文献情報
文献番号
201510042A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性正常圧水頭症の病因、診断と治療に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-難治等(難)-一般-052
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
新井 一(順天堂大学医学部脳神経外科)
研究分担者(所属機関)
- 青木 茂樹(順天堂大学医学部放射線科)
- 石川 正恒(洛和会音羽病院正常圧水頭症センター)
- 数井 裕光(大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室)
- 加藤 丈夫(山形大学医学部第3内科)
- 喜多 大輔(公立能登総合病院脳神経外科)
- 栗山 長門(京都府立医科大学大学院医学研究科地域保健医療疫学教室)
- 佐々木 真理(岩手医科大学医歯薬総合研究所超高磁場MRI診断・病態研究部門)
- 澤浦 宏明 (成田富里徳洲会病院脳神経外科)
- 伊達 勲(岡山大学大学院脳神経外科学)
- 橋本 康弘(福島県立医科大学医学部生化学講座)
- 松前 光紀(東海大学医学部脳神経外科)
- 森 悦朗(東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
6,930,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者交替
橋本正明(平成27年4月1日~平成27年4月26日)→ 喜多大輔(平成27年6月18日以降)
所属機関異動
研究分担者 澤浦 宏明
鎌ヶ谷総合病院(平成27年4月1日~平成27年8月31日)→成田富里徳洲会病院(平成27年9月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
特発性正常圧水頭症(iNPH)は、健常老化や他の認知症疾患(アルツハイマー病、パーキンソン症候群など)と類似、もしくはこれらを合併していることがあり、日常臨床上、確定診断が依然として困難な場合が少なくない。そのような背景のなか、2004年に本疾患に関する診療ガイドラインが刊行され、手術件数は飛躍的に増加した。一方、地域住民を対象としたiNPHの有病率は、65歳以上の約2%と算出されたが、病院を対象とした全国疫学調査の結果では、年間約13000人が病院を受診しているに過ぎないことが明らかとなり、未だ大多数の患者は治療されずに放置されていることが明らかとなった。iNPHの早期診断、早期治療の推進は、高齢者において予防可能な認知障害と治療可能な歩行障害を見逃さずに適切に対処することにつながり、厚生労働行政の面からも大いに意義深いことと考える。本研究は新重症度分類の作成と診断基準の改訂を目標としている。
研究方法
本年度は以下の6項目について研究を進めた。
1.iNPH画像診断ソフトウエアーの普及:初年度に構築したiNPHオンライン自動CSF容積解析環境を試用した。
2.診断に有用な髄液バイオマーカーの選定と検証:本年度は2施設の254人の髄液検体を用いて、各種髄液バイオマーカーを測定し、診断と予後予測を検証した。
3.改訂版ガイドラインの検証:iNPHに対するシャント術の医療経済効果について, 医療費と介護費を合わせた治療費を試算した。1)手術群においては,術後1年以内に10%の確率でシャント再建が必要、 2)シャント術後すみやかに術後1年のmRSのレベルまで改善する、 3)手術をせずに1年間経過をみた場合,最低でも10%において翌年のmRSは1増悪する, また, 手術群においても術後2年目は10%においてmRSが1増悪する、 4) mRSそれぞれに効用値を割り当てquality adjusted life year (QALY), incremental cost effective ratio (ICER)を計算した。
4.AVIMの追跡調査:AVIM(無症候性iNPH)からiNPHへの進展予測因子は不明である。これらを明らかにするため、全国AVIM疫学調査開始時点および2年後における基本的臨床パラメーター(頭部MRI所見、脊髄MRI所見、副鼻腔炎、精神症状/疾患、BMI、運動習慣、喫煙、飲酒、高血圧、糖尿病、脂質異常症、iNPH-GS等)を用いて検討した。
1.iNPH画像診断ソフトウエアーの普及:初年度に構築したiNPHオンライン自動CSF容積解析環境を試用した。
