文献情報
文献番号
201510047A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性大腿骨頭壊死症の疫学調査・診断基準・重症度分類の改訂と診療ガイドライン策定を目指した大規模多施設研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-059
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
菅野 伸彦(大阪大学 大学院医学系研究科運動器医工学治療学)
研究分担者(所属機関)
- 松本 忠美(金沢医科大学 整形外科)
- 渥美 敬(佐々総合病院 整形外科)
- 久保 俊一(京都府立医科大学大学院医学研究科・運動器機能再生外科学)
- 馬渡 正明(佐賀大学医学部 整形外科)
- 須藤 啓広(三重大学大学院医学系研究科 運動器外科学)
- 田中 栄(東京大学大学院医学系研究科・外科学専攻感覚運動機能医学講座整形外科学)
- 尾崎 誠(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻展開医療科学講座構造病態整形外科学)
- 伊藤 浩(旭川医科大学 整形外科)
- 高木 理彰(山形大学医学部 整形外科)
- 松田 秀一(京都大学大学院医学研究科 感覚運動系外科学講座整形外科学)
- 秋山 治彦(岐阜大学医学部 整形外科)
- 福島 若葉(大阪市立大学大学院医学研究科疫学 公衆衛生学)
- 名越 智(札幌医科大学生体工学 運動器治療開発講座)
- 安永 裕司(広島県立障害者リハビリテーションセンター)
- 大園 健二(関西労災病院 整形外科)
- 長谷川 幸治(名古屋大学大学院医学系研究科総合医学専攻 下肢関節再建学)
- 小林 千益(諏訪赤十字病院 整形外科)
- 山本 卓明(九州大学大学院医学研究院 整形外科)
- 稲葉 裕(横浜市立大学大学院医学研究科 運動器病態学)
- 加畑 多文(金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 医薬保健学域医学類機能再建学)
- 大川 孝浩(久留米大学医療センター整形外科 関節外科センター)
- 上杉 裕子(神戸大学大学院保健学研究科国際保健学領域)
- 神野 哲也(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科運動器外科学)
- 三木 秀宣(独立行政法人大阪医療センター 整形外科)
- 仲宗根 哲(琉球大学大学院医学研究科医科学専攻 整形外科)
- 坂井 孝司(大阪大学大学院医学系研究科 整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究（難治性疾患政策研究）
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
6,034,000円
研究者交替、所属機関変更
平成27年度から、研究分担者として岐阜大学医学部整形外科秋山治彦先生と久留米大学医療センター整形外科関節外科センター大川孝浩先生の2名が加わった。また、平成27年度から、渥美敬先生の所属が昭和大学藤が丘病院整形外科から佐々総合病院整形外科に変更になった。
研究報告書（概要版）
研究目的
本研究班発足にあたり、目的を以下の4点においた。
・全国の疫学調査継続による、世界最大の正確かつ最新の疫学データ収集とその解析
・的確かつ精度の高い診断基準を確立し、大腿骨頭壊死症患者の診断の標準化
・重症度分類とQOL評価の実施
・総合的な特発性大腿骨頭壊死症診療ガイドライン策定
・全国の疫学調査継続による、世界最大の正確かつ最新の疫学データ収集とその解析
・的確かつ精度の高い診断基準を確立し、大腿骨頭壊死症患者の診断の標準化
・重症度分類とQOL評価の実施
・総合的な特発性大腿骨頭壊死症診療ガイドライン策定
研究方法
１．疫学調査
これまで特発性大腿骨頭壊死症の全国疫学調査は平成7年及び平成17年の2回行われている。10年ごとの疫学像の変化をとらえるため、平成27年度全国疫学調査（二次調査）を施行し、2012年1月から2014年12月31日の間（最近3年間）に確定診断された症例を一次調査結果から抽出し、全国の医療機関へ回答を依頼した。また、並行して過去41年にわたり行われてきた本研究班における定点モニタリングシステムを継続し、平成27年度の特発性大腿骨頭壊死症新患例・手術例の登録を行い、記述疫学特性の経年変化を解析した。
２．診断基準の確立及び診断の標準化
