脳卒中や心筋梗塞に関する医療連携構築に関する研究

文献情報

文献番号
201508027A
報告書区分
総括
研究課題名
脳卒中や心筋梗塞に関する医療連携構築に関する研究
課題番号
H25-心筋-一般-001
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
横田 裕行(日本医科大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 織田 順(東京医科大学救急・災害医学分野)
  • 行岡 哲男(東京医科大学救急・災害医学分野)
  • 高橋 眞冬(青梅市立総合病院神経内科)
  • 小池 城司(福岡市医師会成人病センター診療統括部)
  • 嶋津 岳士(大阪大学大学院医学系研究科救急医学)
  • 石見 拓(京都大学環境安全保健機構健康管理部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
5,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では救急現場、すなわち病院前救護から急性期、回復期、維持期医療機関への医療連携に関して検討することを目的とした。具体的には救急医療体制の課題である急性期から回復期・維持期への連携をより機能的に行うために脳卒中や心筋梗塞等の典型的な救急疾患での医療連携のあり方、課題、連携パスやICT活用の視点から提言することとした。そのため、救急現場から救急医療機関、救命救急センターなど急性期医療機関、そして回復期、維持期医療機関(一部、療養型、リハビリテーション病院)の現状を把握し、医療連携における地域医療連携の問題点と質向上を考察することとした。
研究方法
 有限である医療資源、特に救急疾患では病院前、急性期医療機関、回復期、維持期への円滑な連携が社会の基本的インフラとも考えられる救急医療を維持するために必須である。そのために、①脳卒中や心筋梗塞等について医療連携の現状把握や問題点を把握し、医慮連携モデルを提示すること、②病院前から急性期医療機関(救命救急センターを含む)、回復期、維持期までを考慮した地域医療連携の質向上・強化策を考察すること、③連携の循環から脱落する症例を解析した結果として、現状に則した連携システムを呈示すること、④上記を実現するため効果的なICTやパス活用、医療連携、患者情報共有化の方策を検討することとした。また、病病連携をはじめ、様々なICTシステムが運用されているが、それぞれの問題点についても検討した。
結果と考察
 地域の社会資源としての救急医療システムを有効に運用するために救急現場(プレホスピタル)から救急医療機関、回復期、維持期の医療機関、介護施設、そして在宅医療への密接な医療連携の推進が必要である。そのため医療連携パスが一部の急性期疾患に個々の段階で導入されている。しかし、パス運用の際に救急疾患には多様な脱落要因(バリアンス)が存在し、一律的な運用は困難である。実際、本研究でも導入の際には一定の割合で利用されていた急性心筋梗塞の医療連携パスが、その後利用されなくなり、その理由の一つに地域連携パスが急性期病院の視点から作成され、それらの施設から連携を受ける側の回復期、意識の施設では使いづらい点があったことも明らかになった。これらは救急医療が対象とする患者の属性の特徴や医療機関での個々の事情が複合的に関与している。
 一方、ICT化の有用性が強調され、プレホスピタルでは導入の成果をあげている地域も存在する。全国の地域メディカルコントロール(MC)協議会を対象にアンケート調査を行い、救急医療、特に救急現場からICT導入の実態を調査した。実際、病院選定時間などの一部には効果が見られたが、プレホスピタルのみのシステムで救急医療機関、回復期、維持期の医療機関、介護施設、そして在宅医療への密接な医療連携は実現をみていない。特に、回復期、維持期の医療機関、介護施設での連携のための情報共有はされておらず、救急患者情報を管理するために、病院前からのすべての情報を含む共通のツールが必要であると考えられた。
結論
 病病連携をはじめ、様々なICTシステムが運用されているが、それぞれの問題点についても検討した。その結果、救急現場から急性期医療機関、回復期、維持期の医療機関、介護施設、在宅医療を網羅するICTの開発と導入の重要性が明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201508027B
報告書区分
総合
研究課題名
脳卒中や心筋梗塞に関する医療連携構築に関する研究
課題番号
H25-心筋-一般-001
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
横田 裕行(日本医科大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 織田 順(東京医科大学救急・災害医学分野)
  • 行岡 哲男(東京医科大学救急・災害医学分野)
  • 高橋 眞冬(青梅市立総合病院神経内科)
  • 小池 城司(福岡市医師会成人病センター診療統括部)
  • 嶋津 岳士(大阪大学大学院医学系研究科救急医学)
  • 石見 拓(京都大学環境安全保健機構健康管理部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
救急車出動・搬送件数は年々増加傾向で平成26年には540万人を超えている。このように救急出動件数の増加の一方で、救急医療機関数は平成元年をピークに低下傾向が続いている。その結果、救急現場から適切な救急医療機関へ迅速に搬送する体制構築が困難な状況となっている。本研究では救急現場、すなわち病院前救護から急性期、回復期、維持期医療機関への医療連携に関して検討し、円滑な救急医療システムの維持・向上についての提言をすることを目的とした。
研究方法
1)救急医療機関への医療連携問題の背景(行岡、織田、高橋)
救急現場から地域の救急患者を収容する救急救命救急センターを含めた救急医療機関への視点から救急搬送状況の現状、すなわち入口問題と出口問題、さらに回復期、維持期へ向けての連携の問題を総括的に検討した。
2)急性心筋梗塞の医療連携分析(小池、織田)
「福岡市医師会方式急性心筋梗塞地域連携パス」を用いて本地域連携パスに関する調査を行うとともに、基幹病院に対するアンケート調査を実施した。
3)脳卒中医療の連携分析(高橋、織田)
脳卒中患者の施設への移動および各施設からの移動の様子を定量化した。医療のみならず介護等を連続して支援するために施設間の接合部分の問題と施設内での体制づくりについても検討した。
4)病院前や病病連携の課題(横田、石見、嶋津)
全国248のMC協議会へのアンケートを解析し、病院前のICTの現状と課題を抽出し、かつ病病連携、急性期医療機関、回復期、維持期の医療機関、介護施設、在宅医療への医療連携に関しても有用性と問題点を検討した。また、大阪府下の救命救急センターで集計している病院外心停止症例の記録と、消防機関の記録(消防庁進めている救急蘇生統計)を用いて、個人情報を排した連結方法を検討した。それらのデータを解析し、病院前後での情報連携の効果を科学的に検討するとともに、地域医療連携の質向上・強化策を考察した。さらに、脳卒中や心筋梗塞等における医療連携を構築するために、(1)遠隔医療システムを用いたコンサルテーション事例、(2)大阪府ドクターヘリの出動・搬送事例、(3)高度救命救急センターへの救急車搬送事例について分析と検討を行った。
結果と考察
地域の社会資源としての救急医療システムを有効に運用するために救急現場(プレホスピタル)から救急医療機関、回復期、維持期の医療機関、介護施設、そして在宅医療への密接な医療連携の推進が必要である。そのため医療連携パスが一部の急性期疾患に個々の段階で導入されている。しかし、パス運用の際に救急疾患には多様な脱落要因(バリアンス)が存在し、一律的な運用は困難であることが明らかとなった。実際、本研究では導入の際には一定の割合で利用されていた急性心筋梗塞の医療連携パスが、その後利用されなくなり、その理由の一つに地域連携パスが急性期病院の視点から作成され、それらの施設から連携を受ける側の回復期、意識の施設では使いづらい点があったことが明らかになった。一方、ICT化の有用性が強調され、プレホスピタルでは導入の成果をあげている地域が存在する。本研究では全国の地域メディカルコントロール(MC)協議会を対象にアンケート調査を行い、救急医療、特に救急現場からICT導入の実態を調査し、病院選定時間には効果が見られたが、プレホスピタルのみのシステムで救急医療機関、回復期、維持期の医療機関、介護施設、そして在宅医療への密接な医療連携にはされていないことが明らかとなった。特に、回復期、維持期の医療機関、介護施設での連携のための情報共有はされておらず、救急患者情報を管理するために、病院前からのすべての情報を含む共通のツールの導入が必要であると考えられた。
結論
 地域の社会資源としての救急医療システムを有効に運用するために救急現場(プレホスピタル)から救急医療機関、そして在宅医療への密接な医療連携、医療連携パスが必要である。しかし、地域連携パスが急性期病院の視点から作成され、それらの施設から連携を受ける側の回復期、意識の施設では使いづらい点が明らかになった。一方、ICT化の有用性が強調されているが、プレホスピタルでは導入の成果をあげている地域が存在する。全国の地域メディカルコントロール(MC)協議会を対象にアンケート調査を行い、救急医療、特に救急現場からICT導入の実態を調査した結果、プレホスピタルのみのシステムで医療機関同士のICTによる医療連携はされていない。特に、救急患者情報を管理するために、病院前からのすべての情報を含む共通のツールが必要であると考えられた

