文献情報
文献番号
201510015A
報告書区分
総括
研究課題名
クロウ・フカセ症候群の全国調査と症例登録システム構築
課題番号
H26-難治等(難)-一般-019
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
桑原 聡(千葉大学大学院医学研究院神経内科学)
研究分担者(所属機関)
- 三澤 園子(千葉大学医学部附属病院神経内科学)
- 別府 美奈子(千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学)
- 花岡 英紀(千葉大学医学部附属病院臨床試験部)
- 佐藤 泰憲(千葉大学大学院医学研究院グローバル臨床試験学)
- 祖父江 元(名古屋大学大学院医学系研究科神経変性認知症制御研究部)
- 吉良 潤一(九州大学大学院脳神経病研究施設)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
986,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
クロウ・フカセ症候群は形質細胞異常と血管内皮増殖因子(VEGF)の異常高値を基盤とした稀少難治性全身性疾患である。骨髄腫治療の応用により、予後は劇的に改善し、疾患の認知度も大幅に向上した。それに伴い、軽症例・非典型例の存在が認識され、疾患概念・自然歴の理解に大きな変化が生じつつある。早期診断並びに新規治療の有効活用には、疾患概念・自然歴を改めて確立した上で、診断基準・重症度分類・治療指針を整備する試みが必要不可欠である。本研究は、クロウ・フカセ症候群の全国調査・症例登録システム構築を行う。現在の有病者数、治療の実態を明らかにするとともに、診断基準・重症度分類の作成を目的とする。将来的には適切な診療指針の作成につなげる。
研究方法
1.全国調査
前年度に全国調査実施計画を立て、本年度はそれに基づき、全国調査を実施した。計画は生物統計家の指導の下で立案した。
難病の全国疫学調査の手順に基づき、 一次調査及び二次調査を行った。調査対象は、全国の血液内科専門医、神経内科専門医の在籍する施設を対象に、2014年8月~2015年7月の期間に診療をしたクロウ・フカセ症候群の患者とした。一次調査により患者数を推計し、二次調査により臨床症状・自然歴 (発症から治療開始までの経過)・検査結果 (VEGF値等)・治療内容・予後等の臨床疫学像の把握を目指すことにした。得られたデータを2003年の全国調査結果と比較し、この10年間の変化についても検討する。
2.症例登録システム構築
千葉大学医学部附属病院に事務局を設置した。続いて、症例登録システムに関する一般向けの情報公開を行った。本システムは登録を希望する患者本人が主治医の協力を得て登録する仕組みである。初回登録後は、年に1度の情報更新を行う。また、システムを通じて、新しい臨床試験の情報を登録患者に通知する機能も果たす。
(倫理面への配慮)
本研究はヒトを対象とする医学系研究に関する倫理指針を遵守して行う。
前年度に全国調査実施計画を立て、本年度はそれに基づき、全国調査を実施した。計画は生物統計家の指導の下で立案した。
難病の全国疫学調査の手順に基づき、 一次調査及び二次調査を行った。調査対象は、全国の血液内科専門医、神経内科専門医の在籍する施設を対象に、2014年8月~2015年7月の期間に診療をしたクロウ・フカセ症候群の患者とした。一次調査により患者数を推計し、二次調査により臨床症状・自然歴 (発症から治療開始までの経過)・検査結果 (VEGF値等)・治療内容・予後等の臨床疫学像の把握を目指すことにした。得られたデータを2003年の全国調査結果と比較し、この10年間の変化についても検討する。
2.症例登録システム構築
千葉大学医学部附属病院に事務局を設置した。続いて、症例登録システムに関する一般向けの情報公開を行った。本システムは登録を希望する患者本人が主治医の協力を得て登録する仕組みである。初回登録後は、年に1度の情報更新を行う。また、システムを通じて、新しい臨床試験の情報を登録患者に通知する機能も果たす。
(倫理面への配慮)
本研究はヒトを対象とする医学系研究に関する倫理指針を遵守して行う。
結果と考察
平成26年度に作成した全国調査・症例登録システムの計画書を改訂し、これにそって研究をすすめた。
1.全国調査
平成27年8月~9月に全国調査の一次調査を実施した。血液内科専門医のいる施設は1353施設あり、769施設から回答をえた。(回答率56.8%)患者がいると回答した施設は83施設であった。神経内科専門医のいる施設は、2375施設あり、1164施設から回答をえた。(回答率49%)患者がいる施設は78施設であった。
一次調査で患者がいると答えた施設に対し平成28年1月~2月に二次調査を行った。一次調査で返信のあった施設に対し、合計377症例分の調査票を送付し、184例分の回答をえた。今後、得られたデータを解析の予定である。
2.症例登録システム構築
データベースを作成し、症例登録システムを稼働させた。今後、登録症例の集積を継続する。
本研究成果により、クロウ・フカセ症候群の有病率・自然歴・予後等が明確になり、今後の治療指針の作成に大きく貢献する可能性がある。また、症例登録システムを臨床試験のリクルートに活用することで、新規治療開発が加速する可能性がある。骨髄腫領域では今後も新規治療薬の開発が進む見込みであり、それに伴い本症候群への応用も期待される。本症候群のさらなる予後改善には、新規治療の適切な臨床試験・治験の実施が必要不可欠であり、本研究はその第一歩となりうる。
1.全国調査
平成27年8月~9月に全国調査の一次調査を実施した。血液内科専門医のいる施設は1353施設あり、769施設から回答をえた。(回答率56.8%)患者がいると回答した施設は83施設であった。神経内科専門医のいる施設は、2375施設あり、1164施設から回答をえた。(回答率49%)患者がいる施設は78施設であった。
一次調査で患者がいると答えた施設に対し平成28年1月~2月に二次調査を行った。一次調査で返信のあった施設に対し、合計377症例分の調査票を送付し、184例分の回答をえた。今後、得られたデータを解析の予定である。
2.症例登録システム構築
データベースを作成し、症例登録システムを稼働させた。今後、登録症例の集積を継続する。
本研究成果により、クロウ・フカセ症候群の有病率・自然歴・予後等が明確になり、今後の治療指針の作成に大きく貢献する可能性がある。また、症例登録システムを臨床試験のリクルートに活用することで、新規治療開発が加速する可能性がある。骨髄腫領域では今後も新規治療薬の開発が進む見込みであり、それに伴い本症候群への応用も期待される。本症候群のさらなる予後改善には、新規治療の適切な臨床試験・治験の実施が必要不可欠であり、本研究はその第一歩となりうる。
結論
クロウ・フカセ症候群の全国調査並びに症例登録システム構築を行った。今年度は全国調査の研究計画および症例登録システムの研究計画を改訂した。さらに全国調査一次調査および二次調査を実施し、全国調査の集計を行った。二次調査の結果については現在解析中である。症例登録システムの構築については、運営組織体制、運用体制、データ管理体制を確立し、症例登録システムに用いるホームページ等を作成した。
公開日・更新日
公開日
2017-03-31
更新日
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