慢性活動性EBウイルス感染症とその類縁疾患の診療ガイドライン作成と患者レジストリの構築

文献情報

文献番号
201510055A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性活動性EBウイルス感染症とその類縁疾患の診療ガイドライン作成と患者レジストリの構築
課題番号
H26-難治等(難)-一般-071
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
木村 宏(名古屋大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 谷内江 昭宏(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 藤原 成悦(国立成育医療研究センター研究所)
  • 大島 孝一  (久留米大学 医学部 )
  • 岩月 啓氏(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 浅田 秀夫(奈良県立医科大学 医学部)
  • 新井 文子(東京医科歯科大学 大学院)
  • 伊豆津 宏二(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院)
  • 大賀 正一(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 澤田 明久(大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 金兼 弘和(東京医科歯科大学 大学院 )
  • 笹原 洋二(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 今留 謙一(国立成育医療研究センター研究所)
  • 伊藤 嘉規(名古屋大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
10,227,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性活動性EBウイルス感染症、EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症、種痘様水疱症、蚊刺過敏症は、我が国の小児・若年成人に特有な希少疾患である。これら4疾患は疾患概念が確立し、それぞれが異なる臨床像を持つが、EBウイルスが感染したT細胞・NK細胞の増殖に端を発するという共通点がある。本研究ではこれら4疾患の実態解明と予後改善を目指し、診療ガイドライン作成に従事している。平成26年度は、診療ガイドライン作成のために、まず診療ガイドライン作成組織を構築し、ガイドラインの大枠・作成方法・スケジュールを決定した。更に2003年に制定されて以来改変されていない慢性活動性EBウイルス感染症診断基準の見直し及び改定に着手した。平成27年度は、診療ガイドラインの骨格である本文、診療ガイドラインアルゴリズム、クリニカルクエスチョン(CQ)を作成にとりかかることとした。
研究方法
1) 診療ガイドライン作成:平成26年度組織した診療ガイドライン統括委員会・作成グループ・システマティックレビューチームにより、診療ガイドライン作成を進めた。
2) 慢性活動性EBウイルス感染症診断基準の改定:前年度、EBウイルス感染症研究会の診断指針を元に改訂案作成に着手した。本年度は、EBウイルス感染症研究会での公開討論(平成27年3月15日)を踏まえ、慢性活動性EBウイルス感染症診断基準(2015年厚生労働省研究班)としてまとめた。
3) 患者レジストリの構築: 患者レジストリを確立することで、診療実態・治療成績・長期予後を把握できる。調査結果に基づき診療ガイドラインを改定し、重症度分類に基づいた診療が確立となれば、患者の予後改善にもつながる。患者レジストリの構築のための資料・情報の収集に努めた。
4) 中央診断体制の構築:前年度に構築した中央診断体制(病理診断:久留米大学、ウイルス学的診断:名古屋大学および成育医療研究センター)に基づいて、慢性活動性EBウイルス感染症診断を実施した。
結果と考察
1) 診療ガイドライン作成:統括委員会・作成委員会を通し、各疾患の定義・位置づけを確認し、診療ガイドラインアルゴリズム・クリニカルクエスチョン(CQ)作成に従事した。全体で25個のCQを選定し、日本医学図書館協会に依頼し文献検索を行い、班員からなるレビューチームによりシステマティックレビューを実施した。
2) 前年度、改訂したEBウイルス感染症研究会の診断指針を、平成28年第一回班会議(平成27年6月27日)にて議論した。診断基準に加え、重症度分類も加味した形で、慢性活動性EBウイルス感染症診断基準(2015年厚生労働省研究班)としてまとめた。同様に、新たにEBウイルス関連血球貪食症候群に関する診断基準を作成した。
3) 患者レジストリの構築:情報収集を行ったところ、慢性活動性EBウイルス感染症が、指定難病に選定される可能性があることが明らかとなった。指定難病になれば、厚労省の指導の元、患者申請・情報収集を行うことになる。平成28年3月に予定されている指定難病の第三次追加発表を待って、レジストリ構築を始めることとした。
4) 中央診断体制の構築:前年度に構築した中央診断体制に基づいて、慢性活動性EBウイルス感染症とその類縁疾患の中央診断を実施し・患者集積をした。
慢性活動性EBウイルス感染症とその類縁疾患の本態はかなり解明されてきたが、未だ不明な点が多い。さらに、いずれの疾患も難治・予後不良であり、効果的な治療法も未確立であるのが現状である。よって、疾患領域・診療科を超え、共通の指針に基づく診療ガイドラインを作成することが急務である。平成28年度中には4疾患を包括した診療ガイドラインが完成する予定である。診療ガイドラインが確立されれば、多彩で難治な慢性活動性EBウイルス感染症およびその類縁疾患の、実態解明、疾患予後改善、患者の生活の質改善につながると期待される。
結論
慢性活動性EBウイルス感染症、EBウイルス関連血球貪食症候群、種痘様水疱症、蚊刺過敏症の4疾患に対する診療ガイドライン作成のため、本疾患群に関する診療情報を集積し、診断基準改訂・診療アルゴリズム作成・CQ作成・システマティックレビューを行った。診療ガイドラインならびに患者レジストリを確立することできれば、多彩で難治な慢性活動性EBウイルス感染症およびその類縁疾患の、実態解明、疾患予後改善、患者の生活の質改善につながると期待できる。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201510055Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,294,000円
(2)補助金確定額
13,294,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 8,088,245円
人件費・謝金 685,608円
旅費 953,879円
その他 499,268円
間接経費 3,067,000円
合計 13,294,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-13
更新日
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