ベーチェット病に関する調査研究

文献情報

文献番号
201510044A
報告書区分
総括
研究課題名
ベーチェット病に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-054
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
水木 信久(横浜市立大学 医学研究科 視覚器病態学)
研究分担者(所属機関)
  • 石ヶ坪 良明(横浜市立大学 医学研究科 )
  • 久松 理一(杏林大学 医学部 第3内科)
  • 広畑 俊成(北里大学 医学部 膠原病・感染内科学)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学 医学部 衛生学講座)
  • 蕪城 俊克(東京大学医学部附属病院 眼科)
  • 後藤 浩(東京医科大学 医学部臨床医学系眼科学分野)
  • 中村 晃一郎(埼玉医科大学 皮膚科)
  • 齋藤 和義(産業医科大学 医学部 第1内科学講座)
  • 南場 研一(北海道大学大学院 医学研究科 眼科学分野)
  • 菊地 弘敏(帝京大学 医学部 内科学講座)
  • 井上 詠(慶應義塾大学病院 予防医療センター)
  • 岳野 光洋(日本医科大学 医学部 アレルギー膠原病内科学分野)
  • 澁谷 悦子(横浜市立大学 医学研究科 視覚器病態学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
6,533,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、ベーチェット病の体系的な疾患概念の確立、疫学統計、また臨床症状、治療法やその効果などに及ぶ臨床実態調査を行い、それに基づいた「診療ガイドライン」の作成を主な目的としている。
 
研究方法
1.新規患者調査票を用いた疫学データ解析の確立
2.特殊型ベーチェット診療ガイドラインの作成 、改定
3.BD臨床調査個人票の改訂
4.病型別に症度分類、活動性分類の作成
5.診療ガイドラインの作成
6.眼病変に対するIFX適応基準、離脱基準および薬理動態に基づく治療計画を含めた適正治療指針の整備
7.診療医、患者への情報公開、ホームページの運営

結果と考察
1.新規患者調査票を用いた疫学データ解析の確立
H27年度、難治性疾患政策研究事業で新しい患者登録システム(稀少・難治性疾患患者データベース) は準備のため開始されず、難病法成立後の実態確認は新システムの開始を待つ状態にある。そのため当班で作成中の診療ガイドラインに資することを目的に特殊型や治療などの実態を確認した。また、当班で作成した『新規臨床調査個人票』を基に全例調査を行い、詳細なBDデータベースの
構築を開始している。
2.特殊型ベーチェット診療ガイドラインの作成 、改定
不明瞭であった特殊型BDの診断基準を改訂し、特殊型BDの診断は『完全型または不全型の診断基準
を満たす必要がある』ということを明確に規定した。
3.BD臨床調査個人票の改訂
従来の個人調査票は、表記の一貫性がなく、内容が理解しにくい、記入がしづらい、などの問題点があったため、本研究班では記載や判定の利便性、見やすさ、使いやすさ等に配慮した改訂を行った。
4.病型別にの症度分類、活動性分類の作成
眼病変では、ぶどう膜炎の活動性を評価するうえで、眼発作回数より有用な「眼発作スコア(BOS24:BD ocular attack score 24)」を完成させた。
5.診療ガイドラインの作成
本研究班の主要な目的のひとつである。本研究班で行っている疫学統計、臨床症状、治療法やその効果に及ぶ臨床実態調査等に基づき、国内のBD診療レベルの向上に寄与する「診療ガイドライン」の完成を目指し、眼病変と内科病変(特殊型および皮膚病変)のワーキンググループで協議を重ねている。
6.眼病変に対するIFX適応基準、離脱基準および薬理動態に基づく治療計画を含めた適正治療指針の整備
IFX治療の一次無効例(不応例)、二次無効例(効果減弱例)、投与時反応による不耐例患者において、IFX血中濃度(トラフ値)が低いことが示唆された。また、投与時反応などのアレルギー症状が起きる患者については、多くの症例で中和抗体(ATI)が産生されていた。昨年度の研究で、ATIの出現に関しては特殊病型も含めて解析したが、投与時反応、投与間隔短縮がリスク因子で、治療中止にも関与していた。今後さらに、IFX血中濃度やATIのデータを収集、蓄積し、IFX治療の効果判定や病態の活動性との相関を解析していく。
7.診療医、患者への情報公開、ホームページの運営
研究班ホームページを随時更新し、研究班の活動、班会議の情報や国内外の学会レポートなどを掲載することにより、現在の活動や最新の知見や治療を発信している。また患者や医療従事者からの質問に対しては、各専門分野の医師による意見を回答として返信している。
結論
1.新システム移行後も新しいデータベースを用いてこれまでと同様に解析を行っていく。
2.診断する医師によって曖昧であった特殊型BDの診断が明確になることで、正確な診断に繋がり、病態、治療効果、予後の把握ができ、ガイドラインにも反映できる。
3.個人調査票が見やすく、内容が理解しやすくなったことより、患者情報が具体的により正確に把握できるようになることが期待される。
4.眼病変については、今後もBOS24による活動性評価を継続する。
5.フォーマルコンセンサスへの解説を充実させ、どの科の医師がみても分かりやすく、臨床の現場で適切に活用できる診療ガイドラインの完成を目指していく。
6.IFX治療に関する調査も継続し、ガイドラインでは随時最新のデータで改訂していく。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201510044Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,492,000円
(2)補助金確定額
8,492,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,008,099円
人件費・謝金 366,064円
旅費 1,578,502円
その他 1,592,965円
間接経費 1,959,000円
合計 8,504,630円

備考

備考
自己負担金 12630円

公開日・更新日

公開日
2018-06-13
更新日
-