と連携しつつ、診断基準・重症度分類作成およびその改正、アンケートなどによる疫学調査・和文および英文の診療ガイドライン作成などの臨床研究を行う。それぞれの疾患は性質が異なっているため、最終的に、研究代表者が10名の班員の異なった研究の総括を行う。研究代表者の施設である久留米大学皮膚細胞生物学研究所と関連している久留米大学皮膚科では、家族性良性慢性天疱瘡とジューリング疱疹状皮膚炎およびそれ以外の表皮下自己免疫性水疱症群の研究を行う。その他の疾患群のうち、自己炎症性皮膚疾患(中條-西村症候群など)は和歌山県立医科大学皮膚科、コケイン症候群は大阪医科大学皮膚科、各種の掌蹠角化症は香川大学皮膚科、化膿性汗腺炎は日本大学皮膚科、皮膚家族性腫瘍症候群(特に母斑性基底細胞癌症候群、Cowden病)は大阪市立大学皮膚科、難治性血管腫(特にスタージ・ウェーバー症候群)は聖マリアンナ医科大学皮膚科、遺伝性毛髪疾患は新潟大学皮膚科、鼻瘤(重症型酒さ)は東北大学皮膚科で、研究分担者がその施設の研究協力者と研究を進める。その経過を研究代表者とe-mailや電話で密に連絡を取りながら進め、年に1回ないし2回の班会議で総会を行い、その検討をもとに最終的な目的を達成する。
結果と考察
結果:厚生労働省の指定難病検討委員会により指定難病に選定された疾患のうち、家族性良性慢性天疱瘡(ヘイリーヘイリー病)とコケイン症候群については橋本班で単独に研究を進めており、また、中條-西村症候群とスタージ・ウェーバー症候群については他の班と共同研究を行っている。これらの疾患については、各種の書類の作成を行った。また、まだ指定難病に指定されていない他の8疾患群に関しても、将来、指定難病に認定されることを目指して、すでに作成した診断基準・重症度分類の改定を進めた。研究代表者の総括のもと、各疾患について、頻回のe-mailや電話でのやりとりを行い、最終的に、総会において、研究代表者と全研究分担者が討論して、診断基準・重症度分類をブラッシュアップし、各研究分担者が最終の診断基準・重症度分類を作成した。また、同時に、ほぼすべての疾患群について、遺伝診断および全国の皮膚科施設へのアンケートの送付などによる疫学調査などを行った。
考察:指定難病に選定された306疾患のうち、本研究班が単独あるいは他の班と共同で研究する家族性良性慢性天疱瘡(ヘイリーヘイリー病)、コケイン、症候群中條-西村症候群とスタージ・ウェーバー症候群に関して、指定難病の医療費の助成を推進するため、患者認定および重症度分類の作業を進めた。また、慶応義塾大学皮膚科の天谷班と共同で、類天疱瘡・後天性表皮水疱症の研究も進めた。
考察:指定難病に選定された306疾患のうち、本研究班が単独あるいは他の班と共同で研究する家族性良性慢性天疱瘡(ヘイリーヘイリー病)、コケイン、症候群中條-西村症候群とスタージ・ウェーバー症候群に関して、指定難病の医療費の助成を推進するため、患者認定および重症度分類の作業を進めた。また、慶応義塾大学皮膚科の天谷班と共同で、類天疱瘡・後天性表皮水疱症の研究も進めた。
結論
今後、厚生労働省の指定難病検討委員会における新たな指定難病の選定にむけて、本研究班でも、残りの8疾患群について、さらに診断基準・重症度分類をブラッシュアップして、特定疾患の選定を目指す。また、自己炎症性皮膚疾患、難治性血管腫については、他の研究班と連携して研究を進める。さらに、今後は、10疾患の全国施設へのアンケート結果のまとめなどによる疫学調査・遺伝子診断を進め、それぞれの疾患の概念の確立と統計をまとめ、最終的に、和文および英文の診療ガイドライン作成を目指す。
公開日・更新日
公開日
2017-03-31
更新日
-