現在の診断基準は5項目中2項目で確定診断とし、高い感度・特異度を有するが、MRIのband像のみを呈するstage 1の症例について、band像1項目のみで確定診断としてよいかどうか引き続き検討した。
３．重症度分類とQOL評価
特発性大腿骨頭壊死症初診患者36例及び手術例術前43例について、多施設設共同研究を開始した。包括的健康QOL尺度であるSF-12（PCS: 身体的健康、 MCS: 精神的健康、 RCS: 社会的健康）、股関節評価尺度である日本整形外科学会股関節疾患評価質問票（JHEQ）、Oxford Hip Score（OHS）、日本整形外科学会股関節機能判定基準（JOAスコア）による調査を行った。
４．診療ガイドライン策定
平成27年度から疫学・病態・診断・保存治療・骨切り術・再生治療・人工物置換の章を決定し、各々の担当者からなる特発性大腿骨頭壊死症診療ガイドライン委員会を構成した。日本整形外科学会と連携しながらガイドライン策定作業を行った。26個のclinical question(CQ)案を作成した。
これまで特発性大腿骨頭壊死症の全国疫学調査は平成7年及び平成17年の2回行われている。10年ごとの疫学像の変化をとらえるため、平成27年度全国疫学調査（二次調査）を施行し、2012年1月から2014年12月31日の間（最近3年間）に確定診断された症例を一次調査結果から抽出し、全国の医療機関へ回答を依頼した。また、並行して過去41年にわたり行われてきた本研究班における定点モニタリングシステムを継続し、平成27年度の特発性大腿骨頭壊死症新患例・手術例の登録を行い、記述疫学特性の経年変化を解析した。
２．診断基準の確立及び診断の標準化
現在の診断基準は5項目中2項目で確定診断とし、高い感度・特異度を有するが、MRIのband像のみを呈するstage 1の症例について、band像1項目のみで確定診断としてよいかどうか引き続き検討した。
３．重症度分類とQOL評価
特発性大腿骨頭壊死症初診患者36例及び手術例術前43例について、多施設設共同研究を開始した。包括的健康QOL尺度であるSF-12（PCS: 身体的健康、 MCS: 精神的健康、 RCS: 社会的健康）、股関節評価尺度である日本整形外科学会股関節疾患評価質問票（JHEQ）、Oxford Hip Score（OHS）、日本整形外科学会股関節機能判定基準（JOAスコア）による調査を行った。
４．診療ガイドライン策定
平成27年度から疫学・病態・診断・保存治療・骨切り術・再生治療・人工物置換の章を決定し、各々の担当者からなる特発性大腿骨頭壊死症診療ガイドライン委員会を構成した。日本整形外科学会と連携しながらガイドライン策定作業を行った。26個のclinical question(CQ)案を作成した。
結果と考察
１．疫学調査 二次調査を施行し、272科（65%）から2366症例の個人票を回収した。
２．診断基準の確立及び診断の標準化 特発性大腿骨頭壊死症と鑑別が必要な疾患や、自然経過において急速な減少・消失が認められた症例、新たに対側に壊死を認めた症例が報告され、またstage1例についての自然経過が確認された。
３．重症度分類とQOL評価 評価が悪い傾向にあったのは、手術例術前（手術側）、高齢女性、狭義の特発性症例であった。
４．診療ガイドライン策定 7章26個のclinical question(CQ)案を作成し、文献検索式を整えた。
２．診断基準の確立及び診断の標準化 特発性大腿骨頭壊死症と鑑別が必要な疾患や、自然経過において急速な減少・消失が認められた症例、新たに対側に壊死を認めた症例が報告され、またstage1例についての自然経過が確認された。
３．重症度分類とQOL評価 評価が悪い傾向にあったのは、手術例術前（手術側）、高齢女性、狭義の特発性症例であった。
４．診療ガイドライン策定 7章26個のclinical question(CQ)案を作成し、文献検索式を整えた。
結論
全国疫学調査の二次調査で得られた2366症例の個人票について次年度解析を行う。診断基準について、stage1例での自然経過が確認され、引き続き補則を設けたstage1例1項目での確定診断について行う。特発性大腿骨頭壊死例に対するQOL評価に関し、多施設研究として初診例及び手術術前例が登録開始され、高齢女性、狭義の特発性症例でのQOLの低下が確認された。引き続き経時的評価を行う。診療ガイドライン策定について、疫学・病態・診断・保存治療・骨切り術・再生治療・人工物置換の7章について、文献検索式を整え、26個のclinical question案を作成した。文献の一時選択を行う。
公開日・更新日
公開日
2017-03-31
更新日
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