2.診断に有用な髄液バイオマーカーの選定と検証:本年度は2施設の254人の髄液検体を用いて、各種髄液バイオマーカーを測定し、診断と予後予測を検証した。
3.改訂版ガイドラインの検証:iNPHに対するシャント術の医療経済効果について, 医療費と介護費を合わせた治療費を試算した。1)手術群においては,術後1年以内に10%の確率でシャント再建が必要、 2)シャント術後すみやかに術後1年のmRSのレベルまで改善する、 3)手術をせずに1年間経過をみた場合,最低でも10%において翌年のmRSは1増悪する, また, 手術群においても術後2年目は10%においてmRSが1増悪する、 4) mRSそれぞれに効用値を割り当てquality adjusted life year (QALY), incremental cost effective ratio (ICER)を計算した。
4.AVIMの追跡調査:AVIM(無症候性iNPH)からiNPHへの進展予測因子は不明である。これらを明らかにするため、全国AVIM疫学調査開始時点および2年後における基本的臨床パラメーター(頭部MRI所見、脊髄MRI所見、副鼻腔炎、精神症状/疾患、BMI、運動習慣、喫煙、飲酒、高血圧、糖尿病、脂質異常症、iNPH-GS等)を用いて検討した。
結果と考察
1.iNPH画像診断ソフトウエアーの普及:高精度iNPH画像統計解析をクラウドサービス化し、平易なオンライン解析環境を実現した。このオンラインプログラムを使用することにより、iNPHの診断に不慣れな一般臨床医にもiNPHの診断が容易になることが期待される。
2.診断に有用な髄液バイオマーカーの選定と検証: Tf2/Tf1[α2,6-sialylated transferrin (Tf1;血液型, Tf2;髄液型)]はシャント術有効例を予測し得る髄液バイオマーカーと考えられた。これまで方法は、時間と手間がかかることから、オートアナライザー法による髄液中のTf糖鎖アイソフォームの迅速測定法を新たに開発した。これにより、検査室において迅速かつ容易にTfを測定できる体制を提供することが可能となる。
3.改訂版ガイドラインの検証
シャント術後2年までのICERは、 シャント手術をした場合の自立度の改善がもたらす介護費削減効果に加え、手術をしない場合の介護費増加効果が加わり、総治療費の積算が黒字化するため、 マイナスとなる.これはLaupacisらが提案する新技術導入や適正利用に関する基準にあてはめると、確固たる根拠を持つことになり、iNPHに対するシャント術の導入が推奨されることが判明した。すなわち、医療経済効果の観点において、iNPHに対するシャント術は新技術導入や適正利用に関する基準の確固たる根拠を持つことが明らかとなった。
4.AVIMの追跡調査
疫学調査開始時点から2年間に34%がiNPHに進展した。他覚的に無症候の段階であっても、自覚症状がある場合は、数年後にiNPHに進展する危険性があることが明らかになった。
2.診断に有用な髄液バイオマーカーの選定と検証: Tf2/Tf1[α2,6-sialylated transferrin (Tf1;血液型, Tf2;髄液型)]はシャント術有効例を予測し得る髄液バイオマーカーと考えられた。これまで方法は、時間と手間がかかることから、オートアナライザー法による髄液中のTf糖鎖アイソフォームの迅速測定法を新たに開発した。これにより、検査室において迅速かつ容易にTfを測定できる体制を提供することが可能となる。
3.改訂版ガイドラインの検証
シャント術後2年までのICERは、 シャント手術をした場合の自立度の改善がもたらす介護費削減効果に加え、手術をしない場合の介護費増加効果が加わり、総治療費の積算が黒字化するため、 マイナスとなる.これはLaupacisらが提案する新技術導入や適正利用に関する基準にあてはめると、確固たる根拠を持つことになり、iNPHに対するシャント術の導入が推奨されることが判明した。すなわち、医療経済効果の観点において、iNPHに対するシャント術は新技術導入や適正利用に関する基準の確固たる根拠を持つことが明らかとなった。
4.AVIMの追跡調査
疫学調査開始時点から2年間に34%がiNPHに進展した。他覚的に無症候の段階であっても、自覚症状がある場合は、数年後にiNPHに進展する危険性があることが明らかになった。
結論
本年度も診断基準の改定を目標に、それぞれの分担者が、各々の視点から基盤となるデータを収集した。同時に、国内外の重症度分類を比較検討し、新たな重症度分類の作成に着手した。
公開日・更新日
公開日
2017-03-31
更新日
-