びまん性肺疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
201510050A
報告書区分
総括
研究課題名
びまん性肺疾患に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-065
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
本間 栄(東邦大学 医学部 医学科 内科学講座呼吸器内科学分野(大森))
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 弘毅(札幌医科大学  内科学第三講座  呼吸器内科学)
  • 西村 正治(北海道大学大学院医学研究科 呼吸器内科学分野)
  • 海老名 雅仁(東北薬科大学病院 呼吸器センター)
  • 坂東 政司(自治医科大学内科学講座 呼吸器内科学部門)
  • 酒井 文和(埼玉医科大学国際医療センター共通部門画像診断科 放射線科学)
  • 萩原 弘一(自治医科大学付属さいたま医療センター 循環器病臨床医学研究所)
  • 慶長 直人((公財)結核予防会結核研究所/呼吸器病学)
  • 有村 義宏(杏林大学第一内科腎臓・リウマチ膠原病内科)
  • 稲瀬 直彦(東京医科歯科大学 呼吸器内科)
  • 吾妻 安良太(日本医科大学 大学院医学研究科 呼吸器内科学分野)
  • 岸  一馬(国家公務員共済組合 虎の門病院 呼吸器内科学)
  • 須田 隆文(浜松医科大学 内科学第二講座)
  • 長谷川 好規(名古屋大学医学研究科 呼吸器内科)
  • 伊達 洋至(京都大学大学院医学研究科器官外科学講座 呼吸器外科学)
  • 中山 健夫(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野)
  • 井上 義一(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター)
  • 河野 修興(広島大学大学院医歯薬学総合研究科分子内科学)
  • 西岡 安彦(徳島大学大学院医歯薬医学研究部 呼吸器、膠原病内科学分野)
  • 渡辺 憲太朗(福岡大学医学部 呼吸器内科)
  • 福岡 順也(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 生命医科学講座病理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
15,322,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、「希少性」、「原因不明」、「効果的な治療方法未確立」、「生活面への長期にわたる支障」の4要素を満たす難治性びまん性肺疾患に対して、患者データ・ベースも活用し、疫学調査に基づいた実態把握を行って、科学的根拠を集積・分析することにより、診断基準・重症度分類の確立、エビデンスに基づいた診療ガイドライン等の確立、普及および改正等を行い、難治性肺疾患の医療水準の向上を図ることを目的とする。また難治性びまん性肺疾患に罹患している患者の社会医学的研究を疾患横断的に行い、難病呼吸器患者のQOL 向上や政策に活用しうる基礎的知見の収集を目指す。
研究方法
平成26年度にはH28年度末の診療ガイドライン作成に向けて疫学調査、診断基準・認定基準・新重症度分類等の策定、確立を開始した。なお、本研究は日本呼吸器学会、日本呼吸器外科学会、日本肺癌学会、日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会、肺胞蛋白症・遺伝性間質性肺疾患に関する研究班、厚労省難治性血管炎班等と密な連携体制を構築しながら進める。
結果と考察
I. 稀少難治性びまん性肺疾患(ヘルマンスキーパドラック症候群合併間質性肺炎・肺胞蛋白症・肺胞微石症):その実態は殆ど未知であるこれらの希少疾患についての疫学調査を終了した。診断基準作成を目指す(28年度末)。肺胞蛋白症については指定難病に認定された(27年7月)。現在、診療ガイドラインを作成中(28年度末)。
II.難治性気道疾患(難治性びまん性汎細気管支炎・閉塞性細気管支炎・線毛機能不全症候群):疫学、アンケート調査、症例検討会を終了した。診断基準・重症度分類の確立、診療指針、症例集の作成を行う(28年度末)。なお、特発性閉塞性細気管支炎は指定難病に認定された(27年7月)。
III.特発性間質性肺炎
(1)特発性肺線維症(IPF)
a) IPF治療ガイドラインの刊行
IPFの国情に合った標準的な治療法を提示する。現在、執筆中で28年度に刊行する。
b) IPF合併肺癌のガイドライン策定
呼吸器外科学会、日本肺癌学会との共同で28年度末にIPF治療ガイドラインに盛り込み刊行する。
c) 新重症度分類策定に基づく治療戦略検討
従来の国内基準とGAPスコアを元に多様な病態にも対応できる新重症度分類の策定(27年12月達成済)、日本呼吸器学会での承認を目指す(28年度末)。
d) 診断の標準化
画像:IPF/UIPの画像診断標準化のための診断基準の再検討を行う(27年12月達成済)。
病理:現在、AMED本間班との共同で画像・病理のデータベース化を推進し、臨床・画像・病理によるMDD診断の基礎を作る(28年度末)。
(2)気腫合併肺線維症・上葉優位型肺線維症
「気腫合併肺線維症」「上葉優位型肺線維症」は予後不良であるがその実態、疫学は不明であり、診断基準策定を目指す(28年度末)。
(3)ANCA陽性間質性肺炎の検討:ANCA陽性IP患者の経過と全身性血管炎発症率、病型、画像、生命・機能的予後の観察共同研究によりIPFと血管炎の関連性を明らかにし、厚労省難治性血管炎班と共通の診療ガイドライン作成中(28年度末)。
IV.サルコイドーシス
サルコイドーシスの診断基準の改訂と重症度分類の作成を行った。また、サルコイドーシス診断ガイドラインを28年度までに作成するために、作成委員会を立ち上げ、眼、皮膚、心臓等の他臓器分野との連携を行い、現在、執筆中(28年度末)
結論
特発性間質性肺炎の中でも患者数が多く、きわめて予後の悪い特発性肺線維症(IPF)に対して、治療ガイドライン作成を行うことにより、きわめて難治な本疾患患者への恩恵が期待される。さらに、新重症度分類の策定により、必要な患者への早期治療介入が可能になると考えられる。また、その実態は現在まで殆ど未知である上記難治性希少疾患についての疫学調査、診断基準・重症度分類の確立、診療ガイドライン作成は厚生労働行政の指定難病対策に大きな貢献ができる。なお、難治性びまん性肺疾患患者を対象にした患者会の創設によって、難病に対する厚生労働行政の課題へ大きく寄与出来るものと考える。サルコイドーシスは、今回の調査により実態の把握が行われ、合わせて難治例の抽出、診断基準の改訂と重症度分類の作成が行われることにより、厚生労働行政を行う上での基礎資料が得られる。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201510050Z