Kenny-Caffey症候群類縁疾患の実態調査と診断指針作成のための研究

文献情報

文献番号
201510014A
報告書区分
総括
研究課題名
Kenny-Caffey症候群類縁疾患の実態調査と診断指針作成のための研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-018
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
北中 幸子(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
744,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Kenny-Caffey(ケニー・キャフェイ)症候群(KCS)は、著明な低身長、低カルシウム血症、長管骨の骨膜肥厚、目の異常を伴う症候群である。本症候群は、遺伝型式により1型、2型に分類される。類似症状を呈する疾患として、HRD症候群(hypoparathyroidism -retardation-dysmorphism;副甲状腺機能低下・発達遅滞・奇形症候群)や、重症の表現型を呈し、生命予後が不良であるosteocraniostenosis(骨頭蓋骨狭窄症, OCS)という疾患がある。Kenny-Caffey症候群1型は、TBCE (tubulin chaperone E)遺伝子が原因であることがわかり、HRD症候群と診断されていた疾患は、Kenny-Caffey症候群1型と同一遺伝子を原因とすることがわかった。2014年、Kenny-Caffey症候群2型の原因遺伝子が、FAM111A遺伝子であることを、我々と海外グループが同定した。さらに、FAM111A遺伝子変異は、osteocraniostenosis の原因でもあることも判明した。このように、Kenny-Caffey症候群類縁疾患の原因は明らかとなってきたが、疾患の希少性から、その患者数、疾患概念、診断指針はまだ確立していない。この研究の目的は、Kenny-Caffey症候群類縁疾患の実態調査を行い、病型分類や診断指針を作成することにより、疾患概念を確立することである。
研究方法
全国調査の1次調査にて診療ありと回答した施設の医師に対して、2次調査票を送付し、回答を得た。得られた臨床情報と、これまで当施設で収集した症例のデータ、及び報告例の症状をもとに、KCSの症状の頻度を分析し、まとめた。症状の頻度より、診断の手引きを作成した。80%以上の症例に認められた症状を主症状とした。さらに、KCS1, KCS2それぞれに分けた際に80%以上の症例に認められた症状を副症状とした。また、検査所見も考慮した。遺伝子解析は、平成26年度に作成したプロトコールに従い施行した。また、ホームページを作成した。
結果と考察
平成27年度には、同意の得られた2例について、Kenny-Caffey症候群の原因として報告されているTBCE遺伝子およびFAM111A遺伝子の解析を行った。その結果、1例にFAM111Aの新規遺伝子変異を認めた。調査により収集した臨床を報告例と合わせ、64症例の臨床所見についてまとめた。その結果をもとに、Kenny-Caffey症候群の診断の手引きを作成した。疾患頻度が低いため、診断には遺伝子解析を取り入れた。また、本疾患は一般人だけでなく医師にも情報周知がすすんでいないため、Kenny-Caffey症候群のホームページを作成した。
結論
KCS類縁疾患の全国患者調査を行った。その結果、KCS類縁疾患は非常に稀であることがわかった。臨床症状の頻度をまとめ、診断の手引きを作成した。一方で、医師の知識不足により、この調査に含まれなかった例も少なからずあると考えられたため、ホームページを作成した。今後情報提供をすすめることにより、本疾患の理解が深まることが想定される。

公開日・更新日

公開日
2018-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201510014B
報告書区分
総合
研究課題名
Kenny-Caffey症候群類縁疾患の実態調査と診断指針作成のための研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-018
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
北中 幸子(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Kenny-Caffey(ケニー・キャフェイ)症候群(KCS)は、著明な低身長、低カルシウム血症、長管骨の骨膜肥厚、目の異常を伴う症候群である。本症候群は、遺伝型式により1型、2型に分類される。類似症状を呈する疾患として、HRD症候群(hypoparathyroidism -retardation-dysmorphism;副甲状腺機能低下・発達遅滞・奇形症候群)や、重症の表現型を呈し、生命予後が不良であるosteocraniostenosis(骨頭蓋骨狭窄症, OCS)という疾患がある。Kenny-Caffey症候群1型は、TBCE (tubulin chaperone E)遺伝子が原因であることがわかり、HRD症候群と診断されていた疾患は、Kenny-Caffey症候群1型と同一遺伝子を原因とすることがわかった。2014年、Kenny-Caffey症候群2型の原因遺伝子が、FAM111A遺伝子であることを、我々と海外グループが同定した。さらに、FAM111A遺伝子変異は、osteocraniostenosis の原因でもあることも判明した。このように、Kenny-Caffey症候群類縁疾患の原因は明らかとなってきたが、疾患の希少性から、その患者数、疾患概念、診断指針はまだ確立していない。この研究の目的は、Kenny-Caffey症候群類縁疾患の実態調査を行い、病型分類や診断指針を作成することにより、疾患概念を確立することである。
研究方法
まず、Kenny-Caffey症候群類縁疾患の全国患者調査を行った。当研究機関の倫理審査の承認を得た後、関連する学会の調査協力のもと、日本小児内分泌学会評議員、及び日本未熟児新生児学会評議員に行った。一次調査にて、Kenny-Caffey症候群類縁疾患の診療経験があった施設に二次調査を行った。得られた臨床情報と、これまで当施設で収集した症例のデータ、及び報告例の症状をもとに、KCSの症状の頻度を分析し、まとめた。症状の頻度より、診断の手引きを作成した。80%以上の症例に認められた症状を主症状とした。さらに、KCS1, KCS2それぞれに分けた際に80%以上の症例に認められた症状を副症状とした。また、検査所見も考慮した。遺伝子解析がなされていない症例について、作成したプロトコールに従い施行した。また、ホームページを作成した。
結果と考察
調査にて情報を得た2例について、Kenny-Caffey症候群の原因として報告されているTBCE遺伝子およびFAM111A遺伝子の解析を行った。その結果、1例にFAM111Aの新規遺伝子変異を認めた。調査により収集した臨床を報告例と合わせ、64症例の臨床所見についてまとめた。その結果をもとに、Kenny-Caffey症候群の診断の手引きを作成した。疾患頻度が低いため、診断には遺伝子解析を取り入れた。また、本疾患は一般人だけでなく医師にも情報周知がすすんでいないため、Kenny-Caffey症候群のホームページを作成した。
結論
KCS類縁疾患の全国患者調査を行った。その結果、KCS類縁疾患は非常に稀であることがわかった。臨床症状の頻度をまとめ、診断の手引きを作成した。本研究により、我が国における本疾患の医療水準の向上に貢献できたと考える。

公開日・更新日

公開日
2018-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201510014C

収支報告書

文献番号
201510014Z