呼吸不全に関する調査研究

文献情報

文献番号
201510058A
報告書区分
総括
研究課題名
呼吸不全に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-076
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
巽 浩一郎(千葉大学大学院医学研究院 呼吸器内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 三嶋 理晃(京都大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 )
  • 平井 豊博(京都大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 )
  • 林田 美江(信州大学医学部附属病院 呼吸器・感染症内科)
  • 瀬山 邦明(順天堂大学大学院医学研究科 呼吸器内科学)
  • 井上 義一(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 臨床研究センター呼吸器内科)
  • 陳 和夫(京都大学大学院医学研究科 呼吸管理睡眠制御学講座)
  • 中西 宣文(国立循環器病センター研究所 肺高血圧先端医療研究部)
  • 田邉 信宏(千葉大学大学院医学研究院 先端肺高血圧症医療学)
  • 西村 正治(北海道大学大学院医学研究科 呼吸器内科学)
  • 谷口 博之(公立陶生病院 呼吸器・アレルギー内科)
  • 塩谷 隆信(秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻)
  • 花岡 正幸(信州大学医学部 内科学第一講座)
  • 伊達 洋至(京都大学大学院医学研究科 呼吸器外科学)
  • 長瀬 隆英(東京大学大学院医学系研究科 呼吸器内科学)
  • 別役 智子(慶應義塾大学医学部 呼吸器内科学)
  • 井上 博雅(鹿児島大学医学部 呼吸器内科学)
  • 佐藤 徹(杏林大学医学部 循環器内科学)
  • 植田 初江(国立循環器病研究センター病理部)
  • 葛西 隆敏(順天堂大学医学部 循環器内科学)
  • 木村 弘(奈良県立医科大学内科学第二講座)
  • 多田 裕司(千葉大学大学院医学研究院 呼吸器内科学)
  • 坂尾 誠一郎(千葉大学医学部附属病院 呼吸器内科)
  • 津島 健司(千葉大学医学部附属病院 呼吸器内科)
  • 寺田 二郎(千葉大学大学院医学研究院 呼吸器内科学 )
  • 中山 健夫(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学)
  • 吉田 雅博(国際医療福祉大学臨床医学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
12,113,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 疾患横断的・縦断的研究により 1) 患者の生命予後とQOLの向上を実現する 2) 厚生労働省の医療政策に活用しうる知見の収集をした。
 具体的には9つの疾患群ー1) 肺動脈性肺高血圧症、2) 慢性血栓塞栓性肺高血圧症、3) 肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症、4) リンパ脈管筋腫症、5) alpha-1アンチトリプシン欠乏症、遺伝的素因が発症に関与するCOPD、6) 肺胞低換気症候群、7) オスラー病、8) 成人型ランゲルハンス細胞組織球症、9) Birt-Hogg-Dube症候群ーについて、日本における難治性呼吸器疾患患者のデータベース作成などを通して、日本の患者に対して有益な重症度分類を含めた診断基準、診療ガイドラインの作成をめざした。さらに「肺移植」治療の適正な運用にも取り組んだ。エビデンスに基づく診療ガイドラインを作成することで難病助成の公平性を示すことを可能としたい。 
 当研究は関係学会との連携、患者会との連携、厚生労働省/日本学術振興会の科学研究との連携により、新しい患者情報を共有化するよう図る。さらにその情報を国内のみならず海外へ発信するよう努める。
研究方法
 診療ガイドライン(GL)策定のためにはそれぞれの疾病群に対する専門家集団が、診療ガイドラインWGを立ち上げた。
 GL統括委員会、GL作成グループ、システマティックレビュー(SR)グループ、さらにGL編集WGを作成、日本呼吸器学会等で各施設からの基礎的・臨床的研究を継続発表し討議を重ねてゆく。 日本における継続的な(毎年更新可能な)適切な診療ガイドライン策定のためには、難治性呼吸器疾患患者データベースの構築・活用、発症関連要因・予防要因の探求、重症化危険因子の探索、予後関連因子の探求、予後追跡調査、各種治療有効性の検討が必要になる。平成27年度は、下記に示す代表者を中心とした各診療ガイドラインWGが平成26年度に作成した診療ガイドラインを基に、平成27年版診療ガイドラインを作成した。
結果と考察
 2014~2015年度、対象呼吸器疾患に関する疾患概要/診断基準/重症度基準を策定して、2016年度以降の継続研究の基盤をつくった。1) 肺動脈性肺高血圧症(PAH):診断には右心カテーテル検査による肺動脈性の肺高血圧の診断とともに、臨床分類における鑑別診断、および他の肺高血圧を来す疾患の除外診断が必要である。2) 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH):器質化した血栓により肺動脈が閉塞し、肺血流分布ならびに肺循環動態の異常が6か月以上にわたって固定している病態である。3) 肺静脈閉塞症(PVOD)/肺毛細血管腫症(PCH):病理組織学的には肺内の静脈が主な病変部位であり、肺静脈の内膜肥厚や線維化等による閉塞を認める。4) リンパ脈管筋腫症(LAM):LAMはTSC-LAMと孤発性LAMに分類されるが、両者ともTSCの原因遺伝子として同定されたTSC 遺伝子の異常が発症に関与している。5) 肺胞低換気症候群(AHS):呼吸器・胸郭・神経・筋肉系に異常がなく、肺機能検査上明らかな異常が認められないにもかかわらず、日中に肺胞低換気(高度の高二酸化炭素血症と低酸素血症)を呈する病態である。肺胞低換気は覚醒中よりも睡眠中に悪化する。6) α1-アンチトリプシン欠乏症(AATD):通常のCOPDとは異なる疾病であり、喫煙の影響をその発症要因としては、ほぼ考慮から外せる疾病である。7) 遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)(HHT)に合併する肺動静脈奇形:責任遺伝子としては、ENG(Endoglin)、ACVRL1(ALK1)、SMAD4の3つが確認されている。それぞれの対象疾患に対して、2015年度版診療ガイドラインを作成した。
結論
 2015年度、呼吸器系難治性疾患の横断的・縦断的研究を通して、2015年版「診療ガイドラインの作成」を実施した。研究代表者は対象各疾患におけるClinical Questionの検討を継続中であり、これらに答えるべきAnswer策定に際して、日本の各施設からの論文発表成果を活かして、各年度の診療ガイドライン策定に望む予定である。2015年度の成果は2016年度に引き継ぎ、「医療政策に活用しうる知見の収集・活用」を通して、「難治性呼吸器疾患患者QOL向上」を目指した。呼吸不全に関する調査研究班は、研究代表者が統括し、日本呼吸器学会学術部会が支える体制を組んだ。診療ガイドラインの継続的作成のため、患者会との連携、日本循環器学会との連携も常にとっている。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201510058Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,746,000円
(2)補助金確定額
15,746,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,672,604円
人件費・謝金 5,455,009円
旅費 656,630円
その他 3,330,617円
間接経費 3,633,000円
合計 15,747,860円

備考

備考
物品費の不足分を自己資金1860円により補った。

公開日・更新日

公開日
2018-06-13
更新日
-