文献情報
文献番号
201510033A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性腎疾患に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-042
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
丸山 彰一(名古屋大学大学院医学系研究科病態内科学講座腎臓内科学)
研究分担者(所属機関)
- 横山 仁(金沢医科大学医学部)
- 旭 浩一(福島県立医科大学医学部)
- 長田 道夫(筑波大学医学医療系)
- 服部 元史(東京女子医科大学医学部)
- 安藤 昌彦(名古屋大学医学部附属病院)
- 柏原 直樹(川崎医科大学)
- 川村 哲也(東京慈恵会医科大学医学部)
- 鈴木 祐介(順天堂大学医学系研究科)
- 山縣 邦弘(筑波大学医学医療系)
- 杉山 斉(岡山大学医歯薬学総合研究科)
- 猪阪 善隆(大阪大学医学系研究科)
- 坪井 直毅(名古屋大学医学部附属病院)
- 武藤 智(帝京大学医学部)
- 堀江 重郎(順天堂大学医学研究科)
- 岩野 正之(福井大学医学部)
- 成田 一衛(新潟大学医歯学系)
- 岡田 浩一(埼玉医科大学医学部)
- 本田 雅敬(東京都立小児総合医療センター)
- 藤元 昭一(宮崎大学医学部医学科)
- 要 伸也(杏林大学医学部)
- 柴垣 有吾(聖マリアンナ医科大学医学部)
- 望月 俊雄(東京女子医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
16,298,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
対象重点4疾患(IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎)について、①これまでの研究で確立したウエブ疾患登録のシステム改良による予後追跡、②Mindsの作成手順に則った形ですでに作成した診療ガイドラインの臨床現場への普及、③同ガイドラインの検証と改訂、④疾患ごとのコホート(二次研究)の推進、⑤小児期からの移行(Transition)の調査研究および診療ガイドラインの作成、⑥研究成果を、社会・患者と双方向的に共有するための啓発活動(ホームページの充実など)。さらに⑦3年間の研究から得られた研究成果をもとにリサーチクエスチョンの立案と政策提言。以上を研究目的とした。
研究方法
研究組織は、研究班全体を統括する「研究管理推進委員会」のもとに「疾患登録・調査研究分科会」と「診療ガイドライン分科会」の2つの分科会を置き、それぞれに分科会責任者を定めた。「疾患登録・調査研究分科会」はさらに疾患登録・調査研究分科会および重点4疾患(IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎)の各ワーキンググループ(WG)に、「診療ガイドライン分科会」も同じく重点4疾患ガイドラインワーキンググループ(GL-WG)に細分化され、それぞれ責任研究分担者のもとに研究分担者、協力者による研究グループを組織した。移行医療に関しては疾患登録・調査協力、診療ガイドライン両分科会の下にWG、GL-WGを設置した。
「研究管理推進委員会」は研究代表者が委員長を務め、委員は各分科会責任分担研究者・臨床疫学者・事務局で組織され、予め定めた研究計画の進捗状況のチェックと分科会へのサポートを行うとともに、社会への情報発信についても事務局を通じてこれを企画・実行した。疫学者による臨床研究プロトコールの確認ならびに研究支援のもと遂行された研究成果進捗状況は、年2回分担研究者全員による会議の場において逐一報告され、年一回の研究成果報告会により発表された。また、本研究班で明確にできなかった課題を班内外の専門家の意見を広く聴取しリサーチクエスチョンとして抽出した。
「研究管理推進委員会」は研究代表者が委員長を務め、委員は各分科会責任分担研究者・臨床疫学者・事務局で組織され、予め定めた研究計画の進捗状況のチェックと分科会へのサポートを行うとともに、社会への情報発信についても事務局を通じてこれを企画・実行した。疫学者による臨床研究プロトコールの確認ならびに研究支援のもと遂行された研究成果進捗状況は、年2回分担研究者全員による会議の場において逐一報告され、年一回の研究成果報告会により発表された。また、本研究班で明確にできなかった課題を班内外の専門家の意見を広く聴取しリサーチクエスチョンとして抽出した。
結果と考察
2014年度に当研究班が発表した、わが国で初となる「エビデンスに基づく診療ガイドライン」は、本邦での今後の腎臓診療の標準化に大きく寄与するものと期待できる。また2015年7月には欧米の診療指針との比較、国際的な場への発信を目的に、ガイドライン英語版を発行した。今後は、ガイドラインの運用状況の調査に基づき、診療ガイドラインの普及と診断基準・重症度分類・治療指針の再検証を通じた、さらなる診療ガイドラインの改訂が、疾患のアウトカム改善のために極めて重要な課題となると考えられる。その第一歩として、CIを定めて遵守率調査が進行中である。
また小児腎疾患の成人医療への移行に関しては、当研究で小児科医と内科医双方による、強固な協力体制のもと、2015年3月に「小児慢性腎臓病患者における移行医療についての提言 -思春期・若年成人に適切な医療を提供するために-」と題しステートメントを発表したが、これは世界でも例をみない試みである。今後は腎疾患診療ガイドラインに、移行に関する項目を追加することを目標としたエビデンスの集積や、実際の診療現場で移行システム構築が課題としてあげられる。
また小児腎疾患の成人医療への移行に関しては、当研究で小児科医と内科医双方による、強固な協力体制のもと、2015年3月に「小児慢性腎臓病患者における移行医療についての提言 -思春期・若年成人に適切な医療を提供するために-」と題しステートメントを発表したが、これは世界でも例をみない試みである。今後は腎疾患診療ガイドラインに、移行に関する項目を追加することを目標としたエビデンスの集積や、実際の診療現場で移行システム構築が課題としてあげられる。
結論
本研究で取り組んでき腎臓疾患レジストリーは、昨年度も順調に登録数の伸びを示した。特に重点4疾患(IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎)を対象とした二次研究においては、蓄積した登録データをもとに行った疫学的調査により、新規受療者数、希少疾患を含む本邦での腎臓疾患患者数動向の変化とその要因、腎組織診断数が明らかとなった。これらは疫学的に今後の治療指針の礎となる重要な知見と考えられたが、今後もアンケートとJ-RBR/J-KDR等の調査手法を相互補完しながら検証し、継続的な観察すべきと考えられた。また、今後も各疾患の本邦での患者数や治療実態の把握とともに、疾患毎に計画立案された臨床学的あるいは病理結果による予後推定因子、治療介入効果検討を通じて、臨床的エビデンスの創出を継続し、医療受療者に対して有益な診療ガイドラインの改定に生かしていくことが重要であると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2017-03-31
更新日
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