原発性免疫不全症候群の診断基準・重症度分類および診療ガイドラインの確立に関する研究

文献情報

文献番号
201510030A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性免疫不全症候群の診断基準・重症度分類および診療ガイドラインの確立に関する研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-037
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
野々山 恵章(防衛医科大学校 小児科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 高田 英俊(九州大学大学院 医学研究院周産期・小児医療学)
  • 有賀 正(北海道大学大学院 医学研究科小児科学分野・小児科学)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科発生発達病態学分野・小児科学)
  • 小島 勢二(名古屋大学大学院 医学系研究科小児科学・小児科学)
  • 谷内江 昭宏(金沢大学 医薬保健研究域医学系小児科・小児科学)
  • 平家 俊男(京都大学 医学部小児科学講座・小児科学)
  • 小林 正夫(広島大学大学院 医歯薬保健学研究院小児科学・小児科学)
  • 布井 博幸(宮崎大学 医学部生殖発達医学講座小児科学分野・小児科学)
  • 中畑 龍俊(京都大学 iPS細胞研究所臨床応用研究部門疾患再現研究分野・再生医学)
  • 峯岸 克行(徳島大学 疾患プロテオゲノム研究センター病態プロテオゲノム分野・小児科学)
  • 小野寺 雅史(国立成育医療センター研究所 成育遺伝研究部・小児科学)
  • 笹原 洋二(東北大学大学院 医学系研究科小児病態学分野・小児科学)
  • 小原 收(公益財団法人かずさDNA研究所 技術開発研究部・生物物理学)
  • 加藤 善一郎(岐阜大学大学院 医学系研究科小児病態学分野・構造医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
20,405,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原発性免疫不全症は希少であり、且つ、300種類程度あるため、適切な診断や診療が困難であり、専門医による診断基準・重症度分類および診療ガイドラインを作成することは、患者の適切な診断や重症度に則した難病支援に必要である。本研究では、診断基準・重症度分類および診療ガイドラインを作成し、成人科も含めた一般医に周知することで、原発性免疫不全症患者のQOLの向上と厚生労働省政策への貢献を果たす事を目的とした。
研究方法
国際免疫学会(International Union of Immunological Societies, IUIS)により大きく9種に分けられた分類(IUIS 分類)を網羅するように、各大分類から難病に指定されている疾患を中心にして代表的な疾患を選び、かつ平成26年に作成した22疾患を除き、36疾患を対象として、診断基準案、重症度分類案、診断フローチャート案、診療ガイドライン案を作成した。方法としては、大分類ごとに、専門家により成り立つ作業グループを作成し、診断基準案、重症度分類案、診断フローチャート案、診療ガイドライン案を作成した。それを各作業グループが全体班会議で発表し、研究代表者および研究分担者全員による議論の上、必要があれば修正後、診断基準などを研究班で承認し、さらに日本免疫不全症研究会での承認を得た。
作業グループによる診断基準案、重症度分類、診断フローチャート、診療ガイドラインの作成方法は、論文検索、国際的な診断基準を参考にした。さらに本研究班で新規に構築したデータベースの活用、新規に開発したFACSによる迅速診断法、アンプリコンPCR・次世代シークエンサーなどを活用した既知原因遺伝子の迅速遺伝子診断法開発、診断に応用出来る機能解析法の開発、新規原因遺伝子同定などにより行った。データベースとしては、2009年に構築し既に4,091人が登録されているPrimary Immunodeficiency Database in Japan(PIDJ)を用い、患者臨床情報、FACS解析データ、遺伝子解析データ、保存細胞や保存DNAを活用した。これらのデータをもとに診断基準、重症度分類、診療ガイドラインを作成した。
さらに、新規に同定された免疫不全症であるPTEN欠損症、APDS, ICF type 3, type4の診断法の確立をFACS、遺伝子解析を活用して行った。また、TREC測定を用いた新生児スクリーニングのパイロットスタディ、九州地区のFHLの診断とその解析も行った。 
結果と考察
27年度は、複合免疫不全症、免疫不全を伴う特徴的な症候群、液性免疫不全を主とする疾患、免疫調節障害、原発性食細胞機能不全症および欠損症、自然免疫不全症、先天性補体欠損症の診断基準案、診療フローチャート等を作成した。これらを各作業グループが全体班会議で発表し、主任研究者および研究分担者全員による議論の上、必要があれば修正後、診断基準などを承認した。
日本免疫不全症研究会等関連諸学会により、作成した診断基準・重症度分類および診療ガイドラインの認証を得る。作成した診断基準・重症度分類および診療ガイドラインを、難病情報センターや各学会のホームページでの公開、学会講演会、一般医への印刷物の配布などで周知する。
以上の研究により、患者QOLの向上、難病医療の向上、厚生労働政策への貢献を果たすことが出来る。
結論
国際免疫学会により9種に分けられた大分類から代表的な疾患を選び、昨年と合わせ計58疾患について診断基準を作成し、一部の疾患では重症度分類、診断フローチャート、診療ガイドラインも作成できた。新規診断法も確立できた。患者診断に大きく役立つ成果が得られた。患者QOLの向上、難病医療の向上、厚生労働政策への貢献を果たす事が出来た。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2016-07-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201510030Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
20,405,000円
(2)補助金確定額
20,390,000円
差引額 [(1)-(2)]
15,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 12,526,427円
人件費・謝金 3,026,520円
旅費 1,754,913円
その他 3,082,880円
間接経費 0円
合計 20,390,740円

備考

備考

研究に必要な物品の購入金額が740円超過したことによる差異である。超過分の740円は研究者が自己負担し、購入した。

公開日・更新日

公開日
2018-06-13
更新日
-