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201508027C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 救急医療体制の課題である医療連携をより機能的に行うために、急性期から回復・維持期への連携を提言した。社会インフラである救急医療を維持、進化のため①病院前から急性期、回復期、維持期までの地域医療連携の質向上・強化策、②連携の循環から脱落しない現状に則した連携システムを呈示、③ICTを利用した地域での患者情報共有化の方策を検討した。その結果、救急現場から急性期医療機関、回復期、維持期の医療機関、介護施設、在宅医療を網羅する包括的医療情報システムとそのモデルを提示した。
臨床的観点からの成果
 医療連携のツールとしてパスの重要性が強調されているが、救急疾患には多彩な脱落要因が存在し、一律的な運用は困難であった。実際、当初使用されていた急性心筋梗塞パスが、回復期、維持期の施設では使いづらく、現在殆ど利用されていない実態が指摘された。また、各フェーズで使用される目的に相違があり、パス運用の障害となっていた。一方、プレホスピタルではICT導入の成果が見られたが、救急医療機関、回復期、維持期の医療機関、介護施設、そして在宅医療への密接な医療連携はないことも明らかとなった。
ガイドライン等の開発
 なし
その他行政的観点からの成果
 なし
その他のインパクト
 なし

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
9件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
42件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-06-23
更新日
-

収支報告書

文献番号
201508027Z