希少難治性角膜疾患の疫学調査

文献情報

文献番号
201510056A
報告書区分
総括
研究課題名
希少難治性角膜疾患の疫学調査
課題番号
H26-難治等(難)-一般-072
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
西田 幸二(国立大学法人 大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 山上 聡(国立大学法人 東京大学 医学部附属病院)
  • 木下 茂(京都府立医科大学)
  • 大橋 裕一(国立大学法人 愛媛大学)
  • 坪田 一男(慶應義塾大学 医学部)
  • 村上 晶(順天堂大学 大学院医学研究科)
  • 島崎 潤(東京歯科大学)
  • 宮田 和典(医療法人明和会 宮田眼科病院)
  • 山田 昌和(杏林大学 医学部)
  • 前田 直之(国立大学法人 大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 新谷 歩(国立大学法人 大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 川崎 諭(国立大学法人 大阪大学 大学院医学系研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
19,239,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
角膜は眼球の最前部に位置し、眼球光学系で最大の屈折力を持つため、わずかな混濁や変形であっても著しい視力低下を来す。本研究で対象とする角膜疾患はいずれも希少疾患で、原因ないし病態が明らかでなく、効果的な治療方法がいまだ確立しておらず、著しい視力低下を来すため早急な対策が必要な疾患である。これまでこれらの難治性角膜疾患に対しては難治性克服疾患研究事業のもと個別に研究が行われてきた。しかし希少疾患であるがゆえ、患者情報の収集は容易ではなく、またその成果のフィードバックについても現時点で一般眼科医まで浸透しているとは言えない状況である。そのため、調査から診断基準や重症度分類、診療ガイドラインの作成・改定、そしてそれらの普及・啓蒙までの一連のプロセスを学会主導で行う必要性があると考えられる。
本研究では、角膜の希少難治性疾患として6つの疾患領域について、日本眼科学会との連携のもと、角膜学会および角膜移植学会の主導で難治性角膜疾患の臨床研究を全国規模で行い、より質の高い診断基準や重症度分類、診療ガイドラインの作成を行うこととする。さらにそれらを学会主導で全国に普及させ難治性疾患の診断および治療の均てん化を図ることで難治性疾患の医療水準の向上、予後改善に貢献することを目指している。
今年度には疫学調査の枠組みの構築とともにデータ入力を開始し、研究班内での厳密な議論のもとに、診断基準、重症度分類、診療ガイドラインの暫定版の作成を行うこととする。
研究方法
H26年度の初めに班会議を開催し、その中で本研究の対象となる角膜の希少難治性疾患として、1. 角膜内皮症、2. 角膜形状異常症、3. 先天性角膜混濁、4. 周辺部角膜潰瘍、5. 角膜ジストロフィ、6. 角膜上皮幹細胞疲弊症の6の疾患領域の対象疾患および研究担当者(リーダー、サブリーダー、コアメンバー、サブメンバー)を決定した。進め方としては大きな課題については班会議で顔を合わせて話し合い、それ以外の課題についてはメールベースで話し合うこととした。各疾患領域毎にメーリングリストを作成した。疫学調査の枠組みとしては、REDCapデータベースを用いてインターネット経由で匿名化した患者情報を多施設で入力するシステムを構築した。
結果と考察
今年度、すべての疾患領域について診断基準および重症度分類が作成され、診断基準については現在スケジュールに沿ってレビューイングが行われており、1か月間のパブリックコメントの募集の後、学会承認となる予定である。重症度分類についてはこの3か月遅れでほぼ同じプロセスに乗って学会承認となる予定である。診療ガイドラインについては、現在遺伝性角膜ジストロフィと先天性角膜混濁において暫定版が作成されているがさらなる修正が必要と考えている。診療ガイドラインは可能な限りMindsの手法に準じて行う予定だが、本研究で対象とするほぼすべての疾患は希少疾患であるため、そもそもエビデンス総体の規模が小さく、Mindsの手法にてシステマティックに診療ガイドラインを作成することに困難を予想しており、状況によってはMindsの手法に拘らずに作成していくことを選択する。
今年度、6疾患領域について、おのおのワーキンググループ内での厳密な議論のもとに、診断基準、重症度分類を作成した。診断基準は現在レビューイングプロセスにあり、今後パブリックコメント募集を経て学会承認される予定である。診療ガイドラインについては2疾患領域で暫定版が作成された。他の疾患領域においても今後作成を予定している。
来年度上半期には診断基準の学会承認を終え、下半期には引き続いて重症度分類、診療ガイドラインについても学会承認となるように予定している。
結論
今年度、6疾患領域について、おのおのワーキンググループ内での厳密な議論のもとに、診断基準、重症度分類を作成した。また診療ガイドラインについては2疾患領域で暫定版が作成された。結果として今年度の進捗としては、概ね当初の予定を達成できたものと考える。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201510056Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
25,010,000円
(2)補助金確定額
24,879,000円
差引額 [(1)-(2)]
131,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,946,052円
人件費・謝金 7,500,155円
旅費 6,536,684円
その他 2,125,746円
間接経費 5,771,000円
合計 24,879,637円

備考

備考
131,000円返還(自己資金 637円)

公開日・更新日

公開日
2021-06-08
更新